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『器用貧乏』と『攻撃付与』のかけ算

 後日。コヒーにたくさんのお肉を用意する。


 イチエが授かったスキルが『器用貧乏』。ハジメが授かったスキルが『攻撃付与』。


 ハジメのユニークスキル『攻撃付与』はありとあらゆる生活魔法に攻撃を付与するもの。つまり、生活魔法を攻撃魔法に変えるスキル。


 コヒーの魔法の授業で、イチエは生活魔法をたくさん覚えるのを学び、ハジメは『攻撃付与』の組み合わせを学んだ。その結果、最初のバトルで苦戦した野兎を簡単に仕留めることに成功した。また、イノシシを倒すこともできた。すべてはコヒーの授業と『攻撃付与』のおかげだ。


 野兎を狩る時、イチエの生活魔法で石ころを出してもらう。そこに『攻撃付与』し、弾丸のような石つぶてを野兎に当てた。一発で命中し、野兎は絶命した。投石よりも銃弾に近い威力の攻撃魔法は絶大な威力が出た。


 弱者が強者に勝つためのランチェスター戦略では、“局地戦における一点突破”が有効とされる。


 イチエの持つ『器用貧乏』で編み出したすべての生活魔法に、ハジメの『攻撃付与』で攻撃魔法に変換できれば強力な武器になることを知った。


 水、火、風、土の四つの属性魔法に、光、闇、無を加えた七大属性魔法。無の上級魔法『鑑定』は扱うことができなったが、七大属性魔法の生活魔法のほとんどを攻撃魔法に変化することに成功した。


 コヒーは大騒ぎした。これまで七大属性の攻撃魔法を扱える魔女は見たことがないそうで、イチエのユニークスキル『器用貧乏』とハジメのユニークスキル『攻撃付与』を組み合わせれば、要はかけ算で、万物の攻撃魔法を使えることを発見した。


「魔法大学の論文に提出したいよ」


「コヒー先生。俺が勇者であることをできるだけ周囲に悟らせたくない。学会に発表するのはやめてほしい」


「わかったよ」


 それからの無人島で船が来るまでの生活はあっという間だった。


 ドラム缶にお湯をわかしてドラム缶風呂に入った。釣りをした。野兎やイノシシの肉を食べた。


 コヒー先生と模擬線をした。魔法の授業を受けた。ハジメは火おこしの生活魔法ができるようになった。


 無人島の夜空は綺麗で三人で川の字になって星を見た。


 1か月でたくさんのことを語り合った。ちょっとエッチなハプニングもあり、恋愛はそこそこだったけれど、これが青春ってやつか……とハジメは思った。


 無人島での1か月の魔法合宿。自給自足の生活。生活魔法と上級魔法と攻撃魔法があれば、どこの世界でもサバイバルやっていける自信がついた。


 最後の日、三人で本を読みあった。三大魔法について。


 病気を癒す力と、過去に戻る力と、お金を稼ぐ力。


 コヒー曰く、魔法の究極地点にある、七大属性とは別の次元の魔法だと教わった。


 賢者の魔法。時空の魔法。黄金の魔法。


 賢者の魔法は、賢者の石を手に入れて不老不死になる伝説。時空の魔法は、どんな過去にも戻るクロノスという神様の伝説。黄金の魔法は、採掘量に限度のある黄金を無限に錬成できる伝説。


 どの伝説も神話の世界であり、魔女教の教典に一説添えられているだけの眉唾物。しかし、ハジメはコヒーの話を聞いてワクワクした。魔王と倒し、伝説の力を得るために2000万円を払い、魔女の異世界に来たのだ。ゴールが見えた気がした。


 中央。帝国。共和国。王国。魔界。


 すべてを踏破し、魔王を倒して、三大魔法を手に入れるのだ。


 最後の日、ボロ屋敷を綺麗にして港に向かった。潮の香りがする波の穏やかな自然風景。名残惜しい無人島の雰囲気を優雅に楽しんでいると船が到着した。


 ハジメ、イチエ、コヒー。三人は、とてつもない衝撃の事実を知る。


 船の運転手が叫んだ。


「大変だ。中央が始めた大規模交戦で魔族に負けたらしいぞ!」

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