突然の訪問者と一日メイド①
突然の訪問者と一日メイド①です。
稽古騒動の日から数週間が経った。
近頃シャルテの様子が変だと使用人たちは話をしていた。
もちろんその話はルヴァンの耳にも入っていた。
「最近お嬢様がおとなしいよね」
「この間の稽古の一件からよ」
「廊下を駆けているお嬢様の姿をお見掛けしなくなったな」
「あんなに派手にルヴァン様にコテンパンにされたらそう簡単に立ち直れないでしょう」
「(・・・確かに、最近のお嬢様はおとなしい。
稽古で少々やり過ぎたとは思ったが、旦那様の意向もある。
この間のことで少しはお淑やかにしてくれているようだな)」
一方シャルテの部屋では、シャルテは椅子に座り、机に向かって何やら書き物をしているようだ。
「・・・んー・・・どうしようかな。この間は負けちゃったし、何か他の策を考えないとなぁ~」
とこの間、ルヴァンにコテンパンにされたにも拘わらず次の作戦を練っていた。
「んー・・・ルヴァン、強すぎなんだよなぁ・・・何かルヴァンにも弱点とかないのかな?さすがに完全無敵ってわけじゃないよね・・・ルヴァンならありえそうだけど・・・」
シャルテは椅子から立ち上がり、自室を出た。長い廊下を歩いているとシャルテの父、ワンダーが後ろから声をかけてくる。
「シャルテ、今ちょっといいか?シャルテも知ってはいると思うが・・・まぁ
改めて紹介する。クラーン・アーシェン君だ」
とワンダーの一歩後ろから前へと身を乗り出した貴公子が現れた。
「・・・・・・・・・誰?」
「・・・覚えていないのか?昔よく遊んでいたじゃないか」
シャルテは昔の記憶を辿り、何処かで見たことがあるような面影を思い返していた。
すると思い出したのは・・・。
“お前、女なのに男みたいな奴だな”
「・・・・・・・・・ああ!」
忘れもしない自身のことを“男”呼ばわりしてきた相手だということを思い出した。
シャルテがクラーンのことを思い出したので嬉しそうに話すワンダー。
「思い出したか?まぁ、幼い頃の話だからな、覚えていないのも無理はないか。二人はよく仲良く遊んでいたからなぁ、思い出してくれて良かった良かった」
「(覚えてるも何も・・・忘れもしない、あの言葉・・・いったい何しに来たの、コイツ)」
クラーンを横目に警戒しているシャルテに対して、
シャルテの目の前で膝を付きシャルテの手をそっと手に取り。
「改めまして、クラーン・アーシェンです」
ワンダーはご満悦そうにニコニコしているその口からとんでもない発言が飛び出してくる。
「今日からシャルテ、お前の婚約者になる子だ」
「こ、こ、こん・・・婚約者ぁあああ!?!?」
場所が移り変わって、ワンダーの書斎室にてルヴァンがシャルテの婚約の話を聞き驚くこととなる。
「その、突然のことで少々驚いてしまったのですが、シャルテ様に婚約者様がお決まりになったとのことで・・・。ワンダー様、差し出がましいとは思いますが・・・失礼ながら、シャルテお嬢様をクラーン様の手に負えるかどうか・・・」
「婚約者が居れば少しは花嫁修業なるものができるだろうと思ったのだ。まぁ、令嬢たるもの、婚約者という者が居れば粗相のない振る舞いが身につくだろう」
ニコニコのワンダーとは対照的にルヴァンは不安そうな面持ちでいた。
「は、はぁ・・・、それだと、グレイシス家の後継者はどうなるのです?」
「そこは安心してくれ、クラーン君はアーシェン家の次男、グレイシス家の婿として来てくれるそうだ」
「っなんと!?」
「話はつけてある。快く向かい入れようじゃないか!あとは若い二人が上手くやってくれるさ」
「・・・」
