しかたなく付き合ってやる
「高坂君ごめんね。パートナーの変更は受理できないわ。雨宮さんのたっての希望でね。雨宮さんってあれでしょ先生も強く言えなくって。どうしてもって言うなら高坂君が自分で説得して貰えるかな」アンナ先生がそう答えた。
山本 安奈先生、雅たちの担任である。会ったらまず胸に目が行ってしまうと言う容姿の持ち主だ。
「先生、どうにかならないんですか。何でよりによって俺なんですか、門番志望っすよ門番。他に近衛騎士目指してる連中とか居ますよね そいつらじゃダメなんですか」雅がアンナ先生食い下がる。
「まー夏目さんとパートナーになってあんな事やこんな事をする学院生活を送りたいんだろうけど先生も公務員だからぶっちゃけ逆らえないのよ。ごめんね高坂君」アンナ先生が可愛く誤る。
雅はそれを聞いて職員室を後にした。実際シャルロットとパートナーやチーム組みたがっている奴は多い。公爵令嬢といえばお近づきになっておけば確実に出世コースである。あわよくば的な連中も多い。雅はそんな連中からやっかみがられるのも嫌であった。
薄暗い廊下を歩いて昇降口に向うとシャルロットが待っていた。
「なんであんた私と組むの嫌がるのよ。私じゃ不満なの? どうしてもあなたの力が必要なのよ」
シャルロットがここに居るって事はアンナ先生、一応説得してくれたんだな。雅がそう勘づく。
「雨宮さん、だって俺は門番志望だぜ。俺なんかより強い奴も頭の良い奴もいる。近衛騎士志望の奴とか組んだ方が良いんじゃないか」雅が渋った顔でそういった。
「私の勘があんただって言ってるのよ。あんたにするべきだって」プルプル震えながらシャルロットが答える。
シャルロットが雅になんでここまで固執するのかはわからない。
「そこまで俺の事を買ってくれるのはありがたいが、こんな平凡な俺の何処が良いんだ。それに身分だって三下の騎士階級だ、身分も違う」雅が困った表情で答えた。
「関係ない。私が選んだの、あんたじゃ無きゃダメなのよ。どうしてもしなくちゃいけない事があるの……」シャルロットはそう言ってうずくまってしまった。
「はぁ~じゃあ期末試験まで付き合ってやるよ。試験結果で選択できる科目が変わるが良い成績とっても俺は門番志望だからな行く所は決まってる。だからそれまで付き合ってやるよ」雅はそう言ってハンカチをシャルロットに差し出した。
問題はシャルロットが目指す騎士科はエリートコースだ。普通、貴族のご令嬢は将来の結婚相手を見つけに学院に入学している事が多く文系の選択がほとんどだ。なぜシャルロットは騎士科を目指しているのであろう。
騎士科は文武両道だが比重が戦闘に重い傾向がある。中間試験の俺達の点数を考えるなら期末は上位を狙わなくてはならないだろう。被弾していないシャルロットは減点はされていないはずだが高得点狙っといた方が良いだろう。
試験内容は中間テストと同じ訓練用のロボによる戦闘試験とその後に行われる生徒同士による模擬戦闘の合計点できまる。
「今のままだと少し難しいな。さてどうする」雅は心の中で呟き考え込む。
まずは俺自身の戦闘レベルの向上は必須だ。それとシャルロットがどう言う戦闘スタイルなのかもしる必要がある。二人の連携は大事だ。スタイルを考えた上で連携訓練が必要だ。
翌日、雅から始めてシャルロットに話しかけた。
「よう、ちょっと話をしたいんだが」雅がそう話しかける。教室中のクラスメイトの視線が雅に突き刺さる。
「おい、平民ごときが付け上がるな。たまたま何もしらないシャルロット様がご慈悲で実技試験のパートナーになってくださっただけだ、気安く話しかけるな」クラスの騎士科志望の貴族様がそういきまいた。
この貴族様は米崎 武と言い家柄でデカイ顔をしている奴だ。正直関わりたくない。
「米崎君、申し訳ないけど試験の事で話したいんだ」雅が答える。
「貴様、米崎君だと米崎様と呼べ……」米崎は顔を真っ赤にして怒っている。
「雅、あんな馬鹿はほっといて行きましょう」シャルロットが雅を教室の外に連れ出した。
この時期ほとんど人に使われる事がない中庭に来ていた。日陰になっているとは言えこの時期は暑い。
「それで一体なんなのパートナー解消の件だったら聞かないからね」シャルロットがそう言ってこちらを見つめる。
背が低く子供の様なシャルロットだが目鼻立ちは整い気品が漂う顔はすごく綺麗だ。雅は本能的に目をそらす。
「期末テストの実技試験、今のままだと良い得点とって上位に入るのは無理だ。二人の協力がいる」雅が双切り出す。
「それで具体的には?」シャルロットは落ち着いた表情で聞いてきた。
「まずシャルロット、おまえの戦闘スタイルを教えてもらいたい」雅が質問する。
「そんな事もしらなかったの。得意なのは接近戦よ。ハンドガンとレイピアと短剣が使えるわ」シャルロットは得意げにそう答えた。
「接近戦か……と言う事は俺は中距離支援にした方が良さそうだな」雅は独り言を小声で呟く。
「あんた、何さっきからブツブツ一人で言ってるの。それでどうしたいのよ」シャルロットが言う。
「ああ、期末試験までに二人の連携の練習をしようと思ってな」雅がそう言った。
「やっとヤル気になったのね。それでこそ私のパートナーよ。それで何時するの」シャルロットは目を輝かせながらそう言った。
どうやらシャルロットは真剣な様だ。俺には迷惑この上ない この試験で学科が分かれるだろうし最後くらい付き合おう。
「雅、週末に野外練習場が借りられたわ。朝9時に集合よ」シャルロットが雅にそう声をかける。
「ああわかった。でもよく借りられたな。職権乱用じゃないのか。それと夏目と武田連れていても良いか?」雅がそう答える。
「いいわよ。でも邪魔しないように言っといてよね」シャルロットがそう答えた。
週末、雅は夏目と武田を連れて野外練習場に向った。
武田 真二は雅の悪友で家が近所で子供の頃からつるんでいる。家は商売をしている商人の家系だが三人兄弟の次男であとを継ぐ必要が無いので雅がヘルネート王国騎士学院に入学すると聞いて一緒に入学したのだ。
「二人とも休みなのに悪いな」雅が二人にお礼を言った。
「良いって事よ。お礼はミルキーカフェのタワーバーガーでいいぜ」真二がそう答える。
野外練習場にはシャルロットがすでに待っていた。「雅遅い!」シャルロットがそう言ってこちらに歩み寄ってくる。
「時間道理だと思うんだが」雅が答えた。「雨宮さん こんいちは」美紀と真二がが挨拶する。
この野外練習場は森の中で訓練を行う事ができる。模擬弾を使用し訓練用ロボ、教官参号をターゲットに実戦型式で行い慣れてくれば徐々に教官参号の台数を増やして行こうと考えている。この方法が連携の練習が一番早く成長すると考えたからだ。真二と美紀には戦闘の監視をしてしてもらいアドバイスを貰う。
「さてはじめるか期末試験までにどこまで仕上がるか」雅は心の中でそう呟いた。
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