ユニークスキル
オレンジ島は自然豊かな無人島で、食べれるフルーツや動植物がたくさんいる。
生活魔法『探索』によるサーチで、野兎を見つけることができた。
ここでハジメは頭を悩ませた。攻撃魔法がない。
野兎は小柄な見た目と裏腹に素早く、石を投げても簡単に避けられてしまう。
槍なんて高級なものはないし、弓のように技術のある武器も使えない。銃はもってのほか。
ハジメとイチエの技術では魚を釣るのが精いっぱい。獲物を狩ることができなかった。
「生活魔法で野兎を狩ることはできないのか?」
「無理」
イチエは火を起こし、水を出し、風をつくり、石を生み出す。万能型の生活魔法の使い手。なのに攻撃魔法が使えないという、もどかしい思いをする。
ハジメは商人なのでお金に関するビジネスは得意だが、魔法は無力。絶望的な無力感に襲われた。
通常、野兎を捕まえるのに罠を仕掛けるのが一番良い。サバイバル漫画では、うまく罠を仕掛けて野兎を捕らえる。しかし、ハジメもイチエも罠の作り方を知らない。サバイバル漫画で得た知識なんて本番では何の役にも立たない。もっとボーイスカウトとかやっておけば良かったと思った。
半日、野兎と戦闘した結果、一羽も捕らえることができなかった。
「くっそ」
魔女の異世界に来て、野兎という雑魚だが、魔物と戦い、初めて苦戦した。この世界では攻撃魔法がないとまともな戦闘ができないと気づいた。気づかされた、コヒーに。
「俺たちは無力だ。力が必要だ。攻撃魔法を教えてくれ」
ボロの建物に帰って本を読んでいるコヒーに相談した。
「良い顔つきになったじゃない。攻撃魔法を教える前に、上級魔法『鑑定』で、あなたたちのユニークスキルを調べるよ」
「『鑑定』? ユニークスキル?」
「そう。ユニークスキルとは、与えられた天性のスキル。魔法を使うのに適しているかどうかを見極めることができる」
「頼む!」
ハジメは商人なので、魔法の才能はない。チュートリアルで魔法使いか魔女を選べばよかったか? いや、そうじゃない。ハジメの知識量と行動力を考えると、商人としてパーティーをサポートするのが一番勇者っぽい。
鑑定が終わる。まずはイチエから。
「ユニークスキル『器用貧乏』。ありとあらゆる生活魔法を使える代わりに上級魔法や攻撃魔法が使えないよ」
「そんな……」
イチエがショックを受ける。たしかに、彼女は全属性の生活魔法が使える。勉強による賜物かと思ったが、どうやら天性の才能にあったらしい。ユニークスキル『器用貧乏』は生活魔法の全てを操れる一級品のスキル。ただし、才能的に上級魔法や攻撃魔法が一生使えない。
「イチエは生活魔法の種類を増やすといいよ。君に攻撃魔法使いは向いていない」
次。ハジメの番。コヒーがハジメの前にやってきて、左手をかざす。聖なる光が灯り、上級魔法『鑑定』が発動する。
「おお、これは面白いスキルを持っているよ」
「どうなんだ? コヒー先生!?」
ハジメのスキルは……。
「ユニークスキル『攻撃付与』よ!」




