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HOUSE  作者: 哲太
8/12

第二章 見る人と見られる人 PART1


「牛乳と白いご飯」


この組み合わせを聞いて、

学生時代の給食を思い出す人は少なくないだろう。


そして、

もしあなたが大人になっているのであれば、

この二つの相性に疑問を感じるかもしれない。


これらがセットになっているメニューを

提示する飲食店なんて、

まずないだろう。


学校からの指示だったとはいえ、

良くもまぁ

文句を垂れずに食べ続けたものである。


ただ、

これが「アンパンと牛乳」ならば

話が別である。


あんこの甘さとパンの食感により

水分を失った口を潤すだけでなく、

味覚の面でも

食物と乳製品の相性の良さは抜群と言える。


今しがた

コンビニでこのセットを買った遊佐ゆさは、

腹を空かせた先輩が待つマンションへと急いだ。


何を隠そう、

遊佐は刑事である。


いや、

もしかしたら

「牛乳と白いご飯」で給食を思い出すのと同様に、

「牛乳とアンパン」で刑事を想像した人も

多かったのかもしれない。


とにかく、

遊佐は刑事である。


彼とその先輩が現在行っている捜査は

「不当な拳銃所持の摘発」であった。


その名の通り、

国から許可されていないのに

拳銃を所持している人間を摘発するのが仕事で

あるのだが、

今回は

素性こそ割れていたものの

これまでその足を中々掴ませて貰えなかった

嶋中しまなかと言う名の密売人の住居を

遂に見つけることに成功したのだ。


後は、

物的証拠を見つけて現行犯逮捕するだけ、

……のはずだったが

既に操作を初めて二週間が経とうとしていた。


中々尻尾を掴ませない嶋中の行動に

耐えかねた捜査本部は、

この遊佐とその先輩にあたる刑事を

遂に張り込み班として送り込んだのである。


嶋中の住居の近くで、

ちょうどいい所に空き家となっている

マンションの一室があり、

彼等は現在

そこで共同生活をしている。


遊佐は

捜査本部の上司に対しても、

一緒にコンビを組む先輩に対しても、

特別な感情は持っていない。


尊敬もしていなければ、

嫌悪感を抱いている訳でもないのである。


ただ、

遊佐も人並み程度には

目上の人間から怒られたくは無いと思うので、

買い出しくらいは

率先して引き受けている次第である。


そうこうしている間に

マンションに戻って来た遊佐は、

コンビニのレジ袋を持つ手とは逆の手を使い

ドアの鍵を開けた。


遊佐がすっかり見慣れたこの部屋の中に居たのは、

何かを慌てて仕舞い込む

太郎たろう警部補の

一人だけである。



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