5 プリンアラモード
プリンアラモード大好きです
野宿は以外にも快適だった。
まず魔物に襲われる心配があるかと思ったが、レイアが魔法で結界をはったのでその心配もなくなった。
火をつけるのも魔法で一発だ。
サバイバルマンガなどでよく見る木の棒を擦ったりする必要もなかった。
食事についても問題ない。
食材は旅の道中で狩った魔物の肉や薬草だ。
あと水は、魔法で作り出した物でまかなった。
調理器具等は、神殿にあった物を使った。
余談だが…
レイアの料理スキルは、その…残念だった…
仕方なく俺が料理した。
魔物の肉は以外にもうまかった。
霜降のついた肉なんて久し振りに食べた。
魔物さん、ありがとう!お前の命は無駄にしない!!
ちなみに身体の汚れや服の汚れなども魔法で落とす事ができた。
まあ、何が言いたいかと言うと…
魔法超便利!!
本当に大抵の事は魔法でなんとかなった。
何故俺には使えないんだ…ちくしょう
そんな感じで異世界ライフを満喫していた俺だったが、問題が発生した。
それは…
女の子と初めて一緒に寝る事だ!!!!
俺の人生に今まで彼女なんて空想の存在が出来た事なんて一度たりともない…
俺の青春は灰色だ…
クリスマスの日には朝から夜までバイト
バレンタインデーはそわそわしっぱなし、そして絶望して終わる日だった…
しかし!!
俺の友達には普通に彼女がいる奴ばっかだった!!
しかも一ヶ月かそこらで別れてはまた新しい彼女を作るというなんとも羨まけしからん事をしていたのにっ!!!
なのに俺には一人も出来なかった…
何故だ!?何故俺には彼女が出来ないんだ!!
あの頃は世界の不条理をよく呪ったものだ。
そんな俺が女の子と一緒に並んで寝る事など可能であろうか?
否である。悲しい事に否である…
ちなみに昨日は神殿後の寝れそうな所で別々に寝た。
しかし今は違う!そんな離れた所で寝たら結界の外に出てしまう。
イコール死である。
魔物のおなかにゴートゥーヘブンだ!
こんな事では死にたくない!しかし!!このままだと緊張して寝る事など不可能だ!
どうする俺?!どうするよ!!?
「あ、あ、あ、ああ、あの…ハヤトさん…その…そ、そ、そ、そそろそろ、ね、ね、ね、ねねねね、寝ませんかかかかか?」
どうやらレイアも緊張しているようだ。
壊れたCDみたいになってる。
それもそうだろう。レイアは今までボッチだったのだ。誰かと並んで寝る経験なんてないはずだ。
「お、おおおおおう!そうだな!?じゃあ寝るか!?」
なんだ?この奇妙な空間は?男女二人が変な笑みを浮かべながら大声をあげて寝るか寝ないかの話しをしている。
日本なら警察のお世話になっても不思議じゃない。
「その…わ、わたひは、こここっちでねまふね!!」
「じゃあ俺はこっちにしちゃおっかなーー!?」
「お、おおお、おやふみなさいです!!」
「お、お休み!!」
そう言ってねっころがる。
いや!おやすみじゃないから!寝れないから!!
でも寝ないと明日からの旅には堪えられない…
そうだ!素数を数えるんだ!
えーと…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝だ…
紛れもなく朝だ。
昨日は結局、素数では眠れず羊を数える事にして、確か一万匹ぐらい数えた頃に寝れたんだっけか…
寝不足だ…
正直かなり辛い…
早くレイアと寝る事に慣れなくては…こんなんが毎日じゃ体がもたない。
「レイア…起きてるか?」
「はい…おはよう…ございます…」
明らかにレイアも寝不足だ。
目元にくまも出来ている…
「その…もう少しゆっくりしてから準備するか?」
「そ、そうですね…」
結局準備しだしたのは昼前だった。
さて、いろいろあったが旅の第二日目だ!
まあとくに昨日と変わりなく順調に進んでいる。
レイアも疲れているようだが魔法を使うのに問題はないようだ。
俺も少しは手伝おうと魔物と戦おうとしたが…無理だった。
いや!やっぱ最初はスライムとかで鍛えないと!
いきなりあんな化物無理だって!!
