うたうこえ
金太郎たちは、すなの海をこえていました。
風がつよくて、空がまぶしくて、足がうまっていきました。
でも、まえには、白い都市が見えていました。
「ここが、サラハ」
リュミエール姫が言いました。
「うたの都市。世界に声をささげる場所」
くまさんは、耳をすませました。
「風のなかに、歌がある。聞こえるか?」
金太郎は、パンをかじりました。
「ねこ、うたってるかな」
都市のまんなかに、祭壇がありました。
その上に、ひとりの女の子が立っていました。
白いかみ、金の目、うすい声。
「わたしは、リリ。音の乙女です」
リリは、歌いました。
声は、風にのり、空にとけ、すなにしみこみました。
そのとき、金太郎のつるぎが、かすかにふるえました。
「あなたの剣は、世界の音にふれている」
「ふるだけだよ」
「でも、その“ふるえ”が、理をゆがめる」
エリシアが言いました。
「音は、世界の記憶。あなたの剣は、それをふるわせている」
リリは、金太郎の手をとりました。
「わたし、あなたの声を聞きたい」
「おれ、ねこさがしてるだけ」
「それでも、あなたが、すきです♡」
くまさんは、つぶやきました。
「これで18人。あと9人か…」
風がふきました。
リリの歌は、空にのぼり、すなのなかでとまりました。
そして、ねこが、すこしだけ、ふるえました。




