表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Netherworld ― 最後の狩人の道  作者: Rocket_Ghost


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/26

第10A話 : 他人の憎しみが映る自分

(最終試験当日。ノルとファクロは中央の村へ向かっている)


ノル・タケダ

今日の流れを、もう一度確認させてくれ、ファクロ。


ファクロ

行政庁の中央ポータルを使って首都へ移動する。

その後、《再生のスタジアム》へ向かい、そこで試験が行われる。

試験は三段階に分かれていて、丸一日かかる予定だ。


ノル・タケダ

なるほど……思ったほど複雑じゃなさそうだ。

準備はできてる。


(中央の村に到着すると、二人は首都へと繋がるポータルに入る)


(第1村のポータル区画から出た瞬間、周囲は人で溢れている。

他の村のハンターたち、そして商人や行商人らしき人々が行き交い、

露店や店舗の従業員も多く、大規模な催しの空気が漂っていた)


ノル・タケダ

……いつもより、ずっと人が多いな。


ファクロ

年に一度の大イベントだからな。

これだけ大掛かりになるのも当然だ。ほら、行くぞ。次のポータルだ。


(二人は通路を進む。

入口の扉には《剣》の紋章が刻まれている。

その隣には、世界共通通貨――キャンベルの紋章である《硬貨》の通路。

さらにその隣には、《リンゴの箱》を模した紋章の扉があり、

そこが最も人で賑わっていた)


(迷うことなく、ファクロとノルはポータルへ入る)


(転送は一瞬だった。

二人が現れたのは、ハンター協会本部ビルの100階にある一室)


(広大な空間に並ぶ椅子、用意された豪華なビュッフェ。

全面ガラス張りの窓からは、首都全体と最終試験が行われるスタジアムが一望できる。

その部屋の一角では、シゲルが豪快に食事をしていた。

中世的な街並みと、近未来的な建築の対比が強烈な印象を与える)


ノル・タケダ

す、すごい……。

このポータル、いつも使ってるやつより段違いに速い……


(その直後、シゲルの姿に気づいた瞬間、ノルの胸に小さな苛立ちが灯る)


ファクロ

よう、シゲル。

ところで、お前のところの志願者たちはどうした?

普通なら一緒にいるはずだろ。


(ノルは露骨に不機嫌そうになる。

一方でシゲルは、どこか興味なさそうに返事をする)


シゲル

ナオミとシメットが、もう志願者たちをスタジアムへ連れて行った。

俺は腹が減ってただけだ。


ファクロ

そうか。じゃあ、朝食を楽しめ。


(ノルは視線を逸らしたまま、明らかに苛立っている)


シゲル

ああ、どうも。


ファクロ

行くぞ、ノル。


シゲル

……おい、坊主。

この前のことだが、謝りたかった。少し、やり過ぎた。


ノル・タケダ

……やり過ぎた、だって!?


(困惑と怒りが一気にノルを包み込む)


ファクロ

ノル、行くぞ。遅れる。

(低く、厳しい声)


ノル・タケダ

……わかりました。


(二人は食堂を後にし、エレベーターへ向かう)


ファクロ

上官に対する態度には、もう少し気をつけろ。


ノル・タケダ

あいつはヒソカの死に関わった。

俺にとって、敬意を払う価値はない。


ファクロ

シゲルとマッサルのやり方が間違っていたのは確かだ。

だが忘れるな――お前は、彼らと同じ立場を目指している。

組織公認のハンターになるためにな。


ノル・タケダ

俺は、あんな連中にはならない。

あいつらに、その称号を名乗る資格はない。


ファクロ

だが、現実として彼らはその地位にいる。

それに正直なところ、シゲルやマッサルが

最初から殺すつもりで、あの試練を用意したとは思えん。


ノル・タケダ

どうして、そんなことが言えるんだ?

