もえた本と、なみだ
夜のアレクサンドリアは、しずかでした。
図書館の本はねむり、風はページをめくっていました。
金太郎は、火のそばでパンをかじっていました。
「ねこ、まだいない」
エリシアは、古文書を読んでいました。
「この記録があれば、世界の理に近づける」
「でも、帝国はそれをこわしたい」
そのとき、空が赤くそまりました。
遠くで、火があがりました。
「まちが…もえてる」
兵士がかけてきました。
「帝国の部隊が来ました!図書館をねらってます!」
「記録を、まちごと消すつもりです!」
くまさんは、つるぎを見ました。
「おまえ、ふるか?」
金太郎は、立ち上がりました。
「うん。でも、まちをこわしたくない」
火は、図書館にせまっていました。
本が、ひかりのなかでとびちっていました。
エリシアがさけびました。
「この本は、世界の記憶なの!」
金太郎は、つるぎをふりました。
「キンキンキンキン!」
火がとまり、空がゆれ、時間がねじれました。
でも、すべては守れませんでした。
図書館の西の塔が、くずれました。
本が、風にまい、ひかりのなかで消えていきました。
金太郎は、つるぎをおさめました。
そして、はじめて、なみだをながしました。
「ふるだけじゃ、まもれない」
「ねこ、まだいない」
「でも、せかいは、こわれてる」
くまさんは、そばにすわりました。
「それでも、おまえは、ふるしかない」
リュミエール姫が言いました。
「この涙が、世界をなおすはじまりになる」
エリシアは、金太郎の手をにぎりました。
「あなたが、すきです♡」




