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羨ましい?

 ディアーヌの為に頑張ったリュカ。

 なんとか目標を達成し、結果を出した。

 リュカの努力は無駄ではなかった。


 ただ、ディアーヌのために頑張ったというのは、ディアーヌに時間と労力を費やしたという事であり、嫁四人の間に不均衡をもたらした。

 そこまで嫉妬したりはしないが、ちょっとだけ。そう、ちょっとだけ、面白くないのも事実なのだ。

 残り三人は、ほんの少しだけディアーヌに不公平感を抱いていた。



「だから、バランスを取らないと不味いか」

「はい。姫様方もリュカ様には直接口にしませんが、ああいった事に憧れがない訳ではありません。

 乙女ですから」

「うん。そうだね」


 情報の提供元は、マリアンヌの侍女。

 リュカとディアーヌが上手くいったのはいい事だと思いつつも、乙女的には自分も同じような事を言われてみたいと思っている様子だ。

 これはリュカに惚れているとかそういった話ではなく、もっと単純に、ただの恋愛に対する憧れである。



 話としては、リュカにも理解できる。

 ただ、知ったからどうしようという内容であった。

 リュカは恋愛経験があまりない為、何か求められても困るのだ。


 思わず生返事をしてしまう程度に、なんと返せば良いのかと悩んでしまう。

 リュカの表情で事情を察した侍女も、これには思わず苦笑してしまう。





 バランスをとれと言われても、リュカができそうな事はデートに誘うぐらいである。

 本命はデート後のやりとりだと言われても、ディアーヌの時は彼女に問題があったからこそできた話なのだ。

 何も問題がない時にああいったことをしろと言われても、それをどうにかする経験や知識がリュカには無い。


 そもそもリュカが何かしようにも、抱えている問題がない以上は中身の無い軽薄な行為にしかならない。

 彼女達が望む結果は、結局手に入らないだろう。

 ああいったシチュエーションは、望んで手に入るものではないし、望んでやろうとすれば一瞬で陳腐なものになる。

 必要なのは、本気と本気のぶつかり合いなのだ。

 リュカに恋愛感情を持っていない三人が羨ましいと思ったところで、何の意味も無いのだ。



「まぁ、デートまでだよね」

「そう、ですよね」


 しばらく考えた末に出した答えは、当たり障りのないものになる。


 夫婦だとか恋人同士だとか。

 何か特別な感じのする言葉ではあるが、実際はただの日常の延長線上に過ぎない。

 普通は、そこまでイベントなどないものである。

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