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仕立て屋ミュトス

新たにブックマーク登録して下さった方々、ありがとうございます♪

そして今回は後書きにて、嬉しいお知らせもあります(*ゝω・*)ノ

「あ、あった。あそこだ、“仕立て屋ミュトス”」


ミュトスといえば思いつくのはギリシャ神話などで神秘的なものを感じるが、何分前回のような例がある。言わずもがな、“果物屋フルーティー”と爽やか系の名前にも関わらず、店主が“クマ”だったことであるが…。

結衣はちょっと嫌な予感を覚えながらも、ゆっくりと店の扉を開けた。


「こ、こんにちはー…」


すると店の奥から、“ハァーイ”と元気な返事が聞こえてきた。

ぐるっと店内を見回せば、フリフリのレースがあしらわれた布や、シルクのような透明感のある布など、どれも高そうなものばかり。


(…なんか布の色とか、ピンク系統多くない?)


いや、布だけではない。店内の壁や装飾品も、圧倒的にピンク系統が多かった。

きっと店主は可愛らしい人に違いない、結衣は首を傾げながらもそう思うことにする。


(でも出来ればフリフリの洋服とかは着たくないなぁ)


自分のフリフリのドレス姿を、脳内で思い浮かべてみる。しかも色はピンク色。


(…うん、それだけは絶対阻止しよう)


できれば大人しめの色で頼もうと、固く決意した結衣であった。


「いらっしゃ~い!」


「あ、すみません国王様に言われて来た者ですがーーーって、え゛?」


結衣はその場で言葉通りに固まった。数分間?いや、数秒間かもしれないが、衝撃が大きすぎて結衣には時が止まって感じられたのだ。


なぜなら最初奥の部屋から現れた人が、予想通りピンク色のフリフリの洋服に身を包んだ、かわいい系の女性ーーーに見えたのだが…。


だんだん姿が鮮明になるにつれて、明らかになる真の事実。

その人は、ピンク色のフリフリの洋服に身を包んだ、かわいい系を装った“男性”であった…。





(オカマかいっ!!)



口に出さなかった自分を褒めたいと思いながら、結衣は表情を硬直させる。

そんな彼女の反応に触れることなく、目の前のオカマは自己紹介を始めた。


「初めましてぇ、あたしの名前はマカオ。国王様から依頼内容は聞いてるわンッ!コーディネートはこのあたしに、ドーンと任せてちょうだいな!!あなたのお名前は?」


「わ、渡 結衣です…」


「ユイちゃんね!かっわいいわねぇ、緊張してるのかしらン。もっとラクにしてくれて良いのよぉ?」


「は、はぁ…」


(さっさと用件終わらせて帰ろう。うん、そうしよう)


慣れないオカマとの会話に、結衣は心の中でそう誓う。


「さ・て・と!まずは色から決めちゃいましょうか!あたしのオススメは、何と言ってもピンクーーー」


「以外でお願いします」


「そ、装飾はもちろんフリルをーーー」


「使いません」


「……」


「……」


オカマーーーいや、マカオは結衣の返事に不満げらしく、プクゥっと頬を膨らませた。


「そんなことをしても嫌なものは嫌ですよ。だいたいドレスなんて、着る機会が訪れることはほぼ無いと思いますし、私にピンクは似合いません!」


「あら?だって今回のドレスはーーーあ、何でもないわン。それにね、ユイちゃんは一度でもピンク色のドレスを着たことあるのかしら?」


急に真面目な顔でそう聞いてくるマカオに、結衣は否定するように首を横にふった。


「ほらね、じゃあそんなこと言っちゃダメ!お洋服が悲しんじゃうわよ?ユイちゃんなら絶対ピンク似合うわよ~ン」


ガンとしてピンクを譲らないマカオに、結衣は深くため息をつく。


「…じゃあ薄いピンクなら構いませんけどーーーフリルだけは無しですからね?!」


「善処するわ~ン!さてと、じゃあサイズを計らせてちょうだいナ!!」


「…嫌なんですけど」


一難去ってまた一難とは、まさにこの事だろうと結衣は思う。だが計らないわけにはいかないので、こちらはしぶしぶ結衣の方が折れたのだった。


「で、どなたが計るんですか?」


「あたしよん」


(んーー、聞き間違いかなぁ?いやぁ、私の耳も遠くなってしまったらしいねアッハッハー)


「すみません、ちょっと耳が悪くなったんですかね~。もう一度聞きます!ど・な・た・が計るんですか?」


「え~だから…あ・た・し、よン!」


「…異性に計られたくないんですけど」


「あら、同性じゃないのン!ユイちゃんは女の子、あたし“も”女の子でしょぉ?」


マカオは自分自身を指差して、にっこり笑顔で答える。


(ワー、ドウシヨウ。ここから今すぐ逃げ出したいな!!)


女性の店員さんを求めて店内を見回しても、マカオの他に人の気配は無い。

目の前でメジャーを構えてルンルンしているマカオの様子に、結衣は海よりも深いため息をつく。


「…胸小さいとか言ったら怒りますからね?」


「あら、気にしているの?大丈夫よぉ、あたしよりあるんだから良いじゃないのンッ!」


バチンッとウインクを飛ばしてくるマカオに、一瞬殺意が湧きかける。


(いや、そりゃそーでしょうよ!比べる性別がまずおかしいわ!!)


一刻も早く城に戻ろうと、強く強く結衣は再び決意して、マカオのメジャーを苦い目で見つめたのだった…。


さてさて、前書きにも予告した通り嬉しいお知らせです!

な、な、な、なんとこのたび…


イラストを頂けることになりました!!

嬉しすぎてテンションが上がりまくっている作者です♪

というわけで皆さん、いつ完成かはまだ分かりませんが、素敵なイラストをお楽しみに!!

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