大体の話しの流れ
注意! ここからネタバレありのあらすじになります。未読の方は注意してください。
まだ軽く書くつもりが、かなり長くなってしまいました。話の流れを知っている方は、次のページに進んでください。
さて、最初に【ユージニア、私のユージニア】と始まる詩、次にプロローグで誰かの会話が記されています。この時点で誰が書いた詩も会話も分からないのですが、作中で重要になってきます。
それからページを開けて、目次、そして第一章に入ります。(文庫版に場合)
第一章は雑賀 満喜子の語り。
彼女はとある観光地を案内しながら、この地で起きた大量毒殺事件を語り、大学生時代に卒論のつもりで書いた本について語ります。
彼女は小学生の時に兄弟と一緒に名家である青澤家のお祝いに行った際に大量毒殺事件の第一発見者になります。
そして転校した後、大学生になり、この事件について調べる事にしました。卒論のつもりで書こうとしていたのだが、かなり違う物になった。だが教授に提出してもらって、更に出版社の卒業生にも見てもらい、彼女が書いた卒論は本となって出版される事になりました。ちなみにタイトルは【忘れられた祝祭】です。
その後は本を出さないで結婚して子育てをしているようです。
大量毒殺事件の犯人は自殺している事、事件で生き残った視力を失った魅力的な少女 緋沙子、ついさっき会った退職された婦警さんが病院に運び込まれた時に緋沙子が語っていた事。
その内容を聞いて、それが卒論を書く前に知っていたら【忘れられた祝祭】は違っていた物になっていたと。
第二章は満喜子の卒論づくりのお手伝いをしたK君の語り。
彼もまた手伝いをした土地で満喜子と一緒に卒論づくりの思い出話を話します。満喜子とはサークルが一緒だったそうです。
さてお手伝いは荷物持ちと録音した事件について語った内容の書き起こしです。
この書き起こしは大変だったが楽しかったとも語っています。
そして満喜子の奇妙な特技についても語っていました。
満喜子はインタビューする人によって、相手が望む人物の様に質問していたようです。これは意識的ではなく、無意識にやっていたそうです。
また宿泊をしていた時、満喜子は「みんなが見るもので、特定の人物だけメッセージを伝えるにはどうする?」とKに質問します。
そこでKは「その人だけが知っている事を書くしかないのでは?」と答えます。
緋沙子もインタビューをする事になっていたんですが、満喜子は一人で行くと伝えます。この手伝いで緋沙子を魅力的な感じで聞いていたKは隠れてついて行きます。彼女の家に行き、チラッと見たのですがKは緋沙子に違和感を覚えます。目が見えないはずなのに、チラッと自分を見た気がすると。
最後に満喜子が書いた本を読んだKですが、細部に証言と異なっている、意図的に変えられた部分があると語っています。
第三章はモノローグな感じですが、恐らく【忘れられた祝祭】の内容だと言われています。ここでは満喜子は【マキ】、緋沙子は【久代】になっています。
医者一族の名家 青澤家のお祝いがある日。
マキはラジオ体操が終わった後、ぼんやりしていました。そこに杖の音を聞いて、久代が来たと分かり話しかけます。
久代は大おばあさまの米寿のお祝いのお菓子を取りに行く途中だったようです。
そこでマキは久代と話しますが、その時、久代は鋭い感覚で雨が降るとかマキの家に母が居ないと的中させます。それにマキはすごいと思います。
そして久代の家に下の兄の順二がいたという話しを聞きます。
恨めしい声で「やっぱりー」と言いますが、久代は雰囲気を変えて言います。
「マキちゃん、今日は来ない方がいいわ」
理由を聞いても「何となく蝙蝠が来る気がするのよ」と久代は謎めいた事を言って出て行ってしまいました。
ここで順二が帰ってきて青澤家のお祝いの様子を語り、やっぱり気になってマキも青澤家のお祝いへと行きます。
玄関はたくさんの大人が面食らいましたが、勝手口は子供がいました。そこに久代の弟 祐君が来てマキを呼び止めます。そこで落ちていた赤いミニカーを見つけました。
久代が青澤家に帰ってきたのを見て、気まずくなるかもと思いマキは帰ります。その道すがら、二回目の青澤家へ行く順二に声をかけられます。
順二と別れて、雨に降られてしまっていると黄色い雨合羽を来たバイクに乗った男に出会います。雨合羽の男は青澤家の道を尋ねて、マキは教えます。
その時、雨合羽の男に不思議な雰囲気を感じました。
家に帰って数十分後 順二がやってきて青澤家に行こうと誘われてマキは行くことにしました。
第四章は青澤家の家政婦の娘さんの語りです。