俺たちは毎回、命を懸けてる。

ジンジョウだって、死んでいたかもしれないんだぞ。


ファクロ

彼らのやり方が危険なのは認める。

だが、試練の内容をよく考えてみろ。

上位ハンター・ライデンと俺で検証したが、

すべては志願者を鍛えるために設計されていた。


ファクロ

結果的に最悪の事態になったのは……

フォーカスへのくだらない私怨が原因だ。


(ノルは、数秒間黙り込む)


ノル・タケダ

……たとえそうだとしても、

俺は、あれを許すことはできない。


ファクロ

許せとは言っていない。

仲良くしろともな。

ただ――顔を合わせた時に、個人的な感情を表に出すな。


ファクロ

ハンターは、共通の敵の前では一つでなければならない。


ノル・タケダ

……モンスター、ですね。


ファクロ

その通りだ。

内部分裂が起きれば、必ず破綻する。

お前の憎しみが、シゲルのようにお前を蝕むのは見たくない。

……それ以上の存在になるのも、な。


ノル・タケダ

……わかりました。

あなたの言う通り、意識します。


(納得しきれてはいないが、今は胸にしまうしかない)


ファクロ

よし、その暗い顔はやめろ。

スタジアムまで競争だ。負けた方が食事代を払う。


(エレベーターの扉が開いた瞬間、ファクロは走り出す)


ノル・タケダ

ちょっと待ってください、その賭けは受けてません。

交換用の獣皮を、十分に持ってないと思います。


(二人が外に出ると、建物の規模がはっきりと見える。

都市の中心にそびえ立つ、高さ二百メートルの超高層ビル。

正面にはロッテンロウの紋章が掲げられている。)


(黄金の輪に囲まれた、威厳ある盾。

中央にはパンダが描かれ、その輪は羅針盤のように四方向へ分かれている。

刻まれている四つの漢字――

「火」「水」「地」「風」。)


(ノルとファクロは建物の屋根を飛び移りながら走る。

道中では、多くの人々が店を開き、スタジアムへと移動しているのが見える。

裕福な者たちは、滞在のために豪華な家を借りている。)


(スタジアムに到着すると、二人はロッテンロウ所属のハンター専用通路から中へ入る。

運営責任者や警備を含め、多数のハンターが配置されている。)


ノル・タケダ

公式ハンターが、かなりいますね。


ファクロ

ああ。ただし、ほとんどはゴールド級とシルバー級だ。

運営と、試験を見に来る来賓の補助を担当している。


ノル・タケダ

じゃあ……観客も来るんですか?


ファクロ

もちろんだ。

この試験には、国内で最も影響力のある実業家四万人が集まる。


ノル・タケダ

四万人!?

どうして、そんなに多いんですか?


(少し舞台恐怖症のような表情を浮かべる)


ファクロ

彼らはハンターの実力を直接見極めに来る。

知っているかは分からんが、ハンター組織は

遥か昔、デュポン家によって設立された。


ファクロ

彼らは長年、組織の建設費やハンターの給料を賄っていた。

だが、時が経つにつれ、一族の財力だけでは足りなくなった。


ファクロ

そこで、新世界の実業家たちが介入した。

彼らは組織に寄付を行い、

さらに自分たちの事業に関わる特殊任務を我々に依頼する。


ファクロ

そうやって、俺たちハンターは生き延び、

日々モンスターと戦えている。


ノル・タケダ

……そんなこと、今まで考えたこともなかったです。


ファクロ

だからこそ、多くの者が

組織ではなく国家警備隊に入ることを選ぶ。


ファクロ

危険度は低く、固定給があり、待遇も良い。

国家警備隊は政府が資金を出しているからな。


ノル・タケダ

じゃあ、組織と政府の関係は良くないんですか?


ファクロ

完全に良好、とは言えん。

政府は、自分たちより強い影響力を持つ存在を嫌う。

だが今のところ、表向きは友好的な関係を保っている。


(更衣室に到着する)


女性ハンター

(記録板を持って)

ノル・タケダ?


ノル・タケダ

はい、そうです。


女性ハンター

やっと来たわね。

ファクロ、あなたが最後よ。

他の志願者は、もう全員試験開始待ちよ。


ファクロ

悪かったな。

昨日、フォーカスが家に泊めてくれなくてな。

そのせいで遅れた。


女性ハンター

もういいわ。

ノル、ついてきて。

試験に必要な装備を渡す。


ノル・タケダ

……はい、わかりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