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新たにブックマーク登録して下さった方々、そして新たに評価!!して下さった方に最大級の感謝を!!(〃ω〃)

評価を頂けると、楽しんでもらえてると言う実感が湧いて嬉しいです!!

これからもお楽しみ頂ければ幸いです♪


ざわざわとしていた店内に、響き渡った一つの声。

ざわめきは静まり返って、皆が声のぬしを見た。


(わぁ…やっちゃったよ。めっちゃ注目されてるよ私…)


「な、何だね君は?!」


貴族の男も外から近付いてくる結衣に気付いて、驚きの声をあげた。まさか貴族に意見する者が現れるとは想像していなかったらしい。


「えーーっと、とりあえず彼女を離してあげてくれないでしょうか?痛がってますし」


「ふざけるな!お前、おかしな服を着ているが所詮は平民風情だろう。格下のお前が貴族の私に意見するなど許されんわ!!」


男の言葉と共に、どこからともなくボディーガードらしき人々が男と結衣の間に立ちふさがった。


「おい姉ちゃん止めとけって!相手は貴族だ、下手に関わるな!!」


周りの客が、小声で結衣に助言する。

だが結衣は男の方へと向かう足を止めることをしない。


「ふっ、今なら泣いて謝れば許してやろう。さっさとその足を止めよ平民!!」


貴族の男の言葉にも、耳を貸すそぶりは見せない。

それどころか結衣は心の中で、


(あーあ、これで私がチート持ちとかならシュパッと魔法とか放って解決して…カッコいいんだけどなぁ)


などと考えていたりするのだが、そんなこと周りは知る由もなかった。


「止まれというのが分からないのか!!」


そう男が再び叫んでようやく結衣が止まったのは、ほとんどボディーガードの一歩手前まで近付いたとき。

結衣が女の子に目をやると、可哀想なほどに涙をためてこちらを見上げている。


(さて頑張れ、渡 結衣。店に入る前に客の誰かが騎士を呼んでくると走っていった声が聞こえた。だから私が今すべきことはーーー時間稼ぎだ)


「お取り込み中申し訳ありませんが、ようするに彼女に汚してしまった服の代金を払わせようとして、このような騒ぎになっているのですよね?」


目の前の男の貴族位が分からないため、結衣はとりあえず敬語で話しかける。だがもちろん内心は穏やかではない。


「あぁそうだ!6銀貨だからな、平民風情がホイホイと出せる金額でもあるまい?だから私自らチャンスを与えてやっているのだ!!」


「…そのチャンスとやらが、かなり彼女の人権を損ねる方法であったとしても?」


結衣の質問に、男はニヤリと気味の悪い笑顔を浮かべる。


「当たり前じゃないか、この名高いデヴィール子爵がわざわざ平民なんぞにチャンスを与えているのだぞ?その内容に口出しする権利など、お前にはないわ!!」


この言葉を聞いたとき結衣は心の中でこう思った。





あ、勝ったなーーーと。




結衣が男の言葉に驚いたかのような顔つきをすると(もちろん演技である)、その表情に満足したのか男は自慢気な顔で結衣を見た。


「ふん、お前の目の前にいるのが誰なのか、平民風情の頭でもようやく理解したようだな!」


「えぇ、ちょっとびっくりしました。女性に対する暴挙と暴言を吐く方が、まさか貴族だったとは!!品位の欠片も見られませんね!」



一瞬の静寂。



「なっ?!なん、だとこの平民風情がぁっ!!」


わぁ、びっくり~!というように口元に手をあてて言うと、男は顔を真っ赤にさせて怒り出した。

周りの客たちも、結衣の発言内容に顔を青ざめさせている。

そして結衣は男がボディーガードに余計な命令などをする前に、ボディーガードにしか聞こえない程度の声でコソッと言った。


「ボディーガードさん。この腕時計の意味、ご存知ですか?」


チラッと腕時計を見せると、ボディーガードの顔が真っ青になる。


「そ、それはまさか…」


そしてボディーガードは、あるじである男に慌てて耳打ちをした。

そう、この腕時計は王族の誰かの専属メイドである証。

つまり結衣は、“この事態が王族の誰かの耳に入ることになるけど良いの?”と暗に匂わせているのだ。それを知った貴族の男は苦い顔になる。


(うーん、まだ引き際を見いだせないかな?よし、あともう一押しっと)


「あ、あとこれどうぞ。彼女の代わりに支払わせて頂きます」


ポンッとお小遣いが入った袋ごと結衣は、ボディーガードの手に乗せる。

それを奪い取るようにして貴族の男が中を確認し、お金の枚数を数え終わると、


「ふ、ふん。今回はこれで許してやる!だが次は無いと思いたまえ!!」


「はい、ありがとうございます。デヴィール子爵?」


最後に結衣が“名前覚えましたよアピール”をすると、悔しそうな顔になる。

そしてどこかの悪役のような(いや、悪役なのだが)捨て台詞を最後に、店を腹立たしげに出て行ったのだった。


後には涙をいっぱいためた女の子と、ホッとしている結衣と、まさかの展開に言葉も出ないその他大勢の方々が残された。


静寂に包まれた店内で一番に我に返ったのは、ウェイトレスの女の子だった。




「…あ、あの!助けて下さって、ありがとうございました!!」


「ハハ、なんか恥ずかしいな。えっと、どう致しまして。大したことは出来なかったけど、最悪の事態を避けれて良かったよ」


結衣が笑ってそう答えると、それに続くように店内で歓声がわき起こった。


「「お、おおーーーっ!!」」


「すげえな姉ちゃん何者だ?!」


「まさか貴族を追い返したなんて!!」


(げ、なんか想像以上に目立ち過ぎたかも。よし、こんなときは騎士が来る前にーーー退散あるのみ!!)


「で、では私は用があるので失礼します!」


「あっ、待ってーーー待って下さい!まだ何かお礼を!!」


助けられたウェイトレスの少女がそう必死に叫んで引き止めるが、“いらないよー!”と答えながら結衣は、風の如くその場を走って逃げ出したのだったーーー。


2月ですね。はい、2月です。

すみません、もう少し忙しい日々が続きそうなのでもうしばらく週1更新でご理解下さいますよう、お願い申し上げます。゜(゜´ω`゜)゜。

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