俺のエクスカリバー(仮)はもっぱら、草刈りに使われている。
このエクスカリバー(仮)、以外によく切れる。
それはもう面白いほどに!
試しに木に切りつけてみたら、なんと抵抗なく真っ二つにできた…
エクスカリバー(仮)ヤベェ…
適当に盗…借りてきた剣だが、これはもしや聖剣や魔剣のたぐいではないだろうか?
ちょっと心配になってきた…
そうやって俺がエクスカリバー(仮)でレイアの作った道の草を刈っていたらレイアが訪ねてきた。
「あの…ハヤトさん。その剣ってどこにありました?」
「えーと…神殿の瓦礫の中から見つけたんだが…ダメだったか?」
やはり盗…無断で借りてきたのはまずかったろうか?
「いえ、ハヤトさんになら全然問題ありません!それよりその剣がちょっと気になって…」
「え?レイアもこの剣の事知らないのか?」
「はい…確かに神殿には色んなものがありましたけど、そんな剣はなかったと…あっ!!」
「どうした?」
「い、いえ、きっと気のせいです…気のせい気のせい…」
いや!気になるから!
「いやいや!何か気になる事があるなら教えてくれ!」
「えーと…そのー、その剣はもしかしたら、とある魔物を封印していた剣…の可能性が…」
「封印!?じゃあそのとある魔物ってなんだ!?」
「あの、前にお話しした、たった一匹で国を滅ぼしたドラゴンの事です…」
「なんだって!?じゃあ今この剣がここにあるってことはそのドラゴンは今!?」
最悪だ!封印がとけたって事はそのドラゴンも目を覚ましているかも知れない!!
「いえ!やっぱり気のせいです!あの封印は私以外に解ける者なんていません!だから神殿の崩壊ぐらいで解けるような事は絶対にありません!!
きっとその剣は、たまたま封印の剣と似ていたんですよ」
「なんだ…そうか」
安心した…どうやらその封印に絶対の自信があるらしい
この剣とは関係ないようだ…
なんだろう…何か大事な事を忘れている気がする。
「そんな事よりハヤトさん!あそこに川が見えますよ!もしかして水浴びできるんじゃないですか?」
確かに綺麗な川が見える。
流れは少し速いが、足が届くところなら問題なさそうだ。
水浴びにはちょうどいいかもしれない。
いくら魔法で綺麗にしているからといって、やはり気持ち的には風呂などに入りたい日本人気質の俺である。
「そうだな!せっかくだし水浴びでもするか!!」
こうして水浴びをする事になった。
そこで問題なのが水浴び=裸になるということだ。
この世界に水着なんて便利な物は存在しない。
よって生まれたままの姿にならなければいけない。
つまりあれだ。レイアが裸になって水浴びをするということだ。
裸になってだ!大事な事だから二回言った!!
もちろん一緒に水浴びなんてしない…しないがやっぱり意識してしまうとヤバイ…その…想像とかしちゃうやん?男の子やもん…自分…
レイアのあの透き通るような白い肌…そして決して小さくはないあのマシュマロ…いやプッチンプリン…そしてその上にはさくらんぼが…
ああ、ヤバイ、これ以上はヤバイ!いろんな意味でヤバイ!!
そんな俺の気持ちを知ってか知らずかレイアは戸惑いなく水浴びをしに行った。
レイアも神殿では、風呂は毎日入っていたそうなので水浴びをしたくてうずうずしていたようだ。
どうする?!俺!?
俺は今、無言でエクスカリバー(仮)の素振りをしている。
雑念を振り払う。
我が心に淀みなし 心頭滅却 観音菩薩 イエスキリスト 女神 ビーナス 裸 プリンアラモード…はっ!!
駄目だ!!どうしても意識してしまうっ!
ちゃうねん!仕方ないねん!だって危険やからそんな離れられへんし!!せやから水音とか聞こえてくるんやもん!!!
これが生殺しと言う奴なのか…
くっ!いっそのこと俺を殺せ!!
「ハヤトさん?」
「ひゃい!?」
とっさに呼び掛けられて声が裏返ってしまう。
「あの、そろそろ上がりますから…ハヤトさんもどうぞ?」
どうやら地獄は終わったらしい…
べ、別に!覗けなくて悔しいとかないんだからね!
