番外編
番外編 2012/11/05
梅人さん、お疲れ様でした、と作者はまず述べたい。
彼はきっと、全然疲れていないだろう。年齢も作者より五つくらい若く設定してあるので、彼のほうがずっとバイタルだ。
梅人というキャラクターを描いていて、作者はふと、かり〇げ君を思い出した。あの超有名な四コマまんが、みんな、知ってるよね?
かり〇げ君はサラリーマンで、イタズラの名手だ。会社組織の中でも、私生活においても、彼はつねにマイ・ペースで、独自の世界観でイタズラを愉しむ。
もともと景気が良かったころに連載がはじまったマンガなので、昨今の不況の時勢に多少アン・マッチする気配は、たしかにある。
ふつうなら、とっくにクビになっているだろう、ダメダメ社員だ。
かり〇げ君のイタズラにかける情熱は凄まじい。いったい、その情熱はどこから湧き出てくるのか。
彼はたぶん、イタズラに注ぐのと同じくらい、生きることに情熱を注いでいる。生への欲求が、作品から滲み出ている。
彼は食いしん坊だし、女性にも目がない。彼はいつも女性にアタックをかけるのだが、冷たくあしらわれる。
彼がもてない理由は、なんだろう。
独特のヘア・スタイルを含めたルックスが、イケてないからか。彼に将来性がないからか。それとも、イタズラばかりしてほくそ笑んでいる、底意地のわるいやつ、と思われているのだろうか。
だが、彼のいたずらは、けっしてそれ自体が目的ではない。どちらかといえば、彼を冷たくあしらった女性たちへの、彼なりの意思表示だと考えられる。
この意思表示も、仕返しといった悪意に満ちたものではなく、ウイットが利いていて、お洒落でちょっと物悲しかったりする。
そう、同性の目からすると、かり〇げ君はめちゃカッコいい男なのだ。
このあたりが、三〇年近くも人気連載を保っている秘訣ではないか、と私(大原)は想像する。
あれれ……ここまで書いておいて、わが愛すべき梅人との歴然とした差に、作者は愕然とする。
あきらかに作者の力不足です。ごめんなさい、梅人さん。