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HOUSE  作者: 哲太
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プロローグ

みなさん、こんにちわ。


私は築十七年、間取りは二LDKで和室・洋室の両方を完備しております、

兵庫県は神戸市にございますJR舞子駅から徒歩十五分の

とあるマンションの一室でございます。


もちろんバスとトイレは別ですし、

なんならオートロック機能まで備え付けている次世代型であります。


いや~、それにしてもこの冬と言う時期は湿気が少なくて良いですね~。

夏ってのになると雨が多いわ、虫が私の体を蝕むわで、

もぅ、毎日毎日気が気じゃありません。

まぁ、私の体のほとんどは鉄筋で出来ておりますんで

隣に建っていらっしゃる木造一軒家の旦那に比べりゃまだマシな方なのでしょう。


え?

なんでマンションの部屋が喋っているのかって?


そりゃあなた、私だって毎日毎日黙ってここの家主であったおじいちゃんおばあちゃんを

見守っているだけじゃあ退屈するってものですわ。


たまには、

こうして皆様に話しかけたってバチは当たりませんでしょうよ。


とは言え、先述致しましたそのおじいちゃん達ってのも中々酔狂な人達で、

元はお子さん夫婦と一緒に住んでいらっしゃったようですが、

どうやらその子供達に迷惑を掛けたくないってんで今から約十年ほど前から

私の元に来てくれていたのですよ。


おじいちゃん達はとても仲睦まじく生活していらっしゃたので、

時々見ているこっちが照れてしまう時もあったのですが、

総じて幸せに暮らして頂いているようだったので私も大変嬉しく思っておりました。


ですが、

やはり何事にも別れというものがあるようでして、

つい先日お二人は山に登山に行った際に不慮の事故で帰らぬ人となってしまいました。


私がその事実を知ったのは、

お二人のお子様が部屋を片付けに私の所にいらした時でした。


私自身、中々帰ってこないお二人のことを心配しておりましたので、

そのことを知った時には得も言えぬ悲しみにくれたものです。


ですが、皆様の居住区として存在している以上、

いつまでも悲しんでいはいられません。


おじいちゃん達のご冥福を祈りつつ、

新しい主様を待つ日々をこうして首を長くして待っているのであります。


と、そんな時にたまたまあなた様方をお見かけしたため、

思わず声を掛けてしまった次第であります。


どうかボランティアとでもお思い頂き、

私の話し相手になって下さいませ。




ん?あれ?


何やら廊下から声が聞こえてきますね。

もしかすると、私の元に新しい主様がいらっしゃったのかもしれません。


これも何かの縁でございます。

宜しければ新しい主様の生活を一緒に覗いていっては如何でしょうか?


もしかすると、

あなた様方にとって何か新しい発見があるかもしれませんよ。

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