第四話
ここは明也たちも通う学園の中等部。
「今日は転校生を紹介するぞ」
五月の頃、転校生がやってきた。
「井上、入ってきてくれ」
「井上遠子です。よろしくお願いします」
中に入ってきたのは黒の長髪に金の瞳、赤いフレームの眼鏡、どこか猫めいた雰囲気を持った少女だった。悪魔を名乗る少年に学校を紹介された少女である。
「んーじゃあ、風神の隣だな」
「ここだぜー」
青く短い髪にぱっと明るい黄緑色の目の少年が井上に手を振る。
「あ、はい」
☆
「えっと、風神くん・・・だよね」
「あ、俺ははやて、風神はやてって言うんだ。基本的にはやてって呼ばれてるからそれでよろしくな」
にっと笑う。人懐っこい笑みだ。
「そっか、あの・・・はやてくんって兄弟・・・居る?」
「! もしかして、ほむらにあったのか?!」
ずずいと寄るはやてに井上はたじたじになる。
「あ、そ、その・・・・名前は知らないけどあなたそっくりな高校生くらいの人にあったの」
「え?高校生?」
その発言にきょとんとなるはやて、意外だったようだ。
「あれ?違うかしら」
「俺の兄弟は俺と同い年なんだ。双子なんだぜ」
「そっか・・・・あの人凄いそっくりだったんだけどなぁ」
悪魔を名乗る少年の顔を思い出す。雰囲気から何までそっくりだった。
☆
学校も終わり帰ろうかなとしたとき、ふわふわとした黒髪を後ろでちょこんと結んだ、はっとするくらい綺麗な赤い瞳の少年がメモ帳とペンを手に井上にずずいと寄ってきた。
「なーなー君が噂の転校生?名前は?どんな力持ってるの?!」
「え?え?」
あまりの事にきょとんとなる井上、そんな様子にはやては呆れた顔をして少年の首根っこを掴む。
「つーばーめー やめんか!」
「うわっ」
身長差はほとんど無いのだがはやては腕の力強いようで少年を高い位置まで上げてしまう。
「ごめんな、遠子 こいつは大神つばめ、ウチの学校新聞の売れっ子記者なんだ」
「おれは大神つばめ、こいつとは腐れ縁でさー、よろしくな♪」
「よ、よろしくね」
「あの子元気にしてると思う? そら」
「とは思うけど?というより君を探していると思うよ」
青い髪に緑色の目の少年が黒髪に緑のメッシュ、くすんだ緑色の目の少年に語りかけた。
「そうだね。早く………帰らないとね」
ちょっと苦しげに笑う青髪の少年の首元にはよく見ると時計の付いた首輪が付いていた。
その時計の針は11時を指している。