EP4
それから数日たった。石崎くんとはそれなりに仲良くなり自分から話しかけることも増えた。他のクラスメイトとはまだまだ距離はあると思うが避けられているわけでもなく安心して教室では過ごすことが出来る。
ただ1つ帰り道にどうしても平坂くんとあってしまうことが嫌だった。運がよくいつも平坂くん1人の時にばったり出会う。いつ他の人と会ってもおかしくない。僕は帰るたびに怯えていた。
「陽翔。お前なにぼーっとしてんだ?次移動教室なんだけど。体調でも悪いのか?」
「あ、ごめん。ちょっと考え事してた。元気だから大丈夫。心配かけたみたいでごめんね。」
「それならいいんだけど。とにかく急ごうぜ。」
そういい石崎くんは僕の手を引っ張って走り出した。こういう友達がいるのも悪くないなと思った。無事に教室にたどり着き一息つく。
なんやかんや放課後になり石崎くんは部活に向かった。僕は図書館で勉強してから帰るとこにした。また平坂くんに会うのは嫌だ。逃げるように図書館へと向かった。
図書館は静かだった。というかあまり人が居なかった。これなら集中出来ると思い安心した。
「ねぇ、もしかして陽翔くん?」
「え?そうですけど」
「覚えてる?中学の茶道部の部長だったんだけど。」
「もしかして田辺部長ですか?」
「そうそう!覚えてくれたのね。あの後結局誰が部長したの?なんか擦り付け合いしてたみたいだけど。」
「僕がやることになりましたよ。みんなやりたがらないんですから。」
「陽翔くんなら安心だったね。私陽翔くんがやってくれてるといいなって思ってたんだ。」
「そうなんですか?」
「そうだよ。真面目に活動してくれたの陽翔くんぐらいしか居なかったからね。正直助かってたんだよ。」
「そうだったんですね。」
「うんうん。あ、邪魔してごめんね。私そろそろ行くわ。またね。」
そう言って去っていった。田辺花さんは茶道部の部長をやっておりそれなりに話していたと思う。まさか同じ学校だと思わなかった。過去を知る人物には会わないように選んだはずだったが部長のことはすっかり忘れていた。
気づけば辺りは暗くなっていた。僕は急いで教科書を片付け家へと帰った。今日は平坂くんとは出会わなかった。