なんとも神妙な面持ちで部屋を後にしたルヴァンは中庭にて仕事をしている庭師のブレッド・ウィリアムズと話をすることにした。
「へぇ~、あのじゃじゃ馬・・・じゃなかった、お嬢様に婚約者ねぇ・・・おめでたいことじゃないの。
・・・なんだ、浮かない顔だな?」
「・・・うむ・・・」
顎に手を当て何やら考え込むルヴァンにウィリアムは話を続ける。
「旦那様のご意向もあるんだ。こういう話は珍しいことじゃない。制約結婚だろ?家同士が決めた結婚なんて寧ろ当たり前じゃないか」
「そうではなく、あのお嬢様がおとなしく受け入れるとも思えん」
「ってことは・・・」
「うむ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
一方その頃ラウンジでは応接室となっている部屋に通されたシャルテとクラーンはフカフカな一人用ソファにお互いが対面で向き合うように腰かけていた。お互い無言の時間が続く。
「(なんでお父様は勝手に婚約者なんて決めてくるの?てかそもそもなんでよりにもよってコイツなの?)」
チラッとクラーンの様子を伺うシャルテ。
「(ぐぬぬ・・・思い出すだけで腹立たしい)・・・あの、クラーン様はそもそもなんでこんな話を受ける気になったんですか?」
先ずは相手の話を聞こうと思い話題を振ってみた。
「グレイシス家の当主が悩んでいたので相談に乗ったんだ。
正確に言うと、グレイシス家の当主がシャルテ様の破天荒さに頭を抱えていたようで、風の噂で何やら昔、俺がシャルテ様に失礼なことを言ってしまったようで、そのせいで今ではじゃじゃ馬令嬢になったと聞いた。それで俺は、責任を感じこの話を引き受けることにした」
素直で、意外とよく饒舌に話すクラーンに少し驚いたシャルテ。
「待って、色々とツッコミ所が多くて思考が追いついて来ないんだけど・・・」
「なんだ、分かりやすく説明をしたつもりだが?」
頭を抱えるシャルテとは対照的に何が問題なのかと首を傾げるクラーン。
「いや、そういうことじゃなくて。・・・昔、私に何て言ったか覚えてる?」
「・・・薄っすらと」
「うろ覚えなの!?」
「すまない」
その言葉にシャルテは一瞬頭がクラッとした。
「・・・(・・・噓でしょ・・・そんな曖昧な記憶なのに婚約を承諾したって言うの?)
はぁ・・・なにそれ・・・適当にも程がある」
「適当ではない。誠意を持っている。
俺のしたことでキミを傷付けてしまった。申し訳なかった」
「・・・いいよ、もう昔のことだから」
「だが、そのせいでいつもキミは貴公子のような身なりでいるのだろう?」
「それは・・・まぁ、それもあるけど・・・。そもそも私は元々お嬢様のような柄じゃないし、それに顔立ちだって・・・こっちの方が似合ってるからそうしてるだけで・・・グレイシス家の跡取り息子として生きていくことも考えてて・・・(でも本当は・・・どうしたいんだろう、私・・・)」
「・・・そうか」
気まずくなり話題を逸らそうと話を変えようとするシャルテ。
「あ、そうだ、これは聞いておきたいんだけど、その・・・私のこと覚えてるの?」
「ああ、覚えている」
「そう、で、婚約するって意味分かって言ってるよね?」
「無論だ」
少し言い淀みながらシャルテは言葉をつづけた。
「クラーン様は、私のこと・・・・・・す、好きなの?(なんだか自分で聞くの恥ずかしいんだけど)」
クラーンは顎に手を当て考え込み、漸く口を開いた
「・・・・・・・・・・・・嫌い、ではないと思う」
「思うって・・・何それ・・・でも好きっていうわけではないってこと?
それって親から頼まれてるから?制約結婚になるの?え、でもクラーン様が申し出たから違うの?
