シリウスさんはイケメンです
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今後も執筆の励みにさせて頂きます(〃ω〃)
城に帰ってフローラの部屋に入ると、ちょうどフローラも勉強が一段落して休憩している所であった。
「あらユイ、お帰りなさい。どうだった?城下町は楽しめたかしら」
「ただいまフローラ!うん、まぁそれなりに楽しかった…かな?」
結衣の含みのある言い方に違和感を覚えたフローラだったが、結衣が話したくなったら話せばいいと思い、特に内容を追及することはしない。
「あ、そうだわユイ。この後は貴族の女性としての礼儀作法についての勉強なのよ。せっかくだから、一緒に勉強しましょう?」
「え゛ーー…いや、私はほら!貴族である前にフローラの専属メイドだから!」
貴族としての礼儀作法など、まったく出来る気がしない結衣は必死で抵抗する。
そんないつ使うのかも分からないことを学ぶより、結衣としてはその時間で、少しでも魔女に関する知識を増やしたいところであった。
だが残念なことにタイミングを見計らったように指導の先生が現れて、結局その後2人は夕食前までずっと、貴族としての礼儀作法を学ぶことになったのだった…。
そして美味しい夕食を堪能した後、結衣が食事の間をフローラと一緒に出て行こうとしたとき、
「あ、ユイさんちょっとちょっと…」
チョイチョイッと手招きしているシリウスに呼び止められる。
「え、私に用ですか?」
「うん。フローラ様申し訳ありませんが、ユイさんを少し借りていきますね」
「え、いやそんな勝手なことを…って、フローラなに手を振ってるの?!」
ウフフ、と楽しそうに笑って立ち去るフローラに、結衣は頭を抱えたくなった。
(いーやーだー…頼むから今この人と2人にしないで下さいよ!だってこの人の情報網のことだから…)
「大変だったみたいだね、城下町での騒動」
「…あ、やっぱバレてますよねぇ」
ものすごく良い笑顔でそう言うシリウスに、結衣はアハハと苦笑いする。“お使い”ではなく“騒動”と言ったところを見ると、シリウスの言葉が指しているのはどう考えても貴族絡みの件だろうと結衣は思った。
「どうして騎士が来る前に去ってしまったんだい?少女の外見が黒髪で珍しい格好をしていたと聞いたから、まぁユイさんしか思い当たらなかったけどね」
「で、ですよねぇ…。だって何だか予想以上に注目されちゃったので思わず…逃げました」
あの騒動が起こってからまだ数時間ほどしか経っていないにも関わらず、もう情報を得ているところは、流石としか言いようがない。
「…まぁ良いよ。正直あの子爵には僕らも手を焼いているんだ。何というか、証拠を隠すのが上手いんだよね。確証に近い推測はあっても、罰する決め手には欠けている。今回のことだってそうだ、“証言”はあっても、それだけでは罰することは出来ない」
この世界には録音機能が存在しない。ゆえに、その“証言”自体が偽りである可能性も無きにしもあらずというわけなのだ。
なるほど確かに、シリウスの言う通りだと結衣は思う。
「ユイさんはアクマデス子爵よりも上の貴族、伯爵だ。公で格上の貴族に何かするほど馬鹿ではないと思うけれど、一応彼には注意した方が良い」
「まぁ、こんな年下の女に公の場で恥かかされましたから…。私の身元がバレたらちょっかい出されたりするかもですね」
結衣がそう言うとシリウスは真剣な表情になって、
「ユイさんは女性なんだ。一緒にいるときなら守れる自信はあるけれど、一人のときに今回みたいな無茶、あまり感心しないよ?」
(うぐぅ、なんだそのイケメン対応は!!)
そんなことを考えていると、突然クイッと顎を持ち上げられ、シリウスの顔が近付く。
「へ…?」
「…ユイさん、ちゃんと聞いてる?」
「ふ、ふわぁっ!聞いてます聞いてます!!」
(っていうかシリウスさん、近い近い近いーーーっ!!)
漫画やアニメでしか見たことのないまさかの展開に、結衣の思考は崩壊する。
下手をすればシリウスの息が掛かるほど近いイケメンの顔に、結衣の頬は瞬く間に真っ赤に染まった。
「なら良いけど…。ちゃんと困ったら僕らを頼るんだよ?」
「は、はいっ!」
結衣の返事に満足したのか、シリウスはまるで何事も無かったかのように挨拶をして、歩き去っていく。
一方取り残されたもう一人はと言えば…
(顎クイされた!顎クイされた!顎クイされた!顎クイされたっ!!ふぉぉーーーっ!!)
人生初めての“顎クイ”で、頭がいっぱいの様子であった…。
さて、活動報告にも記載しましたが、今日の投稿と同時に新たに頂くことが出来たイラストを公開しました!
場面は第1章10話:抜け道から、フローラと結衣のシーンです♪
ぜひ覗いてみて下さいませヾ(o´∀`o)ノ