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とある子爵の屋敷にて

新たにブックマーク登録して下さった方々、ありがとうございます!

今回は例の子爵の屋敷にフォーカスの当てたお話です。

後書きにて嬉しい予告もありますので、ぜひ最後までお読み下さいませ♪

城下町の貴族街。

そこは城に近い土地から順に、位の高い貴族達の屋敷が建ち並ぶ エリアだ。その子爵階級の者達が住む場所に、彼の屋敷は建っていた。


屋敷の前に一台の馬車が止まり、中から服を着飾った太めの男が、腹を揺らして降りてくる。


「「お帰りなさいませ、デヴィール子爵様」」


屋敷の玄関に立ち並ぶメイド達が、揃って主であるデヴィール・アクマデスに頭を下げた。


「おい、カイトをすぐに私室に呼べ!私が留守にしていた間の報告を聞こう。いいな、早くしろ!私を待たせるな!!」


「か、かしこまりました!」


メイド達にそう命じると、彼は何やら腹立たしげな様子で自室へと消える。

それを見送るのとほぼ同時に、すぐさまメイドの一人も呼びに行くべく走って行った。




そして数分後。


コンコン、と控えめのノックがデヴィールの耳に届いた。


「デヴィール様、カイトです。入室の許可を頂いてもよろしいでしょうか?」


「あぁ構わん、入れ」


失礼いたします、と言いながら現れたのは、執事姿の一人の男性。年齢は30歳頃といったところだろうか。

彼は勤務態度を子爵に気に入られ、つい先日勤続10周年を迎えたのと同時に、ただの使用人から執事へと昇格した。

普段は格下の使用人如きになど気にかけもしないデヴィール・アクマデスだったが、彼のことは執務補佐にまでするほどの気に入りようであった。


「私が出ている間の報告があれば、聞こう」


ドカッとソファに腰掛けながら、デヴィールは言う。


「はい。デヴィール様が外出されている間に、城から通達の手紙が一通届いてございます」


カイトに渡された手紙を開けて、デヴィールは内容を確認する。するとみるみるうちに表情が険しくなり、


「…ふん、くだらんな!国王も褒美を与え過ぎではないのか?!どんな功績を挙げたのかは知らないが、先日男爵になったばかりの者が、もう伯爵とは!!」


下手をすれば国王に対する侮辱とも取れる発言を、デヴィールは平気で不機嫌そうに吐き捨てる。


自分よりも上の地位にやすやすと行かれたことが、よほど悔しいのだろう。

読み終えて用済みとなったその手紙を、デヴィールはグシャリと握ってカイトの立つ方に投げ捨てた。

その一挙一動をただ黙って見つめながら、


「…報告は以上となります。また何か用があればお呼び下さい」


カイトはそれを静かに拾い上げ、一礼して部屋を後にしたのだった。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーカイトの自室にてー


「まったくあのクソ子爵…。国王からの手紙をこんなにグシャグシャにしたなんてバレたら大変だってこと、分かってるのか?」


そうぼやきながらカイトは、その手紙を開いた。

デヴィールは、見られてはいけない密命などの手紙ならば流石にカイトに渡すことはしない。

自身でその場で火を用意して燃やすなりするのだが、他の手紙ならば面倒くさいと言ってカイトに処分を任せるのだ。


「つまり、渡された時点で俺がどう扱おうと無問題ってわけだ!」


…とは言われてはいないが、カイトは勝手に都合良くそう解釈している。

執務補佐を任されている以上、なるべく多くの新しい情報は手に入れておきたい。


「確かどこかの男爵が、短期間で出世して伯爵になったんだったよな。…まぁ短期出世となれば、あのクソ子爵ならそりゃ怒るか」


デヴィール・アクマデスの場合、子爵位は自身で取ったわけではない。つまり、かつての祖先が残した功績を引き継いで子爵位にいるだけであった。

だが最近のアクマデス家は目立った功績も挙げられず、このままでは貴族位降格もあり得る事態となっていた。そのような状況下での、短期出世だ。

デヴィールの機嫌が悪くなるのも、彼の性格的にまぁ仕方ないことである。


「どれどれ…以下の者を功績により、男爵位から伯爵位への昇格をここに通達する、と」


そしてその文章の次には、その者の名前が書かれていた。





「ーーーうそ、だろ?」





“ワタリ・ユイ”。


そう書かれた一文を見て、カイトの顔色が一瞬にして変化する。



「いや、だけどそんな偶然…」


そう呟くカイトの声は、誰にも聞かれることなく部屋の中で消え失せていったーーーー。


はい!というわけで予告します!

活動報告にも書きました通り、明日は何の日でしょうか?

そう、バレンタインデー♪

ということで私から読者の皆様にプレゼントをご用意してみました。それは先日からお知らせしていた…

イラストの公開です!

とうとう絵師様からイラストを頂くことができましたので、バレンタインに合わせて公開したいと思いますヾ(o´∀`o)ノ

ですので皆様、明日もぜひ覗いてみて下さいね♪

ちなみにシーン描写なのですが、どこの場面かは昨日の活動報告にのみ先行記載しておきました。気になる方は、どうぞそちらをご覧ください!

ではまた明日、活動報告にて更新通知致します♪

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