もう一人の女剣士
新たに感想・評価して下さった方、ありがとうございました!
執筆開始から一周年が過ぎましたが、皆様これからも応援して下されば幸いです♪
「……なんと言うか、個性的で面白い方ですね」
「ハハ、否定はしないかな。正直5年でクライン並みの実力を身に付けて来るとは思ってもいなかったよ。元々剣士としての素質があったんだろうね」
「まぁ、レオナさんがアルベルト家のいとこならば納得です」
女性を守るべき対象としているシリウスとしては、彼女が強くなったことを素直に喜べないのだろう。結衣の発言に苦笑している。
「あ、でもそういえば私、確かな実力を持った女剣士をもう一人知っていますよ?」
「へー、そうなのか。僕の知る限りでは、女剣士なんてレオナくらいだよ。他国にも女剣士はいるんだね」
「いえ、会ったのはこのエメラルド国内ですけど……」
「え、なんだって?!」
結衣の言葉に、シリウスは思わず大きな声で聞き返す。その予想外の反応に、結衣自身も驚いていた。
(あれー?てっきりシリウスさんの情報網の事だから、知ってるかと思ったんだけど……もしかして彼女は他国の人だったとか?)
「大声を出してごめん、でもユイさん。なるべく覚えている限りの情報を提供してくれると助かるよ。敵国のスパイとかだったら見過ごせないからね」
さっきまでの見合いの雰囲気は綺麗に消えて、部屋の空気はもはや警察の取調室。
シリウスの真剣な目が、結衣に向けられる。
「どこで見掛けて、彼女はどんな格好だった?」
「えーっと確かーーー城下町の人通りの少ない細い道で出会って、格好はまるで冒険者のようでした」
道に関しては、正確な位置は地図が手元に無いため言えなかったが、シリウス的には何の問題も無いようであった。恐らく彼の中で、道の候補は既にあげられているに違いない。
「冒険者のような格好かい?」
「はい、膝くらいまでのマントを羽織っていて、少し高級そうな布地の服装でした。他国の貴族出身とかだったりして。あ、それとマントの裏には信じられない事に、たくさんのマスコットが付けられているんですよ!」
「ーーーえ?」
“マントの裏にマスコット”という結衣の言葉に、シリウスはピクリと反応する。
「……ユイさん、その女剣士についてもう少し他に情報はある?」
「えーっと、腰くらいまである銀髪で、瞳の色は水色ーーーあれ?先程聞いた“レオナ”さんも銀髪だったような……」
「………」
「……もしかして私が会った女剣士って」
そこまで言いかけた所で、急に扉の外が騒がしくなった。
見張り役の衛兵達が、誰かと揉めているようだ。
「申し訳ありませんが、今この部屋は大事な会議の最中ですので!お入りになれません!!」
「嘘は通用しないわよ。今この部屋で行われているのは見合いでしょう?!」
「ど、どのみち誰もお通しするなとシリウス様からの命令ですので!」
不測の事態に、シリウスの表情が緊迫する。
今ここで扉を開けられてシリウスの見合い相手が露呈すれば、今回の計画は全て水の泡となるからだ。
それどころか、結衣に危険が及ぶ可能性も否定できない。
「ユイさん、僕の後ろに隠れてくれ。絶対に顔を見せてはいけないよ」
「は、はい!」
慌ててシリウスの背中に隠れたところで、バンっと大きな音がして扉が開いた。
「お邪魔するわよ、シリウスさん!」
「今は誰にも会わないと言ったはずだが……どちら様かな?いや、君はまさかーーー」
「やっぱり……背中に隠れている女性があなたのーーー」
その聞き覚えのある声に、結衣はハッとした。
だが確証もないため、シリウスの背中から顔を出すわけにもいかない。
そこで結衣は少し考えてから、
「あのー。もしかして先日、城下町付近の魔物倒したりしませんでしたか?しかも4体」
「「え?」」
シリウスと謎の女性の声が綺麗にハモる。
「どうしてその事をーーーいいえ、その声は聞き覚えがあるわね。もしかしてあなた、“メイドさん”?」
そこまで聞いて、結衣は確信を得た。
そしてひょこっとシリウスの背中から顔を覗かせる。
「お、お久しぶりでーす……アハハ」
ちょっと一部書き直したので1日遅くなりました汗
さてさて、ようやく謎の女剣士とレオナが繋がります!ヾ(o´∀`o)ノ