立ててしまったフラグ
もうお気づきの方もおられるかもしれませんが、第4章の章タイトルが決定しました。
『再会』。これが表す意味を想像しつつ、今後のストーリーもお楽しみ頂ければと思います♪
「はい、お疲れ様!これで後日ステキなドレスがあなたの元に、届くわよ~ン!!」
ようやく終わった苦行に、結衣は心底ホッとする。
「…えっと、国王様にはこのお店に行くようにって言われただけなんですけど、もう用事は終わりで大丈夫ですか?」
「そうねぇ、後はあたしの仕事だもの!ユイちゃんは完成を楽しみにして待っててちょうだいナ!!」
「分かりました。よっしゃ…では私はこれで!!」
フリルだけは勘弁してと再度念を押してから、ようやく結衣はマカオに別れを告げたのだった。
仕立て屋ミュトスの扉を閉めて、結衣は早歩きでお城へと向かう。
「ふぅ…早くお城に帰ってフローラに会おう。一刻も早く癒されたいっ!!」
ふわりと微笑む彼女の笑顔はまるで儚い花のように美しく、見ている者の心を癒してくれると結衣は常々感じている。
それはきっと姫としてのオーラではなく、フローラ自身が持つ魅力なのだろう。
そんなことを思いながら城へと続く大通りを歩いていると、例の井戸へと続く細い路地が見えてきた。
まだそんなに日は経っていないにも関わらず、ふと懐かしさを覚えて自然と足が立ち止まる。
(そういえばここで、初めてフローラの帽子を脱いだ姿を見たんだよなぁ)
白くてつばの広い帽子に隠されていた、綺麗な髪と綺麗な瞳。瞳と同じ色の翡翠色の髪はサラサラと風に流れ、彼女の可憐さをより一層引き立てていた。
清楚さを醸し出す白いワンピースと彼女のオーラは、何者にも姫であることを疑わせない。
(ふふっ。あの姿を見て初めて、“目を奪われる”という言葉の意味を理解したっけーーー)
同性ながらもその魅力に惹かれた自分を思い出しながら、結衣は再び歩き出したのだった。
昼下がりの城下町は相変わらず賑わっており、様々な階級の人々が行き交う。その光景は結衣に、異世界らしさを実感させてくれるのだ。
(読んでた異世界トリップ物では、よく主人公達が町の人々のいざこざなんかに遭遇して、持ち前の知識や能力で解決ーーーとかよくあったよなぁ。まぁ、今の何の力も無い自分に求められても困るけども…)
そんなことをちょうど考えていたそのときーーー
ガッシャーン
通りかかった店の中から、突如何かが割れる音が響く。音に驚いて思わず立ち止まると、続いて男の罵声までもが聞こえてきた。
(…あーーマズい。もしかして私、フラグ立てちゃってた?)
言わずもがな、その通りである。
後悔しても、時すでに遅し。不安を感じて結衣はそのお店の中に入って行った。すると案の定目の前には、貴族らしき風貌の男とひたすら頭を下げているウェイトレスの少女の姿があった。
「おいお前、自分が一体何をしたのか分かっているのかね?!」
「た、大変申し訳ございませんっ!!」
状況としてはどうやら、貴族の男の服に、女の子が飲み物を零してしまったらしい。それを怒った貴族を男が、コップを床に叩き落としたようだった。
だが周りの客達も、相手が貴族だからか助けに入る様子は無い。
「この服がいくらすると思っているのだ!6銀貨だぞ6銀貨!!お前、もちろん弁償してはくれるのだろうな?」
「わ、私6銀貨なんて大金持っておりません…」
(どうしよう。これって所謂王道展開だよね…貴族に絡まれて困っている女の子を、主人公が助けるってやつ何だろうけどもーーー)
結衣は他の小説の主人公達とは違って、特別な力は何も持っていない。ゆえに下手にでしゃばり少女を庇っても、助けるなどと大それたことが出来るとは思えないのだ。
「ふっ、ならその身体で払ってもらおうか!来い!!」
「キャッ!お、お許し下さい!!」
貴族の男は気味の悪いにやけ顔で、ウェイトレスの少女の髪を引っ張る。
連れて行かれてしまいそうな雰囲気になっても、未だ誰かが助けに入る様子は見られない。
(マズいマズいマズい!助けなきゃ、あの子が酷い目に遭っちゃう!でも一体どうすれば…っ!!)
焦りながら何かないかとポケットを探る。
すると、2つの物が手に当たった。
(あ、これってーーー)
頭をフル回転させて、どうすれば良いかを考える。
そしてそれらの存在をしっかりと確認した後結衣は、ギュッと一度目を瞑ってから大きく息を吸い込んだ。
「ーーーお待ち下さい!!」
絵師様よりラフ案が届けられ、もうそのラフ案だけでも感動してしまいました!
自身のキャラクターがイラストになることの喜びを噛み締めている毎日です♪
あぁ早く皆さんにお見せしたい!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ




