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HOUSE  作者: 哲太
3/12

第一章 もう一人の住人 PART2


………

≪白雪≫さんが入室しました。


HN_みひろ:こんばんわ、白雪さん。

      今日はいつもよりいらっしゃるのが早かったですね。


HN_白雪:こんばんわ、みひろさん。

     旦那が夜勤までに一眠りするみたいなので

     ちょっと早く入室しちゃいました(^^)/


HN_みひろ:そうだったんですね(@_@;)

      旦那様はいつもお仕事で大変のようですが、

      ご健康面は大丈夫ですか?


HN_白雪:ご心配いただきありがとうございます!(^^)!

     夫婦揃って元気に暮らしております。

     強い体に産んでくれたことは両親に感謝しないとですねw


HN_みひろ:そのお気持ちだけで

      きっと親御さんも満足だと思いますよ。

      そろそろ、いつものアレを始めましょうか(^^)?


HN_白雪:はい(^O^)

     今日こそは正解して見せますw


HN_みひろ:では参ります。


      A君のお父さんは

      週休二日の会社に勤めるサラリーマンです。

      子供が大好きなそのお父さんは

      授業参観には必ず参加しています。

      しかし、

      毎年どうしても運動会には参加することが出来ません。

      それは一体何故でしょう?


HN_白雪:むむむ(゜3゜)

     休日はしっかりあるのに運動会には行けない…?

     もしかして、

     そのお父さんの仕事内容に関係があるのですか?


HN_みひろ:関係あるといえばありますが、

      具体的な職業は重要ではありませんね(^^)/


HN_白雪:…そうですか

     休みなのにいけないとなると

     実は体育会系のお母さんの前で

     恥をかきたくないとかw


HN_みひろ:世のお父さんが抱える問題かもしれませんねw

      でも違います(>_<)


HN_白雪:う~ん、…降参です(T_T)

     正解は一体なんだったのでしょうか?


HN_みひろ:正解は

      お父さんの休みが平日だったからです。

      参観日は平日ですが、

      運動会はほとんどの場合、

      日曜日に行われますから

      参加できないのです(>_<)


HN_白雪:あぁ!

     休日と聞いたら土日と考えてしまう固定概念に

     囚われてしまっていました(T_T)

     なるほどです。


HN_みひろ:ふふふ!(^^)!

      楽しんで頂ければ幸いです。

      さぁ、今日はこの辺にして

      そろそろ休みましょうか(^O^)


HN_白雪:はい、今日も楽しかったです(^.^)

     おやすみなさい<m(_ _)m>


HN_みひろ:こちらこそ、ありがとうございました。

      おやすみなさい(_ _)


≪白雪≫さんが退室しました。

≪みひろ≫さんが退室しました。


………


パソコンの画面に表示されたウィンドウを閉じ、

遥は小さく息を吐いた。


このチャットでの会話が、

遥の最近の日課となっており、

また、毎日の楽しみともなっていた。


チャットを始めたきっかけは、

たまたま自分が贔屓にしている俳優犬のポン太君について

ネットで検索しているときにこの掲示板を見つけたことだった。


当初、

なんでこのページが「ポン太」の検索で引っかかったのかが

謎であったが、

よくよく見ていくと、

関連ワードに彼の名前が入っていることが

その理由であるらしいことが分かった。


最近夫以外の人間と話すことがめっきり減っていた遥は、

ポンタ君について適当に雑談でも出来ればいいなと思い

書き込みを行ったのだが、

今となっては彼の話はどこへやら、

管理人である「みひろ」氏が出す

とんちや謎掛け問題がすっかりクセになっていたのだった。


この「みひろ」って人が男性なのか女性なのかも分からないし、

お互いにほとんどプライベートな話をしない。


素性が分からない人間との会話が

全く怖くないと言えば、

それは嘘だろう。


しかし、

遥が掲示板を除くと必ずそこに入室している

「みひろ」の存在は、

夫には言えない寂しさを抱える彼女にとって

かけがいの無いモノになりつつあった。


そうこうしている内に、

もうすぐ夫の雄平を起こす時間である。


明日はどんな話を聞かしてくれるだろうか。


遥は「みひろ」との会話を楽しみにしつつ、

最後に大きく伸びをしてから

夫が眠る和室へと足を向けた。



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