表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/372

コレットの侍女③

 侍女達の間に起きた派閥間の対立は、もちろん狙って引き起こされたものだ。

 ただ、それを狙った側が「自分たちから対立を引き起こした訳では無い」というのが肝になる。

 ()の対立に引きずられる形で自分(侍女)たちも対立するという構図が重要だった。


 コレットを追い落とそうとする意思、粗を見付けようとする小姑染みた考えが問題発生の発端だと、それを証明する事が目的であった。



 原因があって、結果がある。

 リュカは最初から流れを見てきたので、何が発端かちゃんと理解していた。


 最初は、コレットが部下を御しきれなかったところから始まっている。

 それを面白く思わなかった三人が、コレット排除を方針として打ち出した。


 この場合、「何が問題で」「どちらに非があるのか」を考えると。



「ディアーヌ。マリアンヌ。セレスト。

 申し開きがあるのかな?」


 排除しようとした三人の方が問題である。

 リュカにしてみれば、それが当然の判断だった。


 釘を刺されたマリアンヌはすぐに仲間、残る二人にも話を持って行った。

 自分一人で抱えきれる話ではなかったからだ。

 そして三人はすぐにリュカとの話し合いの場を作り上げた。


 そして、自分たちの考えをリュカに説明したのだが。


「いや。言いたい事は分かるんだけどね。根本的なところを勘違いしていないか?」

「根本的なところ、ですか?」

「外見。人格。能力。そこまで高い水準は求めていないからね。

 コレットは、“わきまえている”という点では、そこそこ高く評価しているんだよ。

 余計なプライドを抱えた無能は邪魔なだけだからね」


 コレットが何もしなかった事に対し、無能の烙印を押した三人は、リュカの考えに絶句した。


「そもそも、今の立場は陛下が決めた事であり、そこに臣下が異論を挟むのであれば、もっと周囲を納得させる根拠が求められる。

 今の三人に、それは無いよね。

 いや。ここに居て良いかどうかは陛下が決める事だよ。ここに居たいかどうかは本人が決めれば良いけどね。ディアーヌ達がしようとした事は越権行為だ、そこを間違えちゃいけない。

 シャルロットの件で勘違いしたかもしれないけど、俺たちにその決定権はないんだ。アレは事前の取り決めだったからね」


 リュカとしては、コレットに部下を統率する能力が無いと思っている。

 だったら余計な事をしないのが最善ではないかと、そう言っているのだ。

 考えようによってはディアーヌ達よりリュカの方が酷い。


 ただ、それでもリュカはコレットを認めている。

 自分の能力に見合う行動をしていると。

 できないのなら、できるようになれとは思うが。



「まぁ、原因は良いとして。

 この結果は皮肉だろうね」


 最後に、リュカは彼女たちの思惑が作り上げた現状に苦笑を向けた。


「今回の騒動。

 結果として、三人の部下に対する監督不行届が発覚した訳だけど。そこはどう思う?」


 ディアーヌ達は、コレットに突きつけようとした無能の証を突き返される事になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