第4章 プロローグ
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というわけで、ブクマ100人達成です。いつもお読み下さり、ありがとうございます♪
第4章スタートです!
コンコン
まだ夜も明けきらない早朝に、国王の執務室の扉が叩かれる。
「入れ」
「「失礼致します」」
許可の言葉を聞いて扉を開き、室内に姿を現したのは2人の青年。
一人は国王の専属騎士であり、剣豪アルベルト家の長男シリウス。そしてもう一人はその次男、先日フローラと結婚したことで王族入りを果たし、エメラルド国の次期国王となるクラインだ。
「2人とも、朝早くからすまないな」
「いえ、主の命とあらばこのシリウス、いついかなる時でも主の元に馳せ参じることを誓っておりますから」
国王の謝罪を即座に否定し、シリウスは最敬礼のお辞儀をする。
「…あぁー、俺はフローラ優先だけど、この時間に呼ばれたということは彼女達に聞かれたくない話何ですよね?」
正直に“第一優先はフローラ”と言い放つクラインに、シリウスは軽く頭を抱えた。
「良い良い、お主はそれで良いのだ。その代わり、しっかりフローラを守ることは誓ってほしいがーーー言うまでも無いようだしな」
国王は軽く笑い飛ばした後、急に真剣な表情をした。どうやら先ほどのクラインの指摘は、的を得ていたようである。
「さて、本題に入ろう。此度のクラインの呪殺未遂であるが、元凶であるシュバインの処罰をまだ言い伝えていなかったな」
国王の言葉にシリウスも頷き同意する。
「はい、今回の魔女関連に関しては公にする事が出来ません。それゆえに処罰に関する判断も難しいところです…」
まずはもちろん、シュバインがフローラの暗殺未遂の黒幕であったこと。王族を殺そうとした時点で、一般人なら即打ち首ものだ。だが事件を起こしたときの彼の地位は、まだリーズベルトの王族だった。ゆえに処罰の決定は、慎重を期していたのだ。
だが彼の犯した罪は、それだけに留まらなかった。
再び王族の暗殺を企て、クラインを殺そうとした。
しかしここで再び問題が発生してしまう。
暗殺に用いた方法が、一般人には秘匿すべき魔女関連の、呪殺であったことである。
牢の中にいるシュバインがクラインを手に掛けることなど、普通は出来るはずもない。(というか出来たら出来たで大問題)
もちろん、リーズベルト国の衛兵達も牢の中なので不可能だ。
ゆえに、今回の件でシュバインを追及することは出来ないのであった。
「まさかとは思いますが主、色々とややこしいので呪殺の方はお咎め無し…なんて事は仰られませんよね?」
ゴゴゴゴゴ、という効果音が似合いそうなほどの笑顔でシリウスが尋ねると、国王は慌ててそれを否定した。
「も、勿論だ!だからと言って、此度の件を不問とするつもりは毛頭ないぞ!!」
「それは良かったです。では如何なさるおつもりですか?」
自分を見つめるシリウスとクラインの瞳を、国王はしっかりと見つめ直す。ゴクリ、とクラインの息を飲む音が聞こえた。
「シュバイン・リーズベルトを公上は、永久国外追放とする」
シュバインの地位(過去)を考慮すれば、国王の下した処罰は、まぁ妥当だ。他国とはいえ王族を、打ち首にするわけにはいかないからである。
「…“公上”は、ですか」
シリウスの言葉に、国王は深く頷く。
空気が変わる。そして突如増した彼の威圧に、2人はこれからの話の内容を理解し姿勢を正した。
「ここからの話は最高機密事項とする。よいな?」
2人が頷くのを確認してから、国王は続ける。
「これは公の発表後の話になるが、フローラ暗殺未遂に加え、クラインに対する呪殺未遂の罪によりーーーーーー」
そこで言葉を切って国王は、改めてクラインとシリウスを見回した。
早朝の清々しさは部屋には無く、ただ重く威圧に満ちた空気が部屋にはあった。
そして、続く国王の言葉を正確に理解した2人の青年は、無言で覚悟を決める。
その覚悟が決まったのを見届けたかのようなタイミングで国王は、シュバイン・リーズベルトの処罰を下す。
「シュバイン・リーズベルトを、亡き者とせよ」
「「…御意に」」
パササッと窓の木の枝から飛び立つ鳥の羽音が、ただ静かに部屋に響いて消えていった。
…悩んだ。シュバインの処罰をどうするかについて、まるまる一週間かけて悩みました(^0^;)
でも彼のやろうとしたことを考えれば、仕方のない処罰ではあるかな、と。