そんなこんなで、ただ今水浴び中の俺だった…
色んな意味で熱くなった身体に冷たい水が気持ちいい…
心があらわれるようだ。
ふぅ……やれやれ。
プリンアラモードなんて下らない…まったく、そんな事より世界の平和について考える方がよっぽど有意義だ。
そういえばこの世界には、脅威とかあるのだろうか?
ほら、異世界的に魔王とかいそうである。
「後でレイアに聞いてみるか…」
そうして俺は水浴びを満喫するのだった。
「さて、さっぱりしたしそろそろ上がるか」
いやー、やっぱ水浴びはいいわ。
できれば風呂にも入りたいけど、流石にそこまで贅沢は言ってられないよな。
服を着ている最中、魚が目にとまった。
そろそろお腹も空いてきた。
せっかくだし川魚を昼食にするのはどうだろうか?
なんて考えていた時に、不意にそれは見えた。
女の子が川に流されている。
しかもその女の子は、身動き一つしていない。
一体どうしてこんな所に人が!?
いや!それを考えるのは後まわしだ!!
今はあの女の子を助けないと!
ヤバイ!どんどん流されている!このままでは見失ってしまう!!
「レイア!女の子が川に流されてる!!助けにいってくる!!!」
「え?!川に女の子がですか?こんなところの川に??あ、待って下さいハヤトさん!一人は危険です!!!」
そうも言ってられない。こうしている内にも女の子は流されている。
事は一刻を荒そう事態だ!!
正直、泳ぎはそこまで得意じゃない。
だがそれがどうした?!俺が行くしかない!
覚悟して水に飛び込む!
流れが思ったより速い!!
足が届かない上に川の流れで上手く泳げもしない!
ただがむしゃらに女の子のもとまで泳ぐ!
体力がみるみる内になくなっていく!
だが、女の子はもうすぐそこだ!!!
あと少し!!!
「届けぇ!!」
そして女の子の手を繋ぐ!
驚いた事に女の子の手は暖かかった。
どうやら生きているようだ!
しかし、安心したのも束の間、流れが急に速くなった。
流れの先を見てみる。
すると見えたのは……滝だった!!
このままだと滝に落っこちる!
どうする?もう体力の限界だ…それにこの流れにさからうのは不可能だ!
でも!!
「クソ!!まだ死んでたまるか!!それにこの女の子も死なせやしない!!」
そうだ!諦めるのはまだ早い!!
女の子を強く抱き締める!
そうして俺達は、そのまま滝に落ちていった。
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目をあけると川岸に流れついていた。
どうやら運よく助かったらしい…
「そうだ!女の子は!?」
すると横にはさっきの女の子がいた。
良かった…
彼女も無事みたいだ。
改めて女の子をよく見てみる。
年は一緒ぐらいだろうか?
あと、特徴的なのが髪の色が紺色だ。
そしてかなりの美人だ…
レイアに勝るとも劣らない。
この世界の住人は美人ばっかなのか?
そんなどうでもいいことをふりはらいつつ、彼女に呼び掛ける。
「おい!しっかりしろ!!大丈夫か!?」
「う…うぅん」
「気が着いたか!?」
「ん…あなた…だれ…」
「俺は上村隼人、たまたまあんたが川で流されてるのを見つけたんだ。あんた名前は?」
「なまえ…?」
「そう、名前だよ。あと出来ればなんでこんなところに倒れていたのかも教えてくれ」
「なまえ…わたしの…なまえ…おぼえてない…なにもおぼえてない…わたしは…だれ?ここは…どこ?」
「え?…まさかこれって!?」
記憶喪失!?
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【エクスカリバー(仮)】
神殿の瓦礫から見つけた剣
よく切れる めちゃくちゃ切れる
しかも刃こぼれひとつしない優れ物
しかしこの剣の真価はそれだけではない
具体的にいえばドラゴンを封印する事もできる
まったく謎の剣である
【謎の美少女】
只今絶賛記憶喪失中
リアルわたしはだれ?ここはどこ?状態
髪の長さは肩までで色は紺色
瞳の色は翡翠
めっちゃ美少女
川で流されていた美少女!
一体彼女は何者なのか!?
関係ないけど、ドラゴンは人の姿になれる魔法を使える
いや、関係ないけど…。
プリンアラモードには男の夢と希望が詰まってます!