すなのこえ
アレクサンドリアは、もえていました。
図書館の塔はくずれ、本は風にまい、空は赤くそまっていました。
金太郎は、つるぎをおさめて、なみだをながしていました。
「ふるだけじゃ、まもれない」
「ねこ、まだいない」
くまさんは、そばにすわっていました。
「それでも、おまえは、ふるしかない」
エリシアは、焼け残った文書をひろげました。
すすけたページに、かすれた文字がのこっていました。
「次の乙女は、“音の器”」
「その者は、すなの祭壇にすむ」
「声をうたい、世界の振動を読む」
リュミエール姫が言いました。
「それは、砂漠の都市――サラハのことね」
「そこには、歌をささげる乙女がいると聞いたことがある」
金太郎は、パンをかじりました。
「ねこ、うたうかな」
「それは、まだわからない」
くまさんは、地図を見ながら言いました。
「サラハは遠い。砂の海をこえて、風の門をぬける」
「でも、行くしかない。乙女は、あと10人」
エリシアは、すすけた文書をとじました。
「この記録も、もうすぐ消える。でも、あなたがいれば、理はつながる」
金太郎は、空を見ました。
「じゃあ、いこう。ねこ、うたってるかもしれない」
風がふきました。
まちは、しずかになりました。
そして、金太郎たちは、砂の都市へむかいました。