青澤家に長年お手伝いをしていた家政婦は、大量毒殺事件に巻き込まれてしまいました。幸い命は助かりましたが、犯人が捕まるまで世間から白い目で見られて、無言電話など酷い目に遭っていたようです。
犯人が自殺した後は手のひらを返したように、愛想よくなって親切になったそうですけど。
娘さんは事件のショックで二十歳老けたように見えたと語り、文中でも怒りをにじませていました。第三章では書かなかったのですが、家政婦さんも出てきてしっかりして、祐君のわがままを聞いたりと明るい感じでした。娘さんもいつもくるくると朗らかに働いていたと語っています。
そして青澤家について語ります。
奥様がクリスチャンで祉活動に力を入れたいという事、家の中や長男の望 長女の緋沙子の話しになります。
青澤家の中は和洋折衷で常に音楽流れていて、映画の中のような家だったようです。家政婦に頼まれてお使いに出かける事もあったが、娘さんは何だか家の雰囲気に馴染めなかったと語ります。終始、お客様がいるような家で、舞台のセリフのような上品な言葉を使っていて不思議な雰囲気の家で、診察室などの部屋は離れているのにツンとした消毒液のようなにおいがしていたようです。
娘さんには妹がいるのですが、そんなものは感じなかったと言っていました。もちろん、家政婦も。
何となく娘さんも敬遠したくなる雰囲気があったと語っていましたが、そう言う意見は少数派なようです。青澤家は篤志家でみんな尊敬され、若い子の憧れのような物があったみたいです。
また屋号のような感じで、みんな青澤さんではなく、屋敷の丸窓があるので【丸窓さん】と呼ばれていたようです。
その家の子供達、長男の望や長女の緋沙子も他のお金持ちとは違った雰囲気があり、自分の立場の諦めみたいなものがあったとも語っています。
あとで娘さんは緋沙子が怖いとも語っております。目が見えなかったからこそ、すべてを手に入れたと。
また事件を捜査する刑事にも話しをしていて、刑事には見えず学校の先生みたい雰囲気の人とぽっちゃりした婦警さんが家政婦に辛抱強く話しを聞いていたようです。
刑事はタバコを辞める代わりに連鶴を折っていて、事件が終結したという報告をわざわざ家に来た時には金箔が付いた連鶴を家政婦に渡したそうです。
その時、「あなたは何も引け目を覚える事は無いんですよ」と啓二さんは言いました。
その瞬間、家政婦は号泣をして「違うんです。刑事さん。違うんです。あたしは生き残るべきじゃ無かったんです」と切れ切れに叫びました。
さて数年が経って満喜子が家政婦に事件についてインタビューにやってきます。娘さん曰く、小さい頃の満喜子は、大人しいけど、ごまかしがきかない、しっかりした子、小さい頃から芯が出来上がっていると語っています。
インタビューに来るのは、いつも満喜子一人でした。
そして月一で数時間、家政婦と二人で話していたそうです。時々、すすり泣く声もあったようですが、いつも満喜子が帰った後はスッキリした顔になっていたようです。
ですが、満喜子が本を出版して、話が違うと抗議しようとしたのですが、家政婦は反対します。そう言われてしまえば、それ以上何も言えなかったようです。
それ以降、家政婦は物思いにふけっていましたが、ある時、事件について思い出したと話しました。
乾杯をした後、電話が鳴った。若い娘で何か奇妙な事を言っていたが、めまいが起きたと。
それと廊下にミニカーが置かれていた事も語っています。
ちなみに家政婦はすでに脳梗塞で亡くなっていると話しています。
第五章は事件を追う刑事の半生。これは語りじゃ無く、三人称視点です。
高校時代の進路で事件現場を見て、これだと思って刑事になりました。
ただ周囲とは馴染めず、「インテリだから」と言われて遠巻きにもされていました。でも温厚で冷静に、地味な仕事もコツコツとやるので、一目置かれていました。
ヘビースモーカーだったのですが、医者にとめられてタバコが吸えなくなり、連鶴を折るようになります。
そうして仕事をしていたが、青澤家で起きた大量毒殺事件に遭遇します。
非常に緊迫した状況の中で刑事は、廊下に落ちたミニカー、事件現場に定位置に収まった籐椅子があるのに気が付きます。
また台所には白い便せんが一輪挿しと一緒に置かれていました。そしてそれを一読します。
丸一日経って、刑事は事件現場でぐったりしていた緋沙子に事情聴取へ行きます。彼女と会った瞬間、刑事は彼女が犯人だと思ったようです。
第六章は満喜子の上の兄の語りです。雑賀家は長男が誠一、次男が順二、末っ子の満喜子となっています。
事件の後は喫茶店や飲み屋で飲めなくなってしまったと話しています。