あ、でも好きとかじゃないからやっぱり違くて、え、え?どっちなの?」
その答えに更に頭の中で混乱してしまうシャルテは頭を抱えた。
「・・・言い辛いのだが、そもそも、好き、愛しているというものが良く分からないのだが」
「・・・・・・・・・はい?」
「すまない、俺は恋というものをしたことがないのだ」
「ええええええええええ!!!」
衝撃的な一言でシャルテの頭の中はパンクしたように音を立てて気を失った。
気を失ったシャルテは自室に運ばれた。クラーンは自身のお屋敷へと帰っていった。
暫くして、目が覚めたシャルテは自室から出て長い廊下をウロウロしながら先ほどの話に苦悩を抱いていた。
「・・・(恋が分からないって・・・初恋もまだってこと?そんなの私にどうしろって言うのよぉおおお!!!はぁはぁ・・・ダメだ、これは私の手に負える問題じゃないわ。私自身も恋なんてどう説明したらいいかよく分からないし・・・)・・・恋、かぁ・・・・・・」
ふとルヴァンの顔を思い浮かべるとシャルテは頭をブンブンと勢いよく振った。
「ちょっ、いや、ルヴァンのことは・・・その・・・・・・何で今ルヴァンが出てくるのよ、関係ないでしょ!
まったく・・・。
(でもルヴァンなら何でも知ってるし、恋についても分かるかも・・・いや、でもあのルヴァンが恋について語ってたら・・・!笑っちゃうかも。でも、恋かぁ・・・ルヴァンも恋ってしたことあるだろうし、そうか、ルヴァンの恋か・・・ルヴァンの恋愛事情・・・なんか超気になるんですけどぉおおお!!!)
そういえばルヴァンのそういう浮いた話って聞いたことないんだけど、それに、もしかしてそれがルヴァンの弱点になるかもしれないし・・・とにかくブレッドに聞いてみよう」
執事の仕事をしながらルヴァンは先ほどワンダーからのシャルテの婚約の話を思い出していた。
「お嬢様に婚約者・・・ついにお嬢様にも縁談の話が持ち出される日が来るとは・・・まさかアーシェン家のご次男のクラーン様自らが志願しようとは。グレイシス家としては有り難い話ではあるな、これで安泰というわけだが・・・・・・ふむ、無粋なことだがお嬢様はどのように思われているのだろうか。シャルテ様本人は急な縁談の話が上がることに、納得はいっているのだろうか」
視線を窓の外に向け庭園を眺めた。
庭園にて仕事をしていたブレッド・ウィリアムズにルヴァンの弱みを聞き出すために相談に来ていた。
「え?ルヴァンの弱みですか?」
「そう!ルヴァンって何でもこなせちゃうじゃない?そんなルヴァンにも弱点ってあるのかなって・・・あ!ただの興味本位だから」
「そうですねぇ・・・弱点かぁ・・・けっこう人前だとすぐポーカーフェイスで隠すからな・・・・・・あ!
