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Netherworld ― 最後の狩人の道  作者: Rocket_Ghost


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第9B話 : 容赦なき訓練

(翌日、ノルは脚力を鍛える訓練を始めていた。重たい丸太を背中に担ぎ、跳躍やスクワットを繰り返している)


ノル・タケダ

はぁ……はぁ……

オーラの扱いを……訓練するんじゃ……なかったのか……?


(疲労がはっきりと顔に出ている)


ファクロ

身体ができていなければ意味がない。

オーラの正しい流れには二つ必要だ――十分に鍛えられた肉体と、完璧なオーラ制御。

筋力が弱い身体ではオーラの流れが遅くなる。場合によっては、完全に滞ることすらある。だから重要なんだ。


ノル・タケダ

……わかった。理解したよ。


(その日一日、訓練内容は次々と変わっていった。腕立て伏せ、腹筋、近くの木の枝を使った懸垂。休憩と再開を繰り返しながら、ノルの一日は夕暮れまで続いた)


ノル・タケダ

(地面に倒れ込む)

……もう限界だ。体が動かない。


ファクロ

まだだ。家に帰るところまでが訓練だ。ほら、気合入れろ。


(からかうような口調)


ノル・タケダ

少しは情けをかけてくれよ……。今日は本当にきつかった。家まで走れとか言うなよ。


ファクロ

悪いが、ルールは知ってるだろ。


ノル・タケダ

……わかった。じゃあ立たせてくれ。自分で立ったら、たぶん足がつる。


(ファクロがノルを持ち上げて立たせる。ノルはふらつきながらも歩き出す)


ノル・タケダ(語り)

こうして訓練は、その後の一週間も続いた。

三日目は、ひたすら剣を振るだけだった。朝から夕方まで、同じ動作を何度も繰り返す。


ファクロはそれを「ヴォム・タークの型」と呼んでいた。

剣先を肩の上に構え、その姿勢を維持したまま振り下ろす――ファクロに命じられた通りに。


決して楽な構えじゃない。

鋼の剣の重みが腕と背中にのしかかり、時間が経つほど保持するのが辛くなる。

そのとき、ようやく体力鍛錬の意味がわかり始めた。


持ち上げ、斬り、再び構える。

長い休憩はない。

一太刀一太刀、腰から力を生み、迷いなく振り下ろさなければ、ファクロはやり直しを命じた。


上段と下段の構えを切り替え、縦の斬撃と正確な受け流しを織り交ぜる。

刃は攻撃にも、防御にも使う。

一つの動作に二つの意味を持たせる――

隙があれば斬る、なければ塞ぐ。


剣は決して止まらない。

脅威から防御へ、防御から脅威へ。

同じ動きの中で役割を変え続ける。


やがて脚は焼けつくように熱くなり、腕は震え始めた。


ノル・タケダ

四日目、ファクロは鍔のない短剣を渡してきた。

狙った木に向かって投げろ、とだけ言われた。

短剣が木を貫通するまで、休んではいけないらしい。


何度も投げたが、うまくいかない。

それでも、ファクロが何をさせたいのかは理解できた。

オーラを短剣に纏わせ、刃を強化する――その感覚だ。


だが、頭でわかっていても身体は応えてくれない。

結局、その日も失敗を繰り返したまま終わった。


五日目は、拍子抜けするほど静かな訓練だった。


ファクロ

「そこに座れ。一日中だ。何を考えてもいいが、動くな」


たぶん、瞑想でもさせるつもりだったんだと思う。

最初はそれほど苦じゃなかった。


これまでの訓練を振り返り、少しずつ成長している実感もあった。

そして――ヒソカのことを考え始めた。


ヒソカの死に対する自分の責任について考えていた。

カツヤマの任務で俺を欺いたあの少女のことも思い出した。


……そうしているうちに、腹が減ってきた。


大きなステーキに、マッシュポテトとサラダ。

……フォーカスはレタスを持っていただろうか。

少し分けてもらえれば、料理ができるかもしれない。


でも、彼の家は遠い。行って戻るだけで相当時間がかかる。

だったらファクロが何かくれるかもしれない。スープでもいいし、ウサギの丸焼きでも十分だ。


……いや、違う。

俺は今、何をしているんだ?


ファクロ

おい、起きろノル。どれくらい寝てた?


