第二章 見る人と見られる人 PART3
………
≪TARO≫さんが入室しました。
HN_TARO:みひろさん、
先程は急に退室してしまい、
申し訳ありませんでした(T_T)
HN_みひろ:いえいえ、お気になさらずに(^^)/
それよりもリアルの世界の方で
何か問題があったのですか?(゜-゜)
HN_TARO:はい、ちょっと急な連絡があったもので…
ご迷惑をお掛け致しました<m(_ _)m>
HN_HIRO:TAROさんにも色々と事情があるのでしょう。
そんなに気に病むことはありませんよ(^^)/
HN_TARO:おお!HIROさん!
いらしていたんですね(^O^)
HN_HIRO:はい(^.^)こんばんわです!
って、
以前にログを見たら
入室状況が分かるって教えたじゃないですかw
HN_TARO:そうでしたっけ(>_<)
いや~、お恥ずかしい。
まだまだパソコンには疎いもので…
HN_みひろ:はは(^^)
ちょっとずつ覚えていけばいいと思いますよ。
HN_HIRO:同意です(^O^)
HN_TARO:ありがとうございます(^^)/
HN_みひろ:ところで、皆さん。
私たちも出会ってからしばらく経ちましたし、
そろそろ「オフ会」を開こうと思うですが
如何ですか?(^^)
HN_HIRO:お!遂に、ですか?
HN_TARO:あの……、「オフ会」と言うのは?
HN_みひろ:おっと、これは失礼。
「オフ会」と言うのは、
我々のようにネットで知り合った人達が、
実際に会ってさらに縁を深めるものです。
HN_HIRO:言わば懇親会のようなものですよ(^^)/
HN_TARO:なるほど。
いや、でもどうでしょう……。
正直に申しますと
私はそれなりに年齢もいっているものでして……。
実際に会うのはちょっと(>_<)
HN_みひろ:気乗りしないのは分かります。
でも、容姿なんて関係ありませんよ(^^)/
せっかく何かの縁で出会う事ができたのだし、
もっと仲良くなりたいと思うのです(^O^)
HN_HIRO:僕は賛成です(^^)
自分の見た目に自身があるわけではありませんが、
何かが始まるきっかけのような気がするんです!
HN_TARO:……わかりました\(゜ロ\)(/ロ゜)/
私も参加します!
HN_HIRO:おおー!!
HN_みひろ:ありがとうございます。
TAROさんなら
きっとOKしてくれると思いました(^O^)
HN_みひろ:早速ですが、
色々と詳細を決めていきましょうか(^^)
HN_HIRO:そうですね(^.^)
HN_みひろ:まず、場所なんですが…………
・
・
・
HN_みひろ:……ということで如何でしょうか?
HN_HIRO:良いと思います(^^)
HN_TARO:私も問題ありません(*^_^*)
HN_みひろ:ありがとうございます(^O^)
いやぁ、今から当日が楽しみになってきました。
HN_HIRO:そうですね(^.^)
HN_TARO:不思議な気分ですが、
私も楽しみです(^^)/
HN_みひろ:お互いきっと有意義な時間になるでしょう(^.^)
おっと!
知らないうちに結構遅い時間に
なってしまいましたね(@_@;)
HN_HIRO:あ、ホントだ!
HN_TARO:楽しい時間は、経つのが早いですね(^^)
HN_みひろ:それでは今日は
この辺でお開きにしましょうか(^'^)
HN_HIRO:はい、おやすみなさい(_ _)
HN_TARO:おやすみなさい(^^)/
HN_みひろ:おやすみなさい<m(_ _)m>
≪HIRO≫さんが退室しました。
≪TARO≫さんが退室しました。
≪みひろ≫さんが退室しました。
………
ふぅ…。
古賀は膝に置いていたノートパソコンを
ゆっくり閉じた。
(まさか俺が「オフ会」に参加する日が来るなんてな…)
古賀は明かりを落とした室内で、
一人自嘲気味に笑った。
拳銃や麻薬、時には不法滞在の手助けなど、
密売人として悪行の限りを尽くしてきたこの男には
この「オフ会」と言う言葉の響きが
何ともむず痒かったのである。
これが
彼が派遣社員として働いていた
十年前以上前の話なら別だったろう。
正社員を目指して真面目に働いていた時代が
彼にもあった。
しかし、
正社員に昇格する目前の年数を働くと解雇、
また違う会社でしばらく働くといきなりの解雇。
これを繰り返されるうちに、
古賀自身の年齢も上がっていき、
今度は契約社員としてキャリアをスタートすることも
難しくなってきたのである。
結局、日本は学歴と金の社会か…。
古賀はそう結論付け、
闇社会へと足を運んでいったのだった。
この無法者が軽い気持ちで始めたチャット、
そしてこの先に控えるオフ会が
彼の人生を大きく変えることになるとは、
この時はまだ誰も予想していなかった話である。




