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手に入らない情報

新たに評価して下さった方、ありがとうございます!!

見合いも終わり、シリウスはもちろん、結衣もいつもの専属メイドの服装へと着替えた。

一方レオナは、どうやら本当にシリウスの見合い相手が気になって駆けつけただけだったようで、解散後は実家に戻ると告げて部屋を出て行った。


そして時刻は21時、国王の部屋にて。

シリウスの願いにより、部屋には国王とクラインが集まっていた。


「して、話とは何だ?シリウスよ」


「俺まで呼んだってことは、何か深刻な事態でも起きたのか?」


「ーーー実はかねてより主にお話出来ずにいた、結婚に関することでお話したいことがございます」


予想外の話の内容に、2人は驚きの表情を見せる。

特に“約束”について知っているクラインは焦った。


「お、おいシリウスそれは……良いのか?いつ帰って来るのかとか不確定な要素が多いから、国王には話さないって……」


「うん、大丈夫だ。なぜなら今日僕はこの城内で、彼女に会ったんだから」


「んなっ?!ーーーてことは、修行の場から帰ってきたのかレオナ!!」


クラインの問いかけにシリウスは頷く。その表情は、心なしか嬉しそうに見えた。

そんな中、1人蚊帳の外状態の国王は、コホンと一つ咳をする。


「あっ、申し訳ありません主。きちんと説明させて頂きます」


「あぁ、頼む。だがどうやら余程嬉しい事があったと見える。そなたの表情から察するにーーー想い人かな?」


その言葉を否定をしないシリウスの様子に、国王は心底安堵した。


(このブラコンに恋愛感情など湧かぬのではと心配したが……どうやらわしの杞憂だったようだな)


そしてレオナ・ハーヴェイと交わしたある一つの“約束”に関してシリウスから聞き終えた国王は、軽くため息をつく。


「まさかお主が彼女とその様な約束をしておったとは……なるほど、それで彼女は国外に出ておったのか。どうりで国内の情勢に疎かったわけだ」


「ーーー?」


「いや、何でもない。しかし、どんな理由があろうとも敵以外の女性に刃を向けないと決めているそなたが、決闘とはなぁ。余程、惚れ込んでおるな?これは」


「そ、そんなことはっ!!ーーーいえ、事情をお話した上で主に一つ、お願いがございます」


「なんだ?」


「この決闘を、主にも見届けて頂きたいのです。もちろん、クラインにもね」


私事に自分の主を巻き込むことに引け目を感じながらも、シリウスは国王に見届けて欲しいと思っていた。

そうすることで、レオナに対して無意識に手を抜いたりするような事は避けられるだろうと考えたのだ。


(その上、もしかすれば僕のパートナーとなるかもしれない存在なんだ。きちんと主にも見届けて欲しい)


「あぁ、構わん。場所と日程が決まり次第教えてくれ」


「はっ、ありがとうございます!」


承諾されてホッとしているシリウスに、国王はにこやかに微笑んだ。


「ところで話は変わるがシリウスよ。例の件、どうであった?」


「例の件ーーーアクマデス家の件ですね。調べましたところ、物的証拠は乏しいものの、やはり裏取引に関与しているようです」


シリウスからの報告に、国王は苦い顔になる。


「あいつは悪事隠すのだけは上手いからな。くそっ、クロだと分かってるのに野放しなんて情けねぇ!」


「大丈夫、対策は考えているよ。使用人について調べてみたんだが、唯一デヴィールが心を許して側に置いている者がいたんだ」


「なるほどな、そいつを探れば何か掴めるかもしれねぇって訳か」


「そういうことさ」


クラインの言葉に頷くシリウスであったが、実はまだ話していないことがあった。

それは先ほど挙げた使用人の件である。

これからその者について探るのだろうと2人は解釈しているが、実のところシリウスは既に彼に関する最低限の下調べを終えていた。


ではなぜその結果を報告しないのか。それはどういう訳か彼に関する情報が、ほとんど手に入らなかったからなのだ。


(いや、入らなかったなんて物じゃない。手に入った、めぼしい情報はたったの2つ。“カイト”という名前と10年前にアクマデス家に使用人として雇われたということだけだ)


これでは彼が貴族ではないということと、最近使用人から執事に昇格したらしいということしか分からない。

そしてシリウスが最も疑問を抱いているのは、彼に関する10年以前の情報が、さっぱり掴めなかったという事実。


(他国の人間ならまだしも、入国履歴は見当たらなかった。という事は自国の人間となるけれど、出身地すら分からないなんて前代未聞だ)


最初シリウスは、彼が不正入国した間者である可能性も考慮したが、それらしき動きは全く掴めなかった。そもそも間者なら、アクマデス家の使用人で居続ける理由が見当たらないのだ。


そこまで考えて、ふとシリウスは自身の“前代未聞”という言葉に引っかかりを覚えた。


(いや、前代未聞なんかじゃない。この国にはもう一人いるじゃないか)


ごく最近現れて、調べたものの、それ以前の情報が掴めなかった人物ーーー



渡 結衣が。


(何か接点でもあるのか?ーーー悔しいけれど、今の段階ではまだ分からないな。もう少し、探る必要がありそうだね)


胸に一抹の不安を抱えながらも、シリウスは主に挨拶をして、クラインと共に国王の部屋を後にしたのであった。

ゴールデンウイーク明けましたね……サザエさんシンドロームになっておられた方は挙手っ!!


お仕事頑張って下さいませ♪

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