第八話
「へぇ、便利な技だな」
「はぁぁぁぁぁ、死ねるかと。何であんな数に追われるんですか!」
「いや、だーかーらー。俺はお尋ね者なの!」
「それはそうと何処の国で犯罪犯したんですか!」
「………×××国」
「え、嘘」
×××国は有名な独裁国家で国際的にも問題視されている。
一時期アメリカと戦争をしていたはずだ。
「正確に言うと逃げ出しただけだけどな」
「それだけであんなふうに追われてるんですか?」
頷く青年、ほむらは眩暈がしそうになった。そんなしょうもない理由で命が狙われるとは
「そうだぜ。これからさらに狙われるようなことするんだがな」
「えっと、ここで、ですか?」
ほむらたちは白い壁の大きな施設の前に居た。
「そ、ここはな………超能力者の研究施設なんだ」
「?」
「天然物の超能力者が居るのはこの世では当然の知識だ。でさ、人工の超能力者って居ると思うか?」
「そんなものありえない!」
「だな。そんな馬鹿なことを奴らはやろうとしてるんだ」
青年が嫌悪の表情を見せる。その表情でほむらは彼のやろうとしていることがわかった。
「分かりました。手伝いますよ」
青年とほむらは同じ顔で笑った。
◎
それから、三十分後。元々白かった実験施設の壁は無残にも崩壊したり焦げ付いたりしながらもどうにか体勢を守っていた。
「楽勝だったな」
「はい!」
二人がハイタッチをする。後ろにはうつろな目をした少女たちが居た。実験施設の中に居た少女たちだ。
「俺はこの子達連れて逃げるよ。そういえば、万屋、お前名前は?」
「風神ほむらです」
「………え? 確認するが、風神?」
「はい」
「なあ、両親の名前は?」
「? おとはとれいやですが……」
「マジか……お前、俺の弟?」
「へ?はぁ?!」
驚くのはほむらの方だ。いきなり家族だとか言われたらそれは驚くはずだ。
「俺、名前は風神ほかげ」
「ほ、ほかげ?!」
ほむらは親に聞かされた生き別れの姉の話を思い出す。待てよ、姉?!
「え、え、えええええっ!」
「?!」
ようやく、ネタ晴らし。ほかげが家族と連絡付いた理由はほむらに会ったからです。風神三姉弟がいつ会えるかは未定。