表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/167

シリウスの見合い話

新たにブックマーク登録して下さった方、ありがとうございます!

新章もお楽しみ頂ければ嬉しいです♪

窓から見える空の色が徐々に赤らみ、太陽が顔をのぞかせ始める。そんな朝焼けの空を見つめながら国王であるアイヴァントは、重苦しい空気の中で口を開いた。


「ところでシリウスよ…そなた、また見合い話を断ったそうではないか」


「っ!な、なぜそれを…」


見合い話という単語に、シリウスの顔色が見るからに悪くなる。反対に部屋の重苦しい空気は、自然と霧散していった。


「え、また断ったのかよ!!これで一体何十回目だ?」


「お前の両親がぼやいておったぞ?“あぁ…とうとう弟に先を越されてしまった…”とな」


「うっ…」


口ごもったシリウスに、アイヴァントとクラインは揃って深くため息をつく。


そう、普段はブラコンの印象が強すぎて忘れられがちであるのだが、シリウスは名高き剣豪アルベルト家の長男だ。そして、年齢は現在なんと23歳!

いわゆる、結婚適齢期をとうに迎えた良いところの坊ちゃんである。しかも職も安定しており、顔立ちも良い。

これだけの高物件のシリウスがモテないはずもなく…成人である18歳の誕生日から、彼の元には幾十枚もの見合い写真と縁談、パーティーへの招待状が絶えることなく届けられていた。


しかし、シリウスがそれらの話を承諾したことは一度も無い。パーティーには出席しても、そこで投げかけられる告白の数々を断り続ける彼の態度に、若き淑女の間で流れた噂は、既に想い人がいるのではないかというもの。まぁ、数年はそれで納得されていたのだが…

何年過ぎても彼の見合い話を聞かないため、噂は徐々に尾ひれが付きまくっていき…仕舞いには、


1、ブラコン過ぎて、弟と結婚したいと思ってる

2、男好き

3、熟女、もしくは幼女趣味


ちなみに1が最有力候補であるのは言うまでもない。


「いい加減諦めたらどうなんだ?あれからもう5年、連絡すら無いんだ。これ以上待っても帰って来るのかすら分からねえだろ」


「そうだぞシリウス。わしは理由をよく知らぬが、せめて理由だけでも公開せねば…既にお主の間違った性癖が、一人歩きしておるぞ」


アイヴァントとクラインがそう言うも、シリウスはただ首を横に振るばかり。


「…申し訳ありません主。僕の待つ女性は、いつ帰って来るのかも分からず、帰って来たとしても“ある約束”を果たさない限り、彼女とは結婚しないと決めております。主にはその時がやってきましたら、彼女と共にご紹介したいのです」


意味深な言葉の真意を知るのは、シリウスの横にいるクラインだけだ。最も彼がそれを知っているのも、そのシリウスと女性との“ある約束”に関与しているからなのであるが。


決して譲れないという意志を持った瞳を見返して、アイヴァントは再度深いため息をつく。


「ならばそれを黙認する代わりとして、代案を飲んでもらうとしようか」


「代案、ですか?」


アイヴァントは頷くと、執務机の上に置かれた数十冊の束をシリウスに渡した。


「これらは…見合い写真?!」


「その中から一人を選び、見合いをせよ。なに、形式上の見合いをすれば良いだけだ。相手には何か適当な理由でも付けて、見合いの後に断れば良い」


「僕が“誰を選んだか”という事実だけでも、十分に影響を及ぼすことを知っておられながら…主もお人が悪い」


興味なさげに束を読み流していたシリウスの手が、突然止まる。そして、ハッとした表情でアイヴァントを見た。


「…本当に、この中から一人を選んで見合いをすれば、今後僕の見合いに関して黙認して頂けるのですね?」


「あぁ、勿論だとも。わしは確かにそう言ったからな」


アイヴァントがニヤリと笑う。その顔を見てシリウスは、フッと軽く息を吐いた。


「お心遣い、感謝致します。やはり、主はお人が悪いようですね」


「何だよシリウス、どういう事だ?」


一人頭にハテナマークを浮かべているクラインに、笑いながらシリウスは束の中からその一枚を取り出す。そこに写る顔を見て、クラインも即座に理解した。


「なるほどな!確かに彼女なら問題ねぇわ。だって

…」


その見合い写真に写る見知った顔に、クラインもニヤリと笑い返したのだった。



(きっと…いや、必ず彼女は約束を果たしに帰って来る。そうだよねーーーーーレオナ)


12月、1月は更新頻度が下がります汗

都合により申し訳ありません。でも週1は必ず更新しますので、気長にお待ち頂ければと思います♪よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