事件の第一目撃者となった雑賀兄弟は、長男が交番に行って事件を知らせたようです。その後、大騒動になって自分が取り残されたような気分になったと語っています。ただ事件についてはあまり語らず、緋沙子の青澤家や彼ら兄妹の話しなどをしていました。
雑賀家は引っ越しの多かったようで、世の中の力関係に敏感だったと話しています。
クラスにいる親しくしちゃいけない子や逆らっちゃいけない子なども転校が多いせいか、そう言った力関係も察するのも速かったと言い、目立たないようにしていたと言っています。
青澤家については大きな権力を持っていて、「貴族の義務」的な美徳もあり、地域の人から恩恵を授かり、尊敬を集めていた。ただ奉仕と忠誠が当たり前になってしまい、社会からドロップアウトしてしまった者に殺されたと語っています。
そして雑賀兄妹について。目立たないように過ごす長男と違って、次男の順二は要領がよく、人懐っこいのですが、常に自分の存在を認めてもらっていないと安心できないそうです。
一方で末っ子の満喜子は、分からないと語っています。
物を作っているとじっと見ていて、上手く真似をしたり、芸能人の物まねが上手かったり、バイトのセールスで相手によってセールストークどころか、全く違う人間の様に話していたりしていたみたいです。そして他人になってみたいとも語っています。
雑賀家は、あの事件前から父親の浮気で険悪な雰囲気だったようです。
事件後は修復したかのように見えたのですが、浮気相手と切れていなくて、結局離婚しています。そして父親と最後の日に事件が起きます。
なんと満喜子が最後の夕飯にビーフシチューの中に吐き気を催す草を入れたのです!
父親を引き留めるのが理由かと思いきや、「人に毒を飲ませるのって、どういう気持ちなのかって」と答えました。
第七章は毒殺事件の犯人の犯行前を文具屋の若旦那の目線で三人称の語ります
蕎麦屋に額に目がある謎の人物が書かれてある掛け軸をじっと眺める若い男性を若旦那は気づきます。若い男性は痛いくらい清潔感を持ち、端正な顔立ちだったようです。
その後、お寺でまた若い男性を見つけて、住職に彼の事情を聞きます。
彼は若くして両親を亡くして、妹と助け合ってやってきて、苦労して大学を出て働いて、妹が結婚する時に、彼氏と一緒に殺されて、精神を病みます。
入院している時に仏教美術専門の方と一緒になり、仏像や白毫と言う仏像の額の真ん中にある目に興味を持っていると住職は語っています。
若い男は子供によく懐いていた。だがどんどんと子供とも関わらなくなって行き、部屋で読経をしているか第三の目を探していると言っていたそうです。
事件の日は台風が来ていた。黄色い雨合羽を来た若い男がバイクに乗って行くのをすれ違います。
午後になって雨が強くなり若旦那は蕎麦屋へ入ります。そして蕎麦屋から出るとあの若い男性が濡れながら掛け軸を見ていて「やっと返事が出来ました」と言っていました。
第八章は子供の頃に事件の犯人と親しくしていたエンジニアの語りです。
エンジニアの方は犯人の事を兄さんと呼んで慕っていて、勉強などを教えてくれたと語っています。兄さんは頭がよく、いじめられやすいタイプで、浮世離れした雰囲気があったそうです。そして花の声が聞こえてくると言ってようです。
事件が起こる前々日前、兄さんは大切そうに紙を持っていたと言っていました。もしかしたら、事件と関係があるのでは? と刑事も事情聴取しに来たらしいです。
この事から兄さんは誰かにメモを渡されて毒のジュースなどを持って行ったのでは? と共犯者がいるかもしれないと警察は考えていたようです。
でも結局うやむやになって、兄さんが単独でやったことになりました。
兄さんは事件後、体調を崩してしまって、かなり痩せてしまいます。そして人知れず自殺をして、自分がやったという遺書が出てきたそうです。
彼の遺体は彼がよく行っていたお寺で引き取ったという。
最後に彼は高校時代に暑くて疲れ切っていた時、医院を開業していた家の近くを通りかかった時、「じゃあ、死んじゃいなさいよ」と言う声が聞こえてきたと言っていました。それはただの会話だったのですが、こんな感じで兄さんは鼻の声を聴いていたんじゃないかと話しています。
第九章は短いモノローグでした。
それは誰かの会話で、ユージニアと言う言葉あったり、キリスト教っぽい教えのような言葉を語る文もあります。
そして寂しいお爺さんのために花火をしようと提案をする話もありました。
第十章は満喜子の卒論づくりの時の日記と本を編集した方の語りです。
