第3A話 : 正式ハンターたちとの出会い
仲間との衝突を経て、ノルは再び自分の本来の目的へと立ち返ることになる。ロッテンロウに所属する正式な狩人たちを巡る旅の中で、ノルと仲間たちは、力だけでは測れない「生き残るための知」を少しずつ学んでいく。しかし、その成長の影には常に危険が潜んでいた。観察され、試され、いつ襲いかかってもおかしくない影。彼らが出会う“狩人”とは、果たして導き手か、それとも新たな脅威なのか――。
(ファクロとノルが歩きながら話している。後ろにはツバキとヒソカが見える)
ヒソカ
ツバキ、あんまり言いたくはないけど……さっきのお前、いつもと違ったぞ。あんな簡単に取り乱すなんて珍しい。
椿 イカリ
……そうね。感情に流されて衝動的に動くなんて、狩人として失格よ。あんな挑発、乗るべきじゃなかった。
ヒソカ
まあ……大変だよな。ずっと真面目に、“規律を守る狩人”を演じ続けるのって。
椿 イカリ
(少しムッとしつつも落ち着いた口調)演じてなんかないわ。狩人は常に——
ヒソカ
「狩人はこうあるべき」「狩人はこうしちゃいけない」って……お前、自分の“あるべき姿”ばっかり気にして、本当の自分を押し込めてるんじゃないのか?
椿 イカリ
それが悪いの? 私は私なりに強くなりたいだけよ。何がいけないの?
ヒソカ
悪くないさ。ただ——他人の生き方とか、狩人になる理由にまで口を出すのは違うと思うぜ。
まるで……あいつの全部が、お前を苛立たせてるみたいなんだよ。
椿 イカリ
どうしてそう思うの? まだ数回しか一緒にいないのに……まるで昔から私を知ってるみたいな言い方ね。
(視線を落とし、眉を寄せ、右腕を抱くように掴む)
ヒソカ
……ツバキ。
(説得するように腕を組んで見つめる)
椿 イカリ
(深く息を吐く)……そう。あの時の言葉よ。あれが……すごく嫌だったの。
ヒソカ
言葉?
(思い返して)ああ、俺たちの追い出し方か?確かにちょっと無礼だったけど……あいつ、たぶん嬉しすぎただけだぞ。
ファクロ以外の“正式な狩人”に会うの、きっと初めてなんだろ。興奮もするさ。
椿 イカリ
ええ……まるで夢でも見てるような顔だった。
ここがどれほど厳しい場所なのか、分かってないみたいに見えたわ。
(表情の怒りがふっと消え、どこか淡々としている)
椿 イカリ
あの子にとってこれは……遊びみたいなもの。
認められたくて、自分の夢が正しいと証明したくて、命まで賭けた。
まるで誰かに「それでいい」って言われるのを待ってるみたいで……
……だめね。そんな風に考えるべきじゃない。
(胸元の服をぎゅっと握る)
ヒソカ(心の声)
——ツバキがこんな風に感じてたなんて。
椿 イカリ
私は……ノルが無駄死にするのなんて見たくない。
誰かを盲目的に崇める狩人にもなってほしくない。
狩人は、憧れでも憎しみでもなく……ただ「守るための規律」よ。
ヒソカ
(微笑んで)……本当に気にしてるんだな、初対面の相手なのに。
椿 イカリ
だって……彼、昔の私にすごく似ているから。
野流 タケダ
着いたぞーー!! ついに正式な狩人たちに会える!
なぁ、二人もワクワクしてるよな!?
(ファクロの両手を握ってぴょんぴょん跳ねる)
椿 イカリ
(ほんのり微笑む)ええ、とても。
ファクロ
よし! じゃあ行くぞ!!
ファクロ
まず覚えておけ。これから会うのは、第一の村に所属するサファイア級とルビー級の狩人たちだ。
彼らはダイヤモンド級に次ぐ、組織でも最高位の実力者。
全部で32人。それぞれの家は9〜10キロほど離れている。
野流 タケダ
はぁっ!? 遠すぎる!! そんなの回りきれないだろ!!
(大げさに慌てる)
ファクロ
落ち着け。中央部には小さな列車がある。
昔、狩人たちが移動用に作ったものだ。
それに、任務で不在の者もいるだろうし、思ったほど時間はかからん。
質問がなければ、まず一軒目に向かうぞ。
ツバキ・ノル・ヒソカ(全員)
……一軒目?
野流 タケダ
“家”…?
(驚いた表情)
(目の前には約100メートルの長い石壁と、上質な木材の両開きの巨大な門がそびえている)
ヒソカ
ここに住んでる奴、相当金持ちだな…
ファクロ
まあな。ここに住んでるのは俺の親友だ!
(ドヤ顔)
(ヒソカとノルはさらに驚く。椿は少し疑わしそう)
ファクロ
(門を叩きながら) おーーい、フォーカス! 話があるんだ、開けてくれー!
