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アウルムの風
金太郎たちは、商業都市アウルムにつきました。
おおきな門、にぎやかな通り、ひかる看板。
人がたくさんいて、声がたくさんありました。
「ここ、ねこいそう」
金太郎は、目をきらきらさせました。
でも、くまさんは、まちの空を見ていました。
「風が、へんなにおいしてる」
「へんなにおい?」
「帝国のにおいだ」
リュミエール姫は、まちの地図をひろげました。
「この都市、帝国の商隊がよく通るの。でも、最近は動きがふえてる」
「それ、よくない?」
「よくない。帝国は、世界の理をこわそうとしてる」
そのとき、金太郎は、ふと立ち止まりました。
まちのかげに、白い毛がありました。
「ねこ…?」
でも、それはすぐに消えました。
風がふいて、毛がとびました。
金太郎は、つるぎを見ました。
「これ、ふったら、ねこ出るかな」
くまさんは、つぶやきました。
「それ、やめとけ。まちがこわれる」
その夜、宿の屋根のうえに、黒いかげがいました。
目がひかり、声がひびきました。
「金太郎…見つけた…」
でも、それは人ではありませんでした。
それは、帝国の“理の密偵”――
そして、ねこのかたちをしていました。




