暴走娘・シャルロット
リュカは問題を棚上げする事にした。
中途半端な態度の姫2人の事は頭から追い出し、敵意を見せるシャルロット姫をどうにかする事にした。
出来る事からやる。
出来ない事は、出来るようにしてからやる。
そんな判断だ。
リュカは事前にもらった姫達のプロフィールを思い出して、シャルロットをいかにして暴発させるか、その段取りを考える。
女性の扱いには慣れていないが、敵を煽る事は戦場で学んだ。何の問題も無いと、リュカは己を鼓舞する。
「まずはここに来てくれた事を感謝する。
俺は貴女たちはそれぞれの国を代表する者であり、国の意志に従いこの場にいると思っている。
この時この場では、貴女たちの行動が国の意思の代弁だと思って行動する事を願う」
まず、リュカははしごを外した。
これで姫達は言い逃れを出来ない。
姫達は同じ帝国内にある国の姫なのだが、国が違えば主義主張も違う訳で、一枚岩ではないどころかそれぞれが敵のようなものである。
リュカの言葉を聞いた上で何か不始末をした場合、それぞれの国が敵国の足を引っ張る為に動くだろう。
「さて。まずはこのたびの契約内容の確認をしたい。
細かい内容を全て語れば時間が足りない。大雑把に要約してしまうが、
“この場には自分の意思でいる。国の命令ではない”
“婚約者などがいた場合は円満に婚約破棄を行っており、この場にかつての婚約に関わる問題を持ち込まない”
“この婚姻は、本人の意思により自由に解消できる”
“夜の相手に関しては、基本的に7日に1回とする”
あとは帝国法に則り、常識で判断させてもらう。
ここまではいいかな?」
他にも年齢や健康状態、体型に関する規定があるが、そういったものは全て省かれた。
そういった内容は一々ここで確認する必要が無いからだ。
リュカはここで話を区切り、姫達の顔を見回す。
3人は微笑みを浮かべ、軽く頷いて内容を肯定する。
無表情娘のコレットは頷きはしたものの、それ以上の反応は無い。
そして最後の一人、シャルロットはリュカが考えるよりもずっと早く、ここで暴発した。
「誰があんたなんかと結婚するものですか!
私は! ここに! あんたへの文句を言いに来たのよ!!」
シャルロットはリュカを指差し、そう高らかに宣言した。