それならこんなのはどうです?」
ヒソヒソとシャルテに耳打ちしてくるウィリアムズ。
「なるほど!それなら何か分かるかも!ありがとう、ブレッド!」
「あいよ。上手くやるんだぞ~」
ブレッドに手を振りその場を去って行くシャルテ。
「こりゃあ、面白くなりそうだな(ニヤリ)」
お屋敷に戻ってきたシャルテは大広間にメイドたちとルヴァンを呼び出した。ジャーン!と執事服を見せつけるシャルテに皆は頭にハテナを浮かべた。そこへ口を開いたのはルヴァンだった。
「・・・何をなさるおつもりですか、お嬢様」
「何って、決まってるじゃない!メイドのお仕事よ」
「・・・先ずお嬢様?その衣装は執事が使用するものです。
お嬢様がお召しになるものではございません。
そして、メイドの仕事は遊びではありません。れっきとしたお仕事なのですのでお嬢様がなさることではありません」
「分かってる。だ・か・ら、社会勉強の一環としてメイドの仕事の大変さを学ぼうとすることに決めたの」
「はぁ・・・ですが、お嬢様にメイドの仕事が務まるとは思えませんが・・・」
社会勉強という名目を使って鼻高々にしているシャルテにポツリと呟くルヴァン。
「そうと決まれば早速お仕事開始!」
「と、その前に、執事服は没収させていただきます。メイドに適正の衣装を持って来させますので・・・」
えー、とシャルテは不服そうにしながら、仕方がないといった風に渋々メイド服に着替えることにした。
メイド服を着たシャルテは屋敷の長い廊下に案内された。
「では、お嬢様には廊下のお掃除をお願いします。
このハタキでホコリを掃っていただきます」
「任せて!」
「それでは、重々お気を付けくださいますようお願いいたします。
・・・あとは頼んだぞ」
ルヴァンはメイドたちにくれぐれもお嬢様に無理をさせないように、と、そう言ってその場を後にした。
「・・・さてと・・・(ちょっと聞き込み調査をしちゃおうかな~)
あ!ねぇねぇ―――・・・」
ルヴァンの弱みについて近くにいたメイド達に話を聞いて回ることにした。
「んん~~~・・・特に面白そうな情報は得られなかったなぁ・・・。ルヴァンってどんな人が好みなんだろう?(想像がつかない・・・。そもそも出会いってあるのかな?町に買い出しの時とか、社交界とか?まさか同業者とか!・・・ありえる。それならわざわざ外に出向かなくても会う機会はたくさんある。もしそうだとしたら、一体誰が・・・聞き込みをしたけどそんな話は聞かないし・・・お互い隠しているってことか・・・ルヴァンならありえる。秘密の関係ってこと!?わぁああああ)」
と一人で盛り上がっているとそこへディースが向かい側から歩いてくるのが見えた。シャルテは慌てて自身の口を塞いだ。
「(ありえる、ありえますけど!ディース!ディースならそういう秘密とか上手く隠せそう、綺麗だし、何でもこなせちゃうし、非の打ち所がない、大人な女性、こんなにいい女を見過ごすわけがない!私ならそうする!待って待って・・・これはもしかして、もしかすると!!)」
「お嬢様?」
不審な動きをしているシャルテに声を掛けるディース。
「何をなさっているのですか?」
「ぁ、い、な、そ、何でもない!!あ!いや、待ってディース。
あのさ、ルヴァンのことどう思う?」
「ルヴァン様のことですか?どう、とは?」
「えっと、何て言えばいいかな・・・私といない時のルヴァンって普段はどんな感じなのかなって」
「そうですねぇ。特にお変わりはないように思いますが。それだとお嬢様がご納得なされませんよね。ルヴァン様はとても頼りになるお方ですよ」
「(ん~~~・・・頼りになるか・・・なんか決め手がないなぁ・・・そうだ!)」
暫くして、シャルテは別のメイド達にも話しかけた。
「ルヴァンの苦手なモノって知ってる?」
「ルヴァン様の苦手なものですか?さぁ・・・私は存じ上げませんが」
と、次々にメイド達に聞き込みを入れるが、有益な情報は得られなかった。
「はぁ・・・特にはなかったなぁ・・・ルヴァンって本当に弱点ないのかな?」
執務室にてルヴァンは机に向かって書き物をしていた。
ふと、書く手を止めた。ルヴァンは立ち上がり部屋の中をウロウロと行ったり来たりしていた。
