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第二十五章 新都

第二十五章 新都


 ペッコは最近毎日パルテーノ平原に来ている、今の所王としての職務は実はあまり無い、元々が優秀な各国の指導者達だ、それぞれが統合と復興に向けての実務を推進してくれている。

 なので、ペッコは心置きなく新都の建設に専念できるのだ。

新都はエニアゴンを二回り程大きくした作りで、エニアゴンが九芒星の形状なのに対して、新都は十二芒星の形状になる、水で苦労したエニアゴンと違い、この都市には、『銀霊湖』から運河を引いている。

 都市の中を運河が流れる構造になっている。

例によって都市の北側には王宮を建てる予定だが、これは義氏の記憶に有る世界で最も美しい城。『白鳥城』と言われたドイツ、バイエルン州ノイシュバンシュタイン城の外観をモデルに計画している。

 今はペッコが色々と新しい魔法が使えると広まっているので、創造魔法を遠慮無く使って都市の枠組みを作っていく、枠組みだけにしているのは、全部ペッコが作ってしまっては、公共事業にならないからだ。都市の北東は森を作り王家の狩場とする、森は『堺樹』を植えれば勝手に妖精が作ってくれるから楽だ、この森は森の都の西の森に繋がる事になる、そして、森の中に一番大事な施設、『大老樹瞑想樹洞』を創造魔法で再現した。ペッコの二人の子供達が魔力をコントロール出来る様になるまで、結界で守る必要があるからだ、そしてここには子供達の母親が住む離宮を作る予定だ。

これによりエニアゴンの幻術士ギルドと幻術士達が新都の最初の移住者となる。


 ペッコこの都市にはエニアゴンに無かった建物を二つ作るつもりだ、それが大学と図書館だ。この時点でペッコは知の都が独占していた、知識と技術を全て接収するつもりでいる。


 そして、都市の枠組みがほぼ完成した所でペッコは各国の元代表、今の総督達をこの都市

『サトゥルヌス・ロッカ』に招待した。サトゥルヌスはエウロパ十二神の一柱で『時』を司る神だ。

つまりこの都市は、時神の城塞と言う意味になる。

「まさか、こんな事が」

と正教国の総督アイメリク・ド・ボーエン子爵が驚愕している。

「何、俺はもう驚かんよ」

と言うのは砂の都の執政官改め総督となったスピン・ブレイド元帥だ。

「所で、スピン・ブレイド元帥、良ければ一度手合わせを頼めないか?」

と余計なことを言うのは森の都の総督タイガー・クロウだ。

「良いですね、この街にコロセアムも作って、街が完成したら柿落としで元帥とタイガー・クロウさんとの対戦をしますか?」

とペッコは笑った。


 この後は、各国からの大工や職人が街に集まり、資材も順調に届いて新都の建築が始まった。

多分完成には数年かかるだろうし、街道の整備もある、公共事業としては申し分無いはずだ。


 その間にペッコは新たな元老院……砂の都の元老院に各国の議員を加えた物……を招集して、知の都にこの度の騒乱の責任を取らせる事を話しあった。

 全員がペッコの意向に賛成したので、事前の相談通り、デュロロ大司教をエウロパ皇国外務卿兼全権大使として知の都に送り出す、そしてデュロロの護衛としてロヌルを指揮官に赤魔導士達100人を選別して知の都に同行させた、この時ペッコは身分を隠して護衛に同行する事にした。


 知の都、哲学者評議会議事堂でデュロロがこの度の騒乱の代償として要求をすると、評議会の議員達は

激怒して、無秩序に反論を始めた、特に自らを至高の存在と思い込んでいる『アデリーナ・ゴダール』はその支持者達に煽られたせいもあり最後の手を使ってしまう。

「無礼な亜人共、目に物を見せてくれよう」

 アデリーナ、いや転生過去人『ハルマルト』は転生者としては禁断の転身を行い、異形の神『デメテル』の姿となった。オリジナルの過去人と違い、転生過去人の能力では転身を行うと、もう二度と人の姿に戻る事はできない、アデリーナ=ハルマルトは、怒りで完全に理性を失っていたのだ。