(ノルは仰向けに寝転がったまま、大きくあくびをする)


ノル・タケダ

……さあな。たぶん、五時間……いや六時間くらい。


(苛立ちと落胆を覚えているが、それを表に出さない)


ファクロ

いいから起きて、家に帰れ。


ノル・タケダ(語り)

六日目は、ほぼ初日と同じ内容だった。

ファクロは特に、俺のオーラ感知の訓練に力を入れているようだった。


七日目は、二人とも休養日だった。

俺は生き延びるための資源集めをすることにし、家の近くで穴を掘り始めた。


ファクロ曰く、森の地下には鉱石や金属、価値のある石が多く眠っているらしい。

少し深く掘れば、交換できる素材が手に入るとのことだった。


ノル・タケダ

二か月間、ファクロはこの一週間の訓練を一度も欠かさず繰り返した。

曜日ごとに決められた訓練を、限界までやり続ける毎日。


正直、彼のやり方に疑問を抱いたこともあった。

だが――今日、それが正しかったのかどうかがわかる。


(最終試験まで残り二週間。ノルはファクロの前に立ち、真剣な表情をしている)


ファクロ

よし、我が小さなバッタよ。

どれほど成長したか、見せてもらおう。


ノル・タケダ

はい。


(ノルは目を覆う)


ファクロ

始めろ。


(ノルは一気に駆け出す。ファクロは跳躍しながら後退する)

(ノルは高速で追いすがるが、ファクロは腕を背中に回したまま、軽々と回避し続ける)


ファクロ

悪くない。もう俺のオーラを感じ取れているな。

だが――次の段階だ。


(ファクロは木々へ跳び移り、掌で幹に触れていく)

(ノルは追い続ける。ファクロはさらに六本の木に同じ動作を繰り返す)

(その瞬間、ノルの感覚が混乱し始める)


ノル・タケダ(心の声)

……増えている。


ファクロ

感知を広げろ。

今、お前が見ているものは想像できる。


広大な闇。

周囲の木々が放つ微かなオーラ。

そして――そこに浮かぶ、複数の球状のオーラの渦。


今、お前はこう思っているはずだ。

「どれがファクロなんだ?」


ファクロ

俺のオーラを少し木に残しただけで惑わされるなら、

まだ“感じている”とは言えない。集中しろ。


(ノルは深く息を吸い、思考を整える)


ノル・タケダ(心の声)

……その通りだ。

感知を研ぎ澄ませろ。


身体のどの部位にも、たとえ微量でもオーラは流れている。

それらが集まり、一つの“全体”を形作る。


――俺が捉えるべきなのは、その“身体”だ。


(ノルは自分の手を見る)

(輪郭は曖昧で、雲のようだが、指や腕の位置ははっきりと感じ取れている)


ノル・タケダ(心の声)

オーラは全身を巡っている。

輪郭がはっきりしていなくても、ファクロの“形”は捉えられるはずだ……。


――心臓の高さだ。

見える……!

オーラの渦……集束する“核”が。


ノル・タケダ

捕まえた。


(満足そうに笑みを浮かべる)

(ノルは一気に距離を詰め、ファクロを捕まえようとする)

(ファクロは二、三度かわす。まるで遊んでいるかのようだ)


(だが油断した瞬間、ノルがその足を踏みつけて動きを止める)


(痛みにファクロが反応する。ノルが触れようとした、その刹那――)

(ファクロは身を低くし、深く息を吸い込み、圧縮した風を一気に放つ)


(突風に吹き飛ばされ、ノルは叫び声を上げながら木の梢まで跳ね飛ばされる)


ノル・タケダ

(木の上から)

な、なんだよ今の!?

狩人って、武器なしで元素攻撃は使えないんじゃなかったのか!?


ファクロ

完全に間違いというわけでもない。

武器なしで攻撃できる狩人もいるが、効率は最悪だ。


オーラの消費が激しいし、指向性を保つのも難しい。

それに――さっきのは、ただの“涼しい風”だ。


(軽く笑う)


ファクロ

この試験はここまでだ。

次は短剣と木だな。


ノル・タケダ

……わかった。


(少し不機嫌。ファクロが反則をしたと思っている)


(家の裏手。ノルは短剣を三本持ち、約10メートル先の木に設置された的を見据えている)


ファクロ

よし。この試験を突破できれば、

最終試験前の“最後の教え”に進める。


準備はいいか?


ノル・タケダ

はい。


ファクロ

――投げろ。


(ノルは真剣な表情で、三本の短剣を立て続けに高速で投擲する)

(一本は的の中央へ)

(残る二本は、的の上下ちょうど一メートルの位置を貫き、木を完全に貫通する)


(ファクロはわずかに目を見開く)


ファクロ(心の声)

……思ったより早いな。

最初はオーラすら扱えなかったのに。


剣にオーラを込めずにツバキとほぼ互角に戦っていた理由も、

剣を頻繁に壊していた理由も、これで説明がつく。


ノル・タケダ

どうでした?


ファクロ

悪くない。

まだ粗はあるが……次へ進む準備はできている。


ノル・タケダ

最後の教えって、何をするんですか?


ファクロ

分かりきっているだろう?


――四大基本元素のうち、一つを本格的に教える。


(楽しそうに笑う)


ノル・タケダ

やっとか!

(嬉しそうに跳ねる)

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