第六話
LAN武様 感想ありがとうございます。
名前が分からないのは仕様です。(こっちで名前乗せても大丈夫か分かりませんし………)
一時間後
「よし、やめ!」
その後、やってきた部活の顧問により部活終了の合図が出た。
「つ、疲れた………」
「お疲れ、大丈夫か?」
へたり込んでいる井上によく冷えたペットボトルを渡した。
一口あおった井上が笑う。井上としては味は分からないのだが冷たいことだけは分かるので飲むことについては楽しんでいる。それの代わりに、その味に見合った文章は持参しているので気にしないのだ。
「うん、疲れただけよ」
「そりゃよかった」
もう一口飲んで一息ついた。
その直後、爆発音が響き渡った。
「「「?!」」」
◎
「お、やってるやってる」
つばめがこっそりと覗くと黒い髪を後ろで一本に纏めた身長2mの青年が男子生徒を殴り飛ばしていた。
「ぎゃあああああ」
一発で男子生徒が吹っ飛び、壁にたたきつけられる。
つばめはその様子をスケッチし始めた。つばめの新聞部は写真を使わないことをモットーとしていて、記者がその場面をスケッチした絵を写真の代わりとしている。
その場面をを見て、小学生並みの身長のポニーテールの少女が叫んだ。
「お兄ちゃん!もうやめて!」
物陰で眺めながらつばめは首をかしげる、
「(? 兄妹なのか? でも、そんな情報無いしなー)」
メモ帳をめくる、その首根っこを誰かが掴んだ。
水色のゆるいウェーブの掛かった髪に花形のヘアピンをつけた少女だ。
「何やってんや? あんた、中等部の学生やん」
「(うげ、見つかった!)」
逃げようとするがそこは所詮は中学生、逃げられない。
そこにライトブラウンの腰まで届く髪を先っぽだけまとめていて、エメラルド色の目をした。薄黄緑のサングラスを掛けた黒スーツの少女が通りかかった。
「どうしたの?……って新聞部のつばめ君じゃん、放してあげて、取材ご苦労様。でも、名前は出さないようにね。あの人ただですら伝説だから」
「へーい! 姐さん、ありがとう!」
「はいはい、頑張りなよ」
彼女は教師で新聞部とも交流のある人物のため面識があったのだ。
ちなみに姐さんというのは彼女のあだ名である。
「あ、そうだ。君に用事があったんだ」
「なんや?」
「実はねー」
そう言いつつ去っていく二人、教師の方の彼女が振り向いてウインクをした。上手く頑張れの合図だ。
そのウインクで気が付いて慌てて騒動の方を見直すともう収束していた。
小学生並みの身長の少女が巨大なピコハンで両方を叩き説教をしていた。ピコハンの痛みはかなりのものらしく殴られていた男子生徒は気絶し、青年の方は頭を抑えて屈みこんでいる。
「(んー喧嘩両成敗ってとこか、いい記事になるなー)」
少女が説教する場面をスケッチして、つばめは中等部の校舎に戻っていった。
「…………」
『これは酷い』
依頼の場所に向かった二人が目にしたのは廃墟寸前となった村だった。
略奪するものは全て略奪され、住民の姿は見えない。それどころか周囲には動物の気配すらなかった。
そこに一箇所だけ違うところがあった。かすかにだが、生き物の気配がするのだ。
そこには焚き火の跡が残っている。
「…………っ!」
後ろの気配を察したほむらが指を銃の形にして向ける。
そこにはやせ細った、帽子の下に赤メッシュの入った青髪を入れた、軍服姿の18ほどの青年が銃を肩にかけて立っていた。
「あんたが万屋か?」
「………あなたが依頼人?」
「ああ、すまないな。こんな辺鄙な場所に呼び寄せて」
「それが仕事ですから」
「場所を移そう、ここも気が付かれたらしい」
周辺にはそれまでなかった無数の気配がするようになった。
「!」
「大丈夫だ。この程度の数なら………」
それと同時に何かが爆発したり、上空から何かがぶつかる音がしたり、無数の悲鳴や絶叫がこだました。
「俺のトラップでどうにかなる」
青年はにまりと笑う。その顔に己の弟を思い出したほむらはハッとした。