「亜人め、踏み潰してくれる」

巨大化したハルマルトは、その怒りの矛先をデュロロ大司教に向けた。

 ペッコは護衛として着込んでいた魔道士のローブを脱ぎ捨てると、魔道書を取り出して、詠唱して生と死を司る兄弟神『メルク・プルト神」を召喚した。

 そして、そのまま大司教を抱え上げる。

「猊下、非常時なので、失礼致します、ロヌル全員港まで逃げろ」

と指示をして、転移魔法で議事堂から最も離れた知の都の港『エゲリア港』の岸壁まで飛んだ

ここには地に都のシンボルである水瓶を持った、知神エゲリアの巨大な石像が立っている、

「猊下、しばらくこちらでお待ちください、直ぐに護衛の者達が参ります」

「それは良いが、魔皇王よ其方はどうするのじゃ」

「あの痴れ者を退治して参ります」

そう言うと、ペッコはデュロロに微笑んでから、絶影を呼び議事堂の上空へ向かう

議事堂では、攻撃対象を見失い怒り狂ったデメテルとメルク・プルト神が戦っていて、周囲に壊滅的な被害を与えている、だが転身者で実体のあるデメテルの方が有利な様だ。

「転身が創造魔法なら、僕にもできるはず」

ペッコは迷わず魔法を詠唱して、自らの姿を時の神 サトゥルヌスに転身させた。

「何だと、貴様は何者だ、なぜ転身できる過去人は妾が最後の一人のはず」

とデメテルが叫ぶ。

「我が名は時神サトゥルヌス、豊穣神デメテルの姿を借りた過去人よ、この世界から消滅せよ」

と言うと、時魔法でデメテルの動きを封じバハムートを創成して、ついでに議事堂ごとデメテルを消滅させた。

 このバハムートは召喚魔法で呼ぶバハムートでは無く、時魔法と創造魔法で再生した、本物の光龍バハムートだ、そしてバハムートの咆哮に呼応する様に、南東の空に巨大なもう一匹の龍が現れる。

 闇龍ティアマットが降臨した。

「おのれ過去人、一度ならず二度も我が夫の魂を弄ぶとは、許せん」

とペッコの頭の中に龍語が響く。

 その時、バハムートがティアマットに語りかけた、そう、蛮神では無い本物の知性の有るバハムートとして……

「あなたは過去人では無いのか、しかしその姿は?」

混乱したティアマットがペッコに語りかける。

 ペッコは転身を解いて本来の自分の姿に戻った。するとペッコの懐から、小さな龍が現れる。

「我が子よ、この小さき者は善なる心を持つ新たなこの地の王、我が認めた者だ」

「父上!」

二匹の龍は、小さな龍『神龍ミドガルズオルム』の分体に跪く様にして頭を垂れた。

「人の王よ、我が夫を再生させた例を言う、この後は我らは王の友となろう、我らの力が必要なら、いつでも声をかけてくれ」

 そう言うと二体の龍は龍の国、南東メガラニカ大陸へ戻って行った。


 (これはかなり辛いな、なるほど過去人達が最後の手段に取っていただけある)

 転身を解いたペッコだが、疲労で立っていられなくなりその場に崩れ落ちそうになり、絶影がペッコを口で咥えて背中に乗せる。


 絶影が港に戻ると、直ぐにロヌル達が回復魔法を施してくれた。

「ほんに恐ろしい魔法よの、まさか我らの神や時の神まで召喚するとはな」

と流石にデュロロは呆れている。

「猊下、少し力を使い過ぎました、当分は動けそうにありませんので、後の事お願いしてもよろしいですか?」

「うむ、仕方無い、任せておくが良い」

「ロヌル、猊下の護衛は頼んだよ」

そう言って、ペッコは絶影の転移魔法でエニアゴンに戻り、四日程寝込んだ。

 そうして、まだ仮王都となっている砂の都に出仕すると、知の都はペッコが出した条件を全て受け入れて自治権を放棄して、皇国に合流する事になっていた。


 エウロパは、島国で有る海の都を残して、魔皇王『ド・ペッコ・パト一世』の元に統一されたのだった。


エピローグ


 完成した新都『サトゥルヌス・ロッカ』の居城の物見の塔で、ペッコはに賑わっている城下町を見ている、大教会、大学、図書館でも完成して、ここでは各国から来た学生や研究者達が様々な魔法や技術の研究をしている、その中には旧帝国の魔道技術も含まれていて、様々な魔道機械が開発されて、土木工事などで活躍をしている。

 離宮では、角の有る子供を産んだ、五人の妻達が生活をしていて、残りの妻達は城でペッコと一緒だ。六人目以降の子供は普通のウェアキャット族として生まれて来たので、どうやら角神には定員が有る様だ


 エウロパ全土は至って平穏で、厄災の気候変動から回復した旧正教国領では、牧畜や養蜂も始まり、食糧危機の問題も解決した。

 唯一未解決なのは、未知の結界に覆われた新大陸で未だ行方不明なヒロシ達『黎明の血盟』のメンバーだが、ペッコは旧知の都の技術者達が、結界を通過する方法を見つけるまでそのままにしておくつもりだ。

 そして時神サトゥルヌスの力を得た事で、自分が転生したこの世界は、ゲーム内の原初世界では無く

13有る鏡像世界の一つ、第8世界である事を悟る、この世界は属性が原初世界に近いので、同じ様な歴史を歩んでいたが霊災は原初世界程の規模では無かった、そして現在、第9世界と同じ様な歴史を歩んだ第6世界からの侵攻を受けて新大陸が結界に覆われている状況になっている事を理解していた。

そして最後に、自分をこの世界に転生させたのはこの惑星ルミナス、その物の意思だったと言う事も悟っている。


「星の意思に応える為にももっと精進しないとな」

と独り言を言うペッコだった。



 

  

  


 



 

これでペッコ君の冒険の話は終わりです、最後は駆け足になってしまいましたが、まぁFF14に対するモチベーションが落ちてしまったので仕方が無いかなw、でも一応話としては決着を付けて終わらせたつもりです。


読んでいただきありがとうございました。

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