表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/167

一通の申し込み

新たにブックマーク登録して下さった方、新たに評価!!して下さった方ありがとうございます(*^^*)

ものすっごく執筆の励みになっております!!

さて、時は結衣が仕立て屋ミュトスに顔を出してから数日後。

結衣は朝食が終わった後、国王から謁見の間に来るよう言われていた。


「失礼致します、国王様」


「おぉ来たか、急に呼び出してすまなかったな」


アイヴァントが座する所から数歩手前の位置で、結衣は最上位の礼をする。その様子を見てアイヴァントは感心したような顔で、


「ほぅ、だいぶ貴族の娘らしくなったではないか」


「…お陰様で。ここ最近、なぜか私までフローラと一緒に、貴族の娘としての振る舞いを学ぶことが多いものですから」


そうなのだ。初めてフローラと共に貴族としての講義を受けたその日以降、なぜか事あるごとに結衣も一緒に講義を受ける羽目になっていた。

おかげである程度の貴族としての立ち振る舞いを身に付けることができた結衣であったが、逆に魔女に関する情報や王妃を助ける方法を探すことは出来ないでいたのだった。


「さてと、今日ここにそなたを呼んだ訳について話してしまうとしようか」


(食事の時に話すことも出来るのに、敢えてここに呼ばれたってことは…それ相応の内容なんだろうなぁ)


「はい」


少しだけ身構えながら、結衣は話を聞くことにする。


「実は先日、貴族になったそなた宛てに、ある申し込みが届いてな」


「…申し込み、ですか?」


「あぁ。ワタリ家当主であるユイ宛てに、見合いの申し込みが一通届けられたのだよ」


(……ん?)


そこまで聞いて、一瞬結衣はフリーズした。


「…え、国王様今なんてーーー?」


恐る恐る聞き返す結衣に、アイヴァントはにっこりと笑う。


「いやぁ、まさかもう見合い話を持ちかけられるとは、わしも思わなかった。ユイよ、そなた人気者だなぁ」


ハッハッハーとアイヴァントは楽しそうに笑っているが、結衣としてはたまったものではない。


(いやいや待て待て、ちょっと待てーーっ!貴族になったばかりの私宛てに、早速見合い話?!そんな馬鹿なことするの、どこの誰よっ?!)


いや正直結衣としては、馬鹿がどこの誰であろうが関係なかった。この世界の人間は誰一人として知らないが(西の魔女は除く)、彼女は異世界の人間だ。いつ帰るともしれない存在で、結婚など出来るはずも無いのだ。

ゆえに相手の名を聞くまでもなく、


「…謹んでお断りいたします!」


そうはっきりとアイヴァントに告げたのだった。

だがその反応も想定内であったのだろう。特に気にする様子も無く、アイヴァントは話を続ける。


「残念ながらユイよ、それは出来ないのだ」


「え、出来…ない?ど、どういうことですか?!」


「なに単純な話、相手の方が貴族位が高い。それだけの話だ」


どうやらこの国では一般的に、位の高い者からの要求を断るためにはそれ相応の理由を必要とするらしく、その理由も余程の事でない限り、受理されることは無いようだった。


(私よりも上の位って確か侯爵位と公爵位、それに王族だったよねーーーこの中に馬鹿がいるんかい!!)


そう思い、結衣は軽く頭を抱える。

そもそも自分以外の貴族なんて彼女は、アルベルト家くらいしか知らないのだ。

顔も名前も知らない相手といきなり見合いなど、断じて避けたいところである。


(さーて、どうやって断ろうかな。んー、身分差?いや、相手が申し込んできてる時点で使えないか。顔?いやこれは人間としてダメな気がする…)


「と、とにかくですね!顔も名前も性格も知らない相手とでは、いきなり見合いなど出来ないです!!というわけで国王様のお力でそれとなぁく…」


「いや、残念ながらそれも理由にはならんぞ?

なぜならそなたもよく知ってる相手だからな」


「え、でも私が知ってる貴族なんてアルベルト家くらいーーーー」


そこまで言うと、アイヴァントがニヤリと意味深に微笑んできた。その表情に、結衣はまさかと息をのむ。


「ま、まさか今回のお見合いの相手って…」


「そう。今回の見合いの相手はな…わしの専属騎士であり、アルベルト家当主、シリウス・アルベルトなんだよ」


「えぇーーっ?!」


驚きを隠せない結衣の声が、謁見の間に響き渡って消えた。


「ち、ちょっと待って下さい!じゃあまさか先日仕立て屋に私を行かせたのも…」


「シリウスとの見合いの準備だ」


「え、じゃあ最近私まで貴族としての立ち振る舞いを学ぶ羽目になってるのも…」


「シリウスとの見合いのためだな」


「…………し、仕組まれたぁ」


「フッ、声に出てるぞユイよ。ちなみに見合いの日時は明後日の午後、城の一室にて行われる。情報は非公開だから安心しなさい」


どうやら既に色々と決定されているらしい。例のドレスも、明日には届けられるとのことだった。

あまりにも早すぎる見合いの日程に、結衣は呆然とするばかり。


「くっ。で、でも私がお見合いなんてしていたら姫様のお世話が!!」


「あぁそれも問題ない。その間はクラインが側におるからな。夫婦水入らずで楽しむことだろう」


(むぅ…クラインも敵側ですか)


最後のあがきも徒労に終わり、結局結衣とシリウスの見合いは、非公開で行われることが決定したのであった…。

というわけで、シリウスと結衣のお見合い決行です♪

さてさてどうなることやら((((*゜▽゜*))))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