満喜子が書いた【忘れられた祝祭】の資料と一緒に元編集者と話します。満喜子の事は不思議な人だと語っていて、まだ大学生だというのに落ち着いていたとのこと。また本が出るというのに、浮かれずに面倒な事になったと言った感じだったそうです。
満喜子は取材日記に数字で取材対象者を書いていて、リストもついているようです。しかし【6】の番号は日記には登場せず、リストにも書かれていなかった。これは事件の生き残り緋沙子と教えられます。
そしてアルファベットもあり、それは古本屋で満喜子は足しげく、よく通ったようです。彼女は地域のゴシップや告発記事を載せた雑誌を探していたそうです。事件があった青澤家について恨んでいる人間が居ないか調べていたが、結局無かったようです。
日記には古本屋の【G】がよくあり元編集者がその古本屋に行ったようですが、すでに無くなっていました。なんでも火事で焼けてしまったそうです。
また本が出版された後、奇妙な電話があったと元編集者は語っていました。雑賀さんと連絡を取りたいという電話で相手先の連絡先を聞くと黙り込んで、再び話し出して、そしてまた雑賀さんの連絡先を聞いてくると言った感じです。また連絡先を尋ねるとまた黙って切ってしまったそうです。後ろで誰か若い女性が指示して電話をかけさせている事、黙った時潮騒の音が聞こえてきたと言っていました。
最後に事故現場にあった詩を満喜子は知っていて、口外しない約束で教えてくれました。
プロローグの前にあった、あの詩が事故現場にあった便せんに書かれていたと分かります。脅迫文にも恋文にも聞こえ、そしてこの詩は目が見えない人間が書いたものじゃ無いかと言う話しを満喜子としていたと元編集者は語っています。
第十一章は第五章にいた刑事の語りです。
すでに退職していて孫もいるそうです。
緋沙子が犯人であると思っていて青澤家について調べたていたのですが、特に殺意を抱く人間が居ませんでした。
捜査圏外から自殺した犯人に対して殺人教唆の疑いも視野に入れて調べ、エンジニアになった子から事件の前々日に見た犯人の持っていたメモの証言を聞き、メモを探したのですが見つからなかった。
結局、犯人単独の犯行として事件は終結しました。
満喜子の本が出ていた時、マレーシアで出張していたそうですぐには読んでいなかったそうです。同僚に教えてもらって発売から数か月後に読んだと言います。
その時、本の中で古本屋が意図的に無くなっている事に気が付き、もしかして犯人の男が本を売ったのではないのか、売った本にメモが挟んでいたのでは? と考えます。
しかし彼が住んでいた近くの古本屋【G】へ行った所、すでに火事で無くなっていたと言い、悔しがっていました。
そして家政婦の娘から連絡があり、家政婦が事件について思い出したので話しを聞きに行きました。事件直後に鳴った電話と廊下にあったミニカーです。
最後に緋沙子がよく来ていた海辺の遊歩道にある公園に行きました。ラブチェアと言うS字型の椅子を緋沙子は好きだった事を家政婦さんは刑事に教えていました。
第十二章は様々な記事や手紙が書かれた文章でした。
青澤家の屋敷の取り壊しの反対をする団体の記事や満喜子が熱中症で亡くなった記事、大量毒殺事件の事件から時が経った事に対するコラム、それと満喜子の下の兄 順二の手紙がありました。
順二の手紙には一回目の青澤家を訪問した時、ジュース瓶をもらった。栓を抜いた時、違和感があり、その場で飲まなかった。自宅の庭で猫にちょっと味見させると、猫はすぐに具合が悪くなったそうです。
順二は瓶を青澤家に片して、猫の異変について誰にも言わなかった。それに罪悪感を持ち、自殺してしまいました。
第十三章は目が見えるようになった緋沙子が出て行きます。第十二章で青澤家の屋敷を取り壊しする話し合いに参加するため、海外にいた緋沙子がやってきたのです。
そして話し合いが終わった後、緋沙子はあの海辺の公園に行き、順二の遺書を受け取った女性にあの事件の話しをするのです。
……ここの章はかなり読みづらいです。カギかっことかも無く、誰が何を思って何を言ったのかが分からない幻想的な文章になっています。
ただ緋沙子は間接的に古本屋を燃やした事も兄さんにメモを渡したことを言っています。
第十四章は満喜子が死ぬ直前に考えていた事が書かれています。走馬灯のような文章であやふやなのですが、第一章で言っていた婦警の話しで自分が思い違いをしていた事に苛立っています。
……ここもカギかっこが無いので、非常に読みづらいです。
そして答えを求めるように幻覚のようなものを見て、終わります。
軽くあらすじを書こうと思ってけど、かなりの量になってしまいました……。次から私の考察が始まります……。