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食事の間にて

新たにブックマーク登録して下さった方ありがとうございます!これからもお楽しみ頂ければ幸いです♪



時刻は19時、食事の。そこに集まっている国王、王妃、フローラ、クライン、シリウス、そして結衣の6人は、食後のデザートを食べていた。

ちなみにデザートはイーチゴをふんだんに使った、サックサクのミルフィーユである。

イーチゴ好きのクラインは勿論、皆美味しそうに黙々と食べている。


(あれ、でもクラインってさっきもイーチゴケーキ食べてたような…凄、どんだけイーチゴ好きなのよ!)


「何だよユイ。そんなにこっちを見ても、このミルフィーユはやらねぇぜ?」


「取らないわ!今日はクラインイーチゴケーキも食べてて、イーチゴ尽くしだなぁって思ってただけだもん!」


そう結衣が言うと、何故かフローラの頬がほんのりと赤色に染まる。その反応を見たクラインまでも、何故か赤くなっていた。


「あ、あれは本当に旨かった。久しぶりにフローラの手作りケーキ、食べられたしな」


「え、何だいその手作りイーチゴケーキって。お兄ちゃん知らない話だなぁ」


すかさず新しい情報の気配にシリウスが反応する。


(…わぁ、これはクライン逃げられないぞ。うふふ~どんな甘々な展開があったのか、後でシリウスさんにこっそり聞いちゃおっと!どうぞよろしくシリウスさ~ん!)


目でそう合図する結衣に、シリウスもにっこりと笑顔で了解と頷く。今ここに、薄ら暗い取り引きが成立したのであった…。


「ふふ、でも喜んでもらえて本当に良かったわ。また今度、作るわね!!」


笑顔で言うフローラの言葉に、クラインは一瞬戸惑いを見せ、少し悲しげに微笑した。


「…あ、あぁそうだな。また…今度、な」


(あ、そっか。まだクラインに言ってないから知らないんだよね。呪術が解除されたってこと!本当は今すぐにでも教えたいけれど、呪術に関してはクライン以外知らないことだしね。後でにしよう)


そう判断した結衣だったのだが、何故かシリウスや国王、それから王妃(おそらくこれは演技である)の表情までもが暗いことに気が付いた。


(え…なんでこんなに空気暗いのみんな!これじゃまるで一部の雰囲気が、最後の晩餐何ですけど!!)


「ね、ねぇクライン質問なんだけど…もしかして例の午前零時の話、他に知ってる人いたりする?」


「あぁ、まぁなーーー今後の頼みごととかあるし、俺の今の身分で言わないわけにはいかねぇだろ?」


今の会話にハテナマークが付いたのは、どうやらフローラだけの様子。国王とシリウスは、知っていると言うように頷いている。

ちなみに王妃は結衣と目が合うと、うふふと軽く微笑した。


(うわ…話したいけど王妃様めっちゃ邪魔。あ、いや邪魔なのは中身の方なんだけどね)


結衣が悩んでいる間にも、会話は続く。


「え、何の話かしら。ごめんなさい、私は知らない話だわ」


「いや、別に大した話じゃないから気にすんな」


クラインはどうしてもフローラに知られたくないのだろう。誰かが何かを言う前に、即フローラに返答する。そんなクラインの様子にフローラは、


(嘘。私がどれほどあなたと付き合って来たと思ってるのよクライン。それが本心で無いことくらい、私にだって分かるわ!ーーーーーまた私だけ、仲間外れにされるのかしら…)


「…そう」


心の中の言葉を隠して、にこりと微笑んだのだった。


が…







「その話、王妃のわたくしにも詳しく聞かせてもらえるかしら。フローラ、どうやら知らないのはわたくし達だけのようですーーー気持ちを押し殺すのは、あまり感心しませんよ?」


「っ、お母様どうして!!」


「当たり前です。あなたはわたくしの大切な…“娘”、なのですから。考えていることなど分かります」


母親らしく、娘のことを想った発言。そして愛しい娘に向けられる、優しげな表情。何も知らない者から見れば、きっとこの言葉も微笑みも、フローラに対する愛情の深さゆえに見えるだろうと、結衣は思った。


だが中身の正体を知ってしまった結衣からすればそれらは、ただ親として違和感のないよう計算された言葉と、偽りの微笑み。

そしておそらく、このタイミングで話を聞かせて欲しいと言ってきたのも、クラインとフローラの仲に亀裂を生じさせられるチャンスかもと感じたからなのだ。


そんな王妃の行動に、結衣は心からため息を付く。




(言ってることは正しいんだけどさぁ、中身が!…うん、もうほんと絶対封印する!!待ってなさい王妃!…じゃなかった、王妃の中身ーーーっ!)




こうして結局、呪術に関してフローラも知ることとなったのだった。そして…




「嘘…よね。その話は嘘なのよね?!ねぇ、クライン!」



「…本当は伝えるつもりなんて無かったんだ。お前の悲しむ顔は、見たくなかったから。でも悪い、俺はやっぱり我が儘だから…最期の時までお前の隣にいたいんだ!」


まもなく最愛の人を失うと知ったフローラは、今にも倒れてしまいそうな程に青ざめて、ぽろぽろと涙を零していた。

一方結衣は…


(…あぁー、やっばいぞー。言うタイミングを逃したぞー)


「クライン、ちょっとお知らせが…」


「悪いなユイ、後でにしてくれーーーフローラ、こんなことを頼むのは卑怯だって分かってる。お前の気持ちを考えたら、残酷な頼みだってこともな。だけど頼むーーーーー最期の最期まで、俺の側にいてくれないか?」


クラインの真剣な表情に、フローラも覚悟を決めたような、そんな表情になった。


「ーーーはい、もちろんです」


涙をたくさん流しながらも、フローラはクラインを見つめ返す。その2人の様子に、シリウスまでもが目元を軽く拭っていた。

国王は悔しげに唇を噛み、王妃はハンカチで口元を押さえて悲しんでいる(が、王妃は確実に演技である)。


だが感動的な場面の最中さなか、結衣の心は焦るばかり。


(やばいよ、やばいですよーこれ。どんどん言いにくい雰囲気なってくよ!てか王妃、笑ってるよね?!あれ絶対笑い隠してるよね?!…よ、よーし。言うぞ、今言うぞ!)



「あぁー、感動の場面で申し訳無いのですが」


「…何だよ」


クラインを始め、他の4人も揃ってこちらを見る。

少し緊張しながらも、結衣は息を大きく吸った。

そして5人を見つめ返し、





「クラインの呪術、解けました!…アハハ~」


静まり返る食事のに、結衣の声が響いて消えた。







「「…え?」」

「うふふ」


色々とあった第3章でしたが、クラインの呪術も無事に解けることが出来ました!良かったね、クライン♪

次回第3章エピローグを挟み、第4章へと突入します!


それからこれは関係ないのですが、今日のお昼に短編というものを初投稿させていただきます。

短いので、休憩時間のお供にでも覗いていただけると嬉しいです♪

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