空からくるもの
金太郎たちは、砂漠の都市サラハにいました。
風はしずかで、すなはあたたかく、リリの歌が空にひびいていました。
「ねこ、うたってるかな」
金太郎は、つるぎをかついでいました。
そのとき、空がうなりました。
黒いかげが、雲をこえてあらわれました。
それは、帝国第一航空艦隊――空をわたる城のような船でした。
「これ…おおきすぎる」
くまさんが、空を見てつぶやきました。
船は、音をたてずに動いていました。
でも、空気がふるえ、地面がゆれ、リリの歌がかき消されました。
リュミエール姫がさけびました。
「帝国が、本気で来た…!」
「この都市を、記憶ごと消すつもり!」
エリシアは、文書をかかえて言いました。
「この都市には、音の記憶がある。帝国は、それをこわしたい」
空から、光がさがりました。
それは、火ではなく、理をこわす光――
記憶をぬりつぶす、白いひかりでした。
金太郎は、つるぎをふりました。
「キンキンキンキン!」
空がゆれ、光がまがり、風がとまりました。
でも、船は、うごきをとめませんでした。
「これ、ふるだけじゃ、たりない」
金太郎は、空を見て言いました。
リリが、こえをふりしぼって歌いました。
でも、歌は、空にとどきませんでした。
そのとき、ねこが、すなのなかでふるえました。
だれにも見えない場所で、すこしだけ、なきました。
金太郎は、つるぎをにぎりしめました。
「ねこ、まもる」
「この空、こわせるまで、ふる」
くまさんは、つぶやきました。
「これ、ほんとうに世界なおすやつだな…」




