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見合い

お待たせいたしました!

とうとう第4章の核部分その①に突入です。

…あれ、①ってことは②もあるの?


あります、第4章は主に核は2つです♪

「や、やっぱりメイド服じゃダメですか?こんな格好、恥ずかしすぎて…」


「いえいえ凄くお似合いですよ、ユイ様。貴族のお嬢様として、見劣りしないお姿ですわ!」


ここは城内にある客間の一室。

そこでは、もうすぐ行われる見合いに参加する予定のお嬢様の身支度が、着々と整えられていた。


昼食後すぐにこの部屋へと強制連行された結衣は、それから数時間メイド達に囲まれ続けている。

昨日“仕立て屋ミュトス”から届いたドレスを着せられ、髪を綺麗に整えられ、今は軽くメイクをしている最中だ。


「終わりましたわ、ユイ様。お疲れ様でございました」


メイクをしていたメイドの一人の言葉と共に、どこからか“姿鏡”が運ばれてくる。

その鏡の中に映る女性の姿に、結衣は思わず息を飲んだ。


「…これが、私ーーー?」


薄いピンク色の生地を基調として、胸元や手首、裾などの所々にフリルがあしらわれた、結衣の可憐さを上手く引き立てるふんわりとしたドレス。

胸上程の黒髪はハーフアップに整えられて、ピンク色をした薔薇の髪飾りが綺麗に付けられている。


「これほど素敵なお姿ですもの、きっとお相手の方もユイ様の魅力にイチコロですわ!」


(いやイチコロされても困るんだけどね…)


メイドの言葉に苦笑いをしながら結衣は、心の中でそう思う。

そしてメイド長に促されるまま、渋々シリウスの待つ部屋へと足を運ぶのだった。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「こちらのお部屋でございます。お相手の方がお待ちです」


(この扉の先に、シリウスさんがーーー)


覚悟を決めて結衣は扉を軽くノックする。すると中から返事があった。


「し、失礼致します」


扉を開けると、目的の人物は背中を向けて窓から外を眺めていた。シリウスは優雅にこちらを振り返って、


「やぁ、ユイさんーーーすごく、素敵だ」


シリウスの何気ない一言に、カァァッと頬が赤らむのが分かる。


「そ、そんなことないです。こんな格好恥ずかしいだけでーーー」


「いや、ユイさんの可憐さが引き立っていて素敵だよ。僕のために用意してくれたと思うと、嬉しいな」


「ーーーっ///」


恥ずかしさで目が合わせられなくて、結衣もシリウスの隣で窓から外の景色を眺める。


「そ、そんなことよりシリウスさん。どうして私なんかに見合いの申し込みをしたんです?聞けば、シリウスさんは他のご令嬢の見合い話を断り続けているとか」


「それはもちろん、ユイさんの魅力に惹かれたからだよ」


「あ、そういう口実いらないんで」


ズバッとシリウスの言葉を切り捨てる結衣に、シリウスは可笑しそうに笑う。


「もうそういう所がほんとに魅力的なんだけどな」


「全くもう…。良いんですか?断り続けるせいで、色んな噂話が一人歩きしてるみたいですけど」


(ブラコンとかブラコンとかブラコンとか)


「ふふ、そうだね。ユイさんも他人事ではなくなったし、ユイさんになら話しても良いかという気になるよ」


なぜだろうね、と聞くシリウスはなにやら意味ありげで、シリウスが見合いをしなかったのにはどうやらちゃんとした理由がありそうだと結衣は察した。


「これから話す内容は、クラインにしか話していない。そのつもりで、聞いて欲しいんだ」


「…え、国王様にも話してないんですか?」


あれほど“国王命こくおういのち!”のシリウスが、国王にすら秘密にしているということに結衣は驚く。


「うん。それから話す前に一つ僕は、ユイさんに謝らなくてはいけない」


「私にシリウスさんが謝る?」


「この見合いの場を設けて相手としてユイさんを選んだのは、僕の自分勝手な理由からだ。ユイさん、この見合いはねーーー僕にとって建前なんだよ」


「…つまり、私に恋愛感情を抱いたわけではないと」


結衣の言葉に、シリウスは深く頭を下げる。


「ーーーすまない」


シリウスは申し訳なさと恥辱で顔を上げることが出来ない。何も言葉を発しない結衣の態度に、当然だろうとシリウスは思った。


(当たり前だ、こんなことを言われて怒らない人などいないさ。たとえユイさんに嫌われることになったとしても…それでも僕はーーー)


なんて傲慢なのだろうと感じながらも、それでもシリウスは“これは必要なことだ”と自分の心に言い聞かせる。


そしてそんなシリウスの姿を見つめながら一方結衣は、


(よ、よかったぁーーーっ!!シリウスさん、私のことを好きになったわけじゃなかった!!)


と、場違いな喜びの感情を心の中で叫んでいた…。

それもそのはず。シリウスがその理由を知るはずもないが、結衣にとっては好都合なのだ。


(これで私がいつ元の世界に戻っても、シリウスさんの結婚相手がうやむやになることはないね!)


良かった良かったと、自然と結衣の表情は緩む。


「顔を上げて下さい、シリウスさん。何かちゃんとした理由があったんでしょう?」


結衣の言葉に、シリウスはそろそろと顔を上げた。


「ーーーっ!」


(ユイさん、どうしてそんな優しい笑顔で!僕はユイさんの気持ちを傷つけたのに…)


“まるで天使だ!”と叫びたくなる。


そんな気持ちを抑えてシリウスは話し始めた。


「ユイさんーーー僕には心に決めた女性がいる。彼女の名は、レオナ・ハーヴェイ。僕のいとこだ」


「いとこ…(あ、ギリギリ結婚できるのか)」


「だけど彼女は今、この国にはいない。

彼女はーーー必ず僕を超える剣士になると誓って、この国を出て行ったんだ」



次回、シリウスとレオナの幼い頃の過去のお話。

果たして2人の間に何があったのでしょうか?

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