プロローグ
処女作でございます。至らない点が多々あるかと思いますが、暖かい目で見てくださいませ。
決して、世間には良しとはされないだろうが、楽しくて楽しくて毎日が輝いていた中学生の頃。
不良グループの情報係として、グループに影響をもたらす情報を入手して、喧嘩に出かける仲間の帰りを待つ。そして怪我をして帰ってくる仲間達を手当てする。そんな毎日だった。
夏には花火をして、祭りに行き、肝試しをして。
秋には皆で食の秋と名ずけてさつまいもをたくさん食べてた。
冬には雪で雪合戦やかまくらを作ったり、正月には皆で餅を食べながら年を越し。
春には花見だと言ってどんちゃん騒ぎをした。
まだ皆が集まって一年半ぐらいだったが、絆は確かな物になって行ってきたのだ。
皆が同じ思いを持つくらいにまで。
ずっとこの仲間達でやって行けると無垢にも願い、祈り信じていたのだ。
でも、その思いは儚く、桜の花弁の様に散っていった。
「昨日の夜、翔也が亡くなったんだ。病気で」
その言葉に時が止まったかのように皆が動きを止め、言い放った人を何かの冗談だろうと見つめた。
それを視線で感じたのだろう。もう一度、言葉を繰り返した。
「翔也は死んだ」
繰り返された言葉でやっと、現状を理解し始めた仲間は膝から崩れ落ちた。そして、心から溢れ出す悲しみを叫んだ。
皆が慕ってやまなかった人が。大人達に絶望していた中、僕達に希望を与えてくれた大人が。
知らず知らずの内に呆気なく、この世を去っていった。
皆が再び、絶望へと戻っていった。
いつも集まっていたBARは所有者が居なくなった事により、今はもう雑貨屋に変貌を遂げていた。
拠り所が無くなった僕達は散り散りになり、グループは自然消滅をして行った。
僕も、もう拠り所を無くし、この世界への未練を無くしていた。
いつ死んでも構わない。むしろ、自分から死んでしまおう。
そう思い、ろくに通っていなかった中学校の屋上のフェンスを跨った時。
「何やってんだよ、あんた」
後ろを振り返り、声の主を見た瞬間からきっと、僕の運命は変わり遂げ、僕の世界は紡がれていったのだ。
悪い意味でも、良い意味でも。
お読み頂き、ありがとうございます。少しでも楽しんで頂けたら幸いでございます。