(数分待つ)
ファクロ
(嬉しそうに) うーん… 今いないっぽいな。重要な任務にでも行ってるのかも。
フォーカス
(中から) いるよ。ただ、お前に会う気がないだけだ。
(ファクロの心がバキッと折れる。だが笑顔は保つ)
(門が開く)
フォーカス
入れ。だが手短にしてくれ。今は忙しい。
(無表情のまま)
ファクロ
よし! みんな、さあ行こう! フォーカスを待たせるな!
(ハイテンション)
(3人の新人狩人が中へ入る。しかしフォーカスはファクロの目の前で門を閉める)
ファクロ
は? おい、フォーカス!!
フォーカス
(もう一度開けて)悪い、癖だ。
(中を歩いていく。ジャガイモ、米、小麦の畑が広がり、奥には藁葺きの木造小屋が見える)
フォーカス
話を手早く済ませよう。
俺の名前はフォーカス。サファイア級の狩人だ。人間で言えば25歳前後。
人付き合いは得意じゃない。中央の街にはよくいるが、その時に俺に話しかける必要はない。
それから狩人としての助言が欲しいなら、俺以外に聞いてくれ。
(淡々としているが悪意はない)
フォーカス
では、名前・年齢・得意分野を。
椿 イカリ
おはようございます、椿イカリです。18歳。近接戦闘が得意で、武器の扱いは中級、上級手前です。
(緊張しているが姿勢は真っ直ぐ)
フォーカス
興味深いな。試験に来る候補者の多くは基本か初心者レベルだから。
(相変わらず無表情)
フォーカス(心の声)
…まさか訓練を頼んできたりしないよな。面倒はごめんだ。
(ノルに視線を向ける)
野流 タケダ
こんにちは! 野流タケダです! 来月18歳になります!
木登りとか岩登りが得意で… 武器の扱いは初心者です!
(ニコッと親指を立てる)
フォーカス
平均的だな。次。
(ノル、目に見えてショック)
ヒソカ
俺はヒソカ・アハネ、19歳。監視と隠密が得意だ。武器の扱いは… 正直よく分からん。
(苦笑い)
フォーカス
問題ない。お前らの戦闘はこの数ヶ月で一度だけ見たが、それで十分判断できる。
ファクロ
武器の扱いには8つのカテゴリーがある。
評価は剣を振る技術だけじゃなく、動作、判断、呼吸、応用、そういった要素の総合点で決まる。
そしてこれは狩人の階級を決める重要なポイントだ。
(ファクロの後ろに解説図が浮かぶような演出)
武器扱いカテゴリー
基本:400〜800
初心者:801〜1000
中級:1001〜1200
上級:1201〜1400
特級:1401〜1600
熟練:1601〜1800
大師:1801〜2000
狩人長:2000以上
フォーカス
その通りだ。
ヒソカは状況によって能力の幅があるが、基本は初心者〜中級の間だ。特に隠密行動は優れている。
フォーカス
ノルに関しては……カテゴリー上は初心者だが、実際の技能は低い。
追い詰められると判断が鈍り、考えずに動く。正直、基本レベルに近い。
(ノル、しょんぼりと肩を落とす)
ファクロ
まあまあ! カテゴリーだけが狩人としての強さを決めるわけじゃないぞ!
フォーカス
さて、本来ならここで「質問はあるか」と聞くべきだが——
(ヒソカとノルが同時に手を挙げる)
フォーカス
……だが、もう十分説明した。というわけで省略する。
(ヒソカとノル、露骨に不満そう)
ファクロ
よーし、行くぞ。フォーカスにお礼を言ってな。
野流タケダ
えっ、もう? 俺たち、まだほとんど話してないけど…
ファクロ
(小声で)信じろ。今日はかなり話した方だ。
初めて紹介された時なんて、「名前と、ジャガイモが好き」しか言わなかったからな…
ファクロ
じゃあまたな、フォーカス。夕方また来る!
フォーカス
……わーい、楽しみだ。(完全に棒読み)
(4人が外へ出る。フォーカスは門を閉める)
ファクロ
(閉まった門に向かって手を振りながら)じゃあなー、フォーカスー!
ファクロ
さて、まだまだ家は残ってるから急ぐぞ。
次はキョン・ランの家だ。彼は狩人ではないが、ロッテンロウの三つの村で重要な役割を持っている。
ヒソカ
ファクロ、ひとつ聞きたいんだが。
ファクロ
ん? どうした?
ヒソカ
フォーカスって……カラスなんだよな? なんでなんだ?
