オレンジ魔法共和国の無人島
オレンジ魔法共和国の領海の無人島にハジメとイチエは来ていた。
オレンジ魔法共和国から招いた女性の講師。コヒー=シュガーレット。
年齢は、なんと15歳。ハジメより年下。オレンジ魔法共和国で最年少の国家公務員の魔法使いになり、話題になった人物。身長も低く、童顔なので、小学生の高学年に見える。
腕前は確かなようで魔族討伐に何度か駆り出された経験を持つ。しかし、未成年ということが考慮されて、こたびの大規模交戦には参加させてもらえなかった。そこで、ケイテの伝手をたどって暇をしているコヒーを、ハジメとイチエの先生にした。
なお、ハジメたちが買い占めた戦争の支援物資は高い値段で売り抜ける事に成功した。数年は遊んで暮らせる額のお金ができた。
無人島でバカンス。と喜んでいたのもつかの間。ハジメは無人島である、通称、オレンジ島に到着すると愕然とした。本当に何もないのである。
人がいない。建物は古びた築20年のボロ。船は一月に一回やってくるだけで、自給自足の生活が始まる。
一応、釣り竿やドラム缶など必要最低限の物を運んだが、果たして、未成年三人でやっていけるのかどうか。というかハジメが一番年上だった。
ハジメ18歳。イチエ17歳。コヒー15歳。
金髪ロリの少女コヒーから指令を受けた。
「えっへん。コヒーだよ。無人島のオレンジ島でまずは一週間生活魔法を覚えてもらうよ。生徒は奴隷のごとく私の世話をしなさい」
ハジメとイチエに与えられた任務は無人島でコヒーのお世話をすること。実地訓練で生活魔法を覚えなくてはいけない。
無人島到着後、イチエは簡単な生活魔法ができるので、水を生み出し、空のペットボトルに注ぐ。飲料水をゲットした。
「イチエさん。生活魔法で生み出した水って飲めるの?」
「基本、空気中の水素と酸素を混ぜるだけだから、雨より衛生的に綺麗」
「なるほど」
生活魔法の“せ”の字も知らないハジメは、イチエやコヒーから丁寧に魔法の指導を受ける。
1時間後。火を起こそうと試みるも残念な結果に終わった。
ハジメは悔しく、苦虫を嚙み潰したような顔をした。勇者と言われ、調子に乗っていた自分がふがいなかった。
魔法というものは学習すると、ある日、突然ひらめくもので、無理に学習するものではない。一日一時間がちょうどよい、とコヒーは言った。
魔法の指導は一時間だけ。残りは無人島のサバイバルになる。
「食べ物を取ってきてよ」
無人島にいる間、コヒーは何も動かないつもりで、魔導書を読んでいる。
ハジメとイチエは、これもまた修行と捉えて、オレンジ島の密林の奥深くに食料を探しに行った。イチエに生活魔法である虫よけの魔法をかけてもらう。
生活魔法は戦いには不便だが、こういったサバイバル環境では圧倒的に便利だと気づいた。
電気、ガス、水道といった文明の利器がなくても、生活魔法があれば、ある程度、自由に暮らすことができる。また、生活魔法はすべての魔法の基本なので、一刻も早く覚えたいとハジメは思った。
密林で、木の実、オレンジ、バナナなどを採取する。リンゴ王国から持ってきたエコバックにフルーツを山盛り入れて、帰還する。
食料は十分。たんぱく質が欲しいので、次は、魚を獲る事にする。
海辺に戻り、イチエと二人で魚釣りをする。
釣竿を二本用意し、近くの地面からミミズを掘り起こす。イチエは田舎の村人なので、虫やミミズに抵抗が無いように思えた。立派だ。ミミズを針に通して、海に投げ入れる。
1時間後。
三人分の魚が釣れた。魔女の異世界の魚は美味しそうに見えた。生で食ってもいいのだが、腹を壊してはサバイバルで死んでしまうので、火を起こして魚を焼く。イチエの生活魔法でたき火をした。
無人島で唯一の人工の建物である築20年のボロ屋敷に戻る。
コヒーに魚を渡すと、彼女は、
「動物の肉が食べたいよ。明日は動物を狩ってきてよ」
と言い出した。
フィッシュ&ビーフ?
ビーフ!
コヒーは魚より肉が好きだった。
ハジメは頭を悩ませた。




