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緋沙子の目

 まずは緋紗子の視力の考察です。


 小学校に上がる前、ブランコから落ちて視力を失った緋沙子。視覚障害の杖を持って日常生活を送っていたようです。

 その一方で本当は目が見えていたのでは? と言う噂もありました。

 感覚が鋭く、周りの変化に気づけて、見抜かれているのでは? と思う人もいたそうです。


 満喜子の研究の手伝いに行っていたKは、こっそりと緋沙子を見に行った際に一瞬、目があった気がしたと話していました。


 では、実際に緋沙子の目はどういう状況だったのか……。


 視覚障害者とは色々あり目の前が真っ暗か真っ白の全盲から、眼鏡などをかけてもぼんやりして見えないなど、人によって全く違います。視覚障害の白い杖を持っていたとしても、全く見えない人間だけが持つ杖では無いと言われています。

 緋沙子もどう見えていたのか……文中から探ると第十三章の【潮騒の町】にて、緋沙子が順二の友達とS字のラブチェアを紹介している361ページ。


【ほら、このベンチよ。おかしな形をしているでしょう。背もたれが高いから、向こう側に座っている人は見えない。でも、色ガラスが嵌っているから、誰かがいることは分かるんだけどね。】


 カギかっこが無いので分からないのだが、多分緋沙子が発した言葉です。

 だとしたら【色ガラスの光や陰で誰かが座っている】というので、ぼんやりと光と影の認識は出来ていたのでは? と思いました。しかしさすがに色までは認識できなかった気がします。もしそうだったとしたら、白い百日紅の勘違いが起きないはずなので。


 と言う事で緋沙子は光と影はぼんやりと見える状況だったのでしょう。だとしたら人影を彼女は見ていたのだろうと。

 これだったらKに緋沙子が気づくのも分かるはずです。予め満喜子が来るときに緋沙子は玄関近くの窓で待っていれば、誰かが来ると分かるはずだから。


 また養護学校では無く普通の学校に通っていたのならば、付き添いの人が居ないはず。だとするならば、本も読めるだろうし文字も書けるでしょう。




 だがなぜか満喜子は全く見えないような発言でしているでしょうか?

 例えば【忘れられた祝祭】でマキの上の兄と久代が将棋をやっていました。だが現実でやっていたのはチェスです。目が見えない状況で将棋をやると文字が見えないし、駒も盤面も木材なので分かりづらい。だから満喜子は将棋指し並みのとんでもない記憶力の持ち主なんだろうな……と思いました。


 しかし実際にやったゲームがチェスだったら盤面も駒も白黒なので分かりやすいです。このゲームだったら光と影しか認識できない緋沙子も出来るゲームです。駒だって触れれば形で分かるから。そして将棋なんてやっていないのでは? と思います。


 また事件現場に残されていた【ユージニア】の詩を満喜子は第十四章で【緋沙子は、どんなつもりで、あのメモを残したのだろう】と語ってます。つまり満喜子はあの詩を書いたのは緋沙子であると分かっていたようです。

 ただ第一章ではこの詩は犯人が残したと言っています。


 このように満喜子は緋沙子の事を大げさに書いていたり、嘘を言っていたのではないだろうか? 全く見えないが記憶力と聴覚や嗅覚の鋭さで状況を把握する美少女と言う感じで。

 それは満喜子のイメージする緋沙子を書いたからでしょうか? それとも……犯人にしたて上げる為にあえて書いたのでしょうか?




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