「(・・・心配だ。お嬢様が何か粗相をしないかとても心配だ・・・。
ご令嬢としての作法を生かし、この先グレイシス家を守っていけるのだろうか?いくらクラーン様が寛容のお心の持ち主でもシャルテ様の破天荒さについていけるのだろうか?)」
ルヴァンの体がフラッとして壁に持たれかかり頭を抱える
「想像がつかない・・・」
再び廊下でメイドの仕事を再開したシャルテは、パタパタパタとハタキをかけていると、飾ってあったツボがグラつき落下した。
シャルテは咄嗟にツボを抱きかかえ割れることはなかった。
「ふぅ・・・危なかった・・・」
と気が緩んだ瞬間、トンッと後ろにあった台に体がぶつかってしまい、ツボがパリーンと大きな音を立てて割れた。
「あああああああ!!!」
「お嬢様!お怪我はありませんか?」
近くにいたメイド達が集まり、シャルテの心配をしている。
「ヤッバ・・・ルヴァンが居なくて良かったぁ、見つかってたら大目玉をくらうところだっt・・・」
「何の騒ぎだ!」
カツカツとルヴァンが足早に戻ってくるルヴァン。
「これは・・・」
「あ~・・・その、ごめんなさい、割っちゃいました」
「お嬢様・・・はぁ・・・」
とルヴァンは深いため息がこぼれた。
続いて、シャルテの他の仕事を任せようと思い厨房に来ていたルヴァンとシャルテ。
「では、お嬢様には昼食の準備をお願いします。とはいえ、お料理の経験は」
「ないわ」
「存じております。野菜の水洗い、皮むき等は先にメイド達に下処理としてやってもらいます。
ですので、包丁を握るところから材料を切るところまでをお嬢様にお願いしようかと思います。
・・・では、お嬢様をよろしく頼んだぞ」
ルヴァンはウキウキなシャルテに少し強めに注意を促した。
「次こそはくれぐれもお怪我をなさいませんよう、ご注意ください。お願い申し上げます、お嬢様」
「大丈夫!今度はちゃんとできるから」
「・・・だと良いのですが」
ルヴァンが去ったあとさっそく料理講座が始まった。
「お、お嬢様、その握り方ですと危険でございます!」
「えっと・・・こう?」
「いえ、・・・こうでございます!」
「こう?」
ルヴァンはあとはメイドに任せることにして、自分の仕事の続きをしようと持ち場に戻っていった。
暫くして、野菜を切っていたシャルテ。
「ふふ~ん、良い調子じゃない?これなら材料を切るだけじゃなくて全部一人でできちゃうんじゃない?」
と順調に進めていたが、スポーンと包丁が宙を舞いグサッと他のカウンターにいたシェフが持っていた鉄板に包丁が当たり跳ね返る。
包丁は再び宙を舞う。驚いて後ずさり、人にぶつかってしまい、ぶつかられた人は手に持っていた野菜を落としてしまい、転がってしまった野菜に足を滑らせた人が持っていた鍋が引っ繰り返り、反対側のカウンターの真上を通り、ちょうどシェフの目の前の板に包丁が突き刺さるように落ちてきた。
「ヒィイイイイ!!!」
「あ・・・」
ドンガラガシャーン!と盛大な音と共に厨房内はグチャグチャになった。
「ルヴァン様―!!」
「!どうした?」
「そ、それがシャルテ様がーーー・・・!」
一人のメイドがルヴァンを呼びに向かい慌てて駆け寄るとそこには、先ほどまでピカピカにしてあった厨房が、ぐちゃぐちゃになってしまっていた。
「・・・なんとっ!」
「ご、ごめんなさい・・・(苦笑)」
「・・・はぁ・・・」
頭を抱えるルヴァンに顔が引き攣って謝るシャルテがメイド達に目撃された。
「お嬢様、少々お休みになられては如何でしょう?」
「私はまだまだ元気よ。メイドの仕事はやる事がたくさんあるんだから」
「しかし、お嬢様、先程からそのメイド達が慌てふためいております。
皆、初めは失敗をしてしまうのは当たり前でございます。
しかし、お嬢様、今日半日でこの有り様を見てしまいますと、なんとも・・・」
メイド達がシャルテの後始末に追われ、慌しく行ったり来たりしていた。
「それも1つや2つではないので、大変申し上げにくいのですが、只今お屋敷内ではお嬢様にお仕事をお任せできる状態ではないのです」
しょぼんとするシャルテを見兼ねて。
「ふむ・・・それではお嬢様、代わりにお屋敷の外でのお仕事をお願いいたします」
「え?」
②へ続く・・・。