うしろにいるもの
古代人の街は、しずかでした。
カプセルの乙女たちは、金太郎のまわりに立っていました。
「あなたが、27人の乙女を集めた」
「それで、世界は、なおる」
金太郎は、つるぎをふりました。
でも、なにもこわれませんでした。
風がふき、音がうまれ、空がすこしだけひかりました。
ねこが、あらわれました。
白い毛、金の目、しずかな足音。
でも、それは、ただのねこではありませんでした。
「わたしは、記憶」
「わたしは、理」
「わたしは、あなたの涙」
金太郎は、ねこを見ました。
「おれ、ずっとさがしてた」
「うん。ずっと、見てた」
乙女のひとり――リリが言いました。
「でも、世界はまだ、なおっていない」
「帝国が、こわしつづけている」
エリシアが、古代の記録をひらきました。
そこには、名前のない影が書かれていました。
「帝国を動かしているのは、“黒幕”――理の外にいる者」
「その者は、世界をこわすことで、記憶をぬりかえようとしている」
リュミエール姫が言いました。
「帝国の動きは、ただの政治じゃない。これは、世界の再構築」
「その中心に、“黒幕”がいる」
くまさんは、火を見ながら言いました。
「それ、ねこよりこわいな」
金太郎は、つるぎをにぎりました。
「じゃあ、ふる」
「おれ、ねこさがしてたけど、せかいもなおす」
乙女たちは、目をとじて言いました。
「その決意が、世界をゆらす」
「その剣が、理をこえる」
ねこは、金太郎の足もとにすわりました。
そして、すこしだけ、なきました。




