ねこをさがす理由
金太郎は、まちのなかをあるいていました。
アウルムはにぎやかで、ひかりが多くて、ねこがいそうでした。
でも、ねこはいませんでした。
「ねこ、どこだろ」
金太郎は、つるぎを見ました。
「これ、ふったら出るかな」
くまさんは、すぐに言いました。
「それ、まちがこわれる」
そのとき、黒いふくの男があらわれました。
目がするどくて、声がひくくて、風のなかに立っていました。
「金太郎。ねこをさがしているな」
「うん。ねこ、だいじ」
「それは、“記憶の器”だ。帝国も、さがしている」
リュミエール姫が、つぶやきました。
「やっぱり…帝国は、ねこを知ってる」
男は言いました。
「ねこは、世界の理がこわれるまえの“かたち”だ。
それを見つければ、世界をもどせる。
でも、帝国は、もどしたくない。つくりなおしたい」
金太郎は、パンをかじりました。
「おれ、ねこさがしてるだけ」
「それが、いちばんこわい」
男は、風のなかにきえました。
くまさんは、火を見ながら言いました。
「ねこは、ただのねこじゃない。
おまえがさがしてるのは、せかいの“まちがい”だ」
金太郎は、空を見ました。
「でも、ねこは、さびしそうだった」
その夜、屋根のうえに、白い毛がひかりました。
ねこは、またすきまにいました。
でも、目は、金太郎を見ていました。




