約束の内容
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執筆意欲が後から後から湧いてきております!!(〃ω〃)
「まぁそんな訳で、レオナの誘拐事件は無事に解決したんだけどね。その後からだよ、彼女が急に剣を学びたいと強く主張するようになったのは」
自分とレオナの過去話について話し終えたシリウスは、そっとため息をついて結衣にそう言った。
「剣を、ですか?」
「あぁ。何も出来ず、ただ守られているだけの自分を変えたいと強く思ったんだそうだよ」
きっとレオナという少女は、自分の足手まといのせいでシリウスが傷ついたことを悔やんでいるのだろうと、結衣は思う。
「…その気持ち、私も分からなくはないです」
「え?」
自分に力が無いから、フローラをたくさん死なせてしまった。自分の弱さのせいで、クラインをたくさん苦しめた。
ループ出来るこの能力は、万能ではない。確かに失敗しても、幾度もやり直すことは可能ではある。
だがループ前の世界は夢であって、夢ではないのだ。確かにその世界は実際に存在し、痛みを、苦しみを感じた人達が実在する。
“終わりよければ全て良し”とも言うけれど、彼らを救うまでの死や苦しみは、結衣の中から決して消えてはくれないのであった。
急に黙り込んでしまった結衣に、シリウスは何かを察した。
そして、励ますように彼女の頭を優しく撫でる。
「え、ちょっ!どうしたんですか、シリウスさん?!」
「まぁまぁ、良いから良いから」
驚く結衣にそう笑いながら、シリウスはしばらくの間、結衣の頭を優しく撫で続けたのだった。
(最近のシリウスさんの行動、心臓に悪いよ!!)
「そ、それでレオナさんは結局どうしたのですか?」
恥ずかしさを隠すように、結衣は話の続きを促す。
「ん?あぁ、もちろん僕は反対したんだけれど…。結局彼女は周囲の反対を押し切って、国外にあるアルベルト家の修行の場へと向かったよ。あ、修行の場っていうのはね…」
アルベルト家のしきたりについてよく知らない結衣に、シリウスは軽く説明する。
「なるほど、それがシリウスさんとクラインの強さの秘訣というわけですね。もちろん元々の実力もあるのでしょうけど」
「うん、まぁね。だけど彼女は女性だ、身体の作りからまず違う。僕としては、女性は守られる存在であって欲しいんだ。そのための、騎士だと思ってる」
この国一番の実力を持つ騎士である、シリウスらしい言葉だと結衣は思った。
「だから僕は、彼女と一つ約束を交わした」
「どんな約束をしたのですか?」
遠くにいるであろうレオナの事を想ってか、シリウスは少し遠い目になる。
「帰ってきたら、クラインと僕と模擬戦を行う約束をね。そして僕に負けたなら、剣を捨て、僕に生涯守られる存在となってくれと言った」
「それって!!」
(完全に告白じゃん!)
心の中で突っ込みながら結衣は、驚いた顔でシリウスを見る。
「そ、それでレオナさんはなんと?」
「あっさり承諾したよ、しかも自分が勝ったら一つお願いを聞いてほしいとまで言ってね。それはもう、自分が勝つという自信でたっぷりだった」
「な、なんて無茶な約束を…私だったらどんなに練習してもきっと、勝てる自信なんてこれっぽっちも湧いてこない気がします」
シリウスは皆が認めるこの国一番の実力者であり、クラインだって騎士団長並みの実力を持つという。
そんな彼らに勝てる確率は、きっととても低いに違いない。
結衣の言葉に、シリウスも頷きながら苦笑いになる。
「うん、僕もこんな不公平な約束はしたくなかったんだけど…それがそうでも無かったんだよね」
「…へ?」
「数年前かな、レオナは一度この国に戻って来た事があるんだよ。その上僕らに、模擬戦を申し込んで来たんだ」
先日、ハピバ記念にメイ様からファンアートを頂きました!
ものすっごく素敵なイラストですので、ぜひ一話目プロローグをご覧下さいませヾ(o´∀`o)ノ