ファクロ
ああ……フォーカスは俺たちとは違うんだ。
本人はその話が嫌いでな。だから、俺の口から話すのは良くない。
(少しだけ真剣な表情になる)
(場面転換:いくつかの家を訪れる。
滝のそばの寺院、古い和風の家、現代的な家などの描写が続く)
(最後の家に到着。夕暮れで薄暗くなっている)
ヒソカ
思ったより小さい家だな。
ファクロ
大きさは関係ないさ。ほら、行こう。きっと家にいるはずだ。
椿イカリ
そのセリフ、ここ三軒続けて聞いたんだけど。
ファクロ
いや、でも今回は本当に——
(ノックしようとした瞬間、扉が開く)
ライデン・シバタ
(威圧感のある落ち着いた声)
初めまして。俺はライデン・シバタ。ロッテンロウ狩人組織の一員だ。
今年の新入りたちと会えるのを楽しみにしていた。
ライデン
ところでファクロ、案内はうまくできたか?
ファクロ
もちろんです、ライデン様!!
(興奮しながら親指を立てる)
ライデン
ふう……よかった。
この挨拶、朝からずっと練習してたんだ。
(少し照れた様子)
ファクロ
分かります! 扉が開いた瞬間の存在感、鳥肌立ちましたよ!
(後ろを見ると、三人はただ困惑している)
ファクロ
さあみんな、ライデン様にご挨拶を。
三人
よろしくお願いします、ライデン様!
(揃ってお辞儀)
野流タケダ
俺は野流タケダです!
椿イカリ
椿イカリです!
ヒソカ・アハネ
ヒソカ・アハネです!
椿イカリ
あの…ひとつ伺ってもいいでしょうか。
ファクロさんは何人か狩人を紹介してくれましたが、ライデン様だけを「上の方」と呼んでいました。どうしてですか?
ライデン・シバタ
それは、あいつが俺に対して深い敬意と信頼を持っているからだ。
ファクロがここへ来てから、一番近くで支えてきたのが俺なんだ。
ファクロ
その通りです! ライデン様は強くて優しくて頼れる方なんです。
誰かが助けを求めれば、必ず手を差し伸べてくださいます!
ヒソカ・アハネ
すごいですね。そういう狩人に会えるのは嬉しいです。
俺たちが最初に会った狩人は…話し方がちょっとキツかったので。
ライデン・シバタ
(少し気まずそうに)ああ…誰のことか分かる。
あいつは社交的じゃないが、どうか責めないでくれ。
本当は仲間との関係を良くしようと、内心ずっと努力している。
野流タケダ
ライデン様は、その人と長い付き合いなんですね。
ところで、ライデン様はどれくらいこの組織に?
(ライデンがノルをじっと見つめ、数秒黙る)
野流タケダ
ライデン様…?
ライデン・シバタ
……ああ、長いよ。もう十五年近くになる。
それに…十三年前に……
(表情が徐々に硬くなる)
ファクロ
(慌てて口を挟む)やべっ! もうこんな時間だ!
そろそろ戻さないと!
ライデン様、本当にすみません!
明日は外で任務があるので、今日はもう休まないと!
(ファクロはインベントリから縄を取り出し、ノルとツバキをまとめて後ろ手に縛る。二人はもがくが、肩に担ぎ上げる。ヒソカは逃げるが、すぐ捕まって同様に縛られる)
ファクロ
それじゃ、また! ライデン様!
三人
ノル:さよならー!
ツバキ:お会いできて光栄でした!
ヒソカ:また会えると嬉しいですー!
ライデン・シバタ
ああ、また会おう。(穏やかに微笑む)
(場面転換・夜。森の中。ファクロの背にはツバキとノル)
野流タケダ
なあ、ファクロ。
ファクロ
ん?
野流タケダ
三つの家って、どれも中央の村から同じ距離だったよな?
なんでヒソカを先に降ろしたんだ?
椿イカリ
そうです。この運び方はさすがに不便です。
野流タケダ
それにな…お前の背中、骨っぽくてゴツゴツする…
(ツバキがノルに頭突き。二人とも痛がる)
ファクロ
暴れんな、速度落ちる。
ヒソカは一人だけ別に縛ってたから、先に降ろしたんだ。
お前ら二人は一緒に縛ってるだろ?
片方だけ解いたら、もう片方が絶対逃げる。
俺の任務は「全員を家まで戻すこと」。
一人でも逃げたら、一晩中探し回る羽目になる。
椿イカリ
わたしたちはそんなことしません。失礼ですね。
ファクロ
この三ヶ月、ずっと見てきたんだぞ?
俺が知らないと思うか?
ツバキは下流の湿地か、小さな洞穴に隠れる。
ノルは木から木へ跳んで、上の方でじっと隠れる。
(二人、気まずそうにする)
野流タケダ
……まあ…可能性はある……かも…
ファクロ
もうすぐ家だ。
来週まで生き延びろ。戻ったら試験の第三段階を教える。
二人
わかった。
(場面転換・翌日、森の中)
シゲル
で、どう思う?
マッサル
十分だな。広いし、でかい湖もある。
よし、まずは地面を均すぞ。
時間がない、急ぐぞ。
(マッサルはブレスレットから複数の設計図を取り出す)
本章は長編のため二部構成となっています。続きは近日中に公開予定です。どうぞお楽しみに。




