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追放された俺がふるだけの剣でキンキンキンキンしてたら、乙女が27人集まってハーレムになって、ねこをさがしてたはずが世界の理になってた件  作者: キンキンタロー


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塔の下にいるもの

無の塔は、空に届いていた。

地平線の向こうからそびえ立つその構造物は、建物というよりも、世界の裂け目のようだった。

石でも金属でもない、記憶のような素材でできていて、見る者の心に直接語りかけてくる。


金太郎たちは、塔のふもとに立っていた。

風は止まり、音は消え、ねこは金太郎の足元でじっとしていた。

誰も口を開かなかった。塔の前では、言葉が意味を失う。


「ここが、世界の根だ」

エリシアが静かに言った。

「この塔の下に、“黒幕”がいる。帝国を動かし、理をゆがめてきた者」


リュミエール姫は、塔の表面に手を触れた。

冷たい。けれど、内側から熱が伝わってくる。

「この塔は、生きてる。記憶を喰って、世界をつくりかえてる」


金太郎は、剣を背負ったまま、塔の扉へと歩いた。

扉は、誰も触れていないのに、ゆっくりと開いた。

中は、暗かった。けれど、奥に、何かがいた。


一行は、塔の内部へと足を踏み入れた。

階段はなく、床はなく、ただ空間が広がっていた。

重力も時間も、ここでは意味を持たない。


そして、彼らは“それ”を見た。


黒い影。

形はない。目も口もない。

ただ、存在だけがあった。


「おまえが、黒幕か」

金太郎が言った。声は震えていた。


影は、答えなかった。

代わりに、空間がゆがみ、記憶が流れ込んできた。


帝国の誕生。

乙女たちの封印。

ねこの分離。

そして、金太郎の“生成”。


「おまえが、世界をこわしたのか」

「いや」

影が、初めて言葉を発した。

「私は、世界そのものだ。こわれることも、なおることも、私の一部」


金太郎は、剣を抜いた。

「じゃあ、おれがふる」

「ふることで、世界をなおす」


影は、笑った。

「ふるだけでは、足りない。おまえは、もう“ふる者”ではない。おまえは、“なおす者”だ。だが、なおすには、すべてを知る必要がある。すべてを、受け入れる覚悟があるか?」


金太郎は、ねこを見た。

ねこは、静かにうなずいた。


「おれ、ねこさがしてただけ。でも、いまは、せかいをさがしてる」


剣が、光った。

乙女たちが、金太郎の背に立った。

記憶が、塔の空間に満ちていく。


そして、金太郎は、剣を振った。


「キンキンキンキンキンキンキンキン・・・・キィンッ!!


空間が裂け、影が揺らぎ、塔が震えた。

だが、黒幕は消えなかった。

むしろ、金太郎の中に入り込んだ。


「これが、代償だ」

「おまえは、世界の理そのものになる」


金太郎は、膝をついた。

目が白く濁り、声が消えた。

乙女たちが駆け寄るが、彼は動かない。


ねこが、彼のそばに座った。

「彼は、世界になった。

でも、まだ終わっていない。

この塔の上に、“選択”がある」


リュミエール姫が言った。

「行こう。塔の頂へ。彼を、世界を、なおすために」


そして、一行は、塔の階層を登り始めた。

金太郎を残して。

でも、彼の記憶は、彼女らの中に生きていた。


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