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ねこの目
ねこは、山のうえにいました。
風がふいて、木がゆれて、空がしずかでした。
でも、ねこは、しっていました。
このせかいは、しずかじゃない。
ねこは、金太郎を見ていました。
ふんどし、つるぎ、くまさん。
「また、ふってる」
「また、せかいがゆれてる」
ねこは、せかいのすきまにいました。
人には見えない。魔物にも見えない。
でも、金太郎だけは、ねこをさがしていました。
「なんで、見つけるの?」
「なんで、さがすの?」
ねこは、せかいの“まちがい”でした。
このせかいは、キンとギンでできている。
でも、ねこは、どちらでもなかった。
ねこは、記憶のかたまり。
むかしのせかい、こわれるまえの理。
それを、金太郎は、なぜか感じていました。
「この人、ふるだけで、せかいがもどる」
「でも、もどると、わたしは、きえるかも」
ねこは、木のうえで、金太郎を見ていました。
女の子がふえていく。
せかいがゆれていく。
でも、金太郎は、かわらない。
「ねこ、さがしてる」
それだけ。
ねこは、つぶやきました。
「このせかい、もうすぐ終わる」
「でも、それは、はじまりでもある」
風がふきました。
ねこは、木からとびました。
そして、また、すきまにもどりました。




