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5ねんまえ(前編)
金太郎は、まだちいさかった。
ふんどしも、まだ赤くなかった。
くまさんとも、まだ出会っていなかった。
山のふもとに、ちいさな村があった。
金太郎は、そこで木をはこび、石をならべてくらしていた。
人はすくなく、声もすくない。
でも、金太郎は、しずかに生きていた。
ある日、空がひかり、山がうなった。
「キンキンキンキン!」――音がした。
村の人はにげた。金太郎は、にげなかった。
山のなかで、金太郎はつるぎを見た。
さわると、手がしびれた。
でも、はなさなかった。
そのとき、声がした。
「おまえは、ふるべきものだ」
金太郎は、まだ意味がわからなかった。
でも、つるぎは、もう金太郎のものだった。




