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骨肉②

 継承権に問題が出そうなのは、ディアーヌのところだけではない。

 王族という括りで見れば嫁4人は全員そういった立場であり、大なり小なり、産まれてくる子供が将来の王権を継ぐ権利を持つのである。

 その事を考えるとリュカは頭が痛くなってしまうが、それが責任ある地位に就くという事であり、今のリュカの立ち位置である。

 残念ながら、王国最強の名を持った時点で諦めねばならない事だった。


 時々、いっそ死んだ事にして隠れ住んでしまえばいいのではと思わなくもないが、それはそれで嫌なのがリュカである。

 なんでコソコソしなくてはいけないのかという思いと、結局何かあれば前に出て力押しの魔法で解決という選択をするから派手になり目立つのは避けられない。

 何回死ねばいいんだという事であり、何回も死んでいては誰も信じてくれなくなるだろうと言われてしまえばそれまでである。


 表舞台で生きるという今のリュカの選択は、選べそうな選択肢の中ではベターである。

 文句はところどころあるが、全体を見れば満足のいく形。

 全てに理解と納得のできる答えなどいつもあるわけではない、それが生きるという事である。





 ディアーヌの子供以外も、政略結婚は必須になるのは確定しているし、結婚相手を自分で選ぶ権利など持てない。

 付け加えるなら、職業選択もある程度の適性を見ての話になるが、自由が無い。


 通常、子供の仕事というのは親のそれを継ぐのが当たり前だ。そこに貴族と平民の差は無い。


 長男が跡継ぎになり、次男はそのスペア。

 三男以降は貴族は文官武官(公務員)、平民が雑役夫か兵士などになるのが常識である。

 次男以降は結婚できないのもよくある話だ。


 ただ、リュカの子供の場合、魔法使いとしての将来を望まれているので、一部の権威強化を除けば魔法使い一択であり、他に選択肢が無い。

 これはリュカにとっても常識で、そこの事に疑問を持っていない。

 この世界では、国を問わず職業とは親や社会が決めるものなのだ。職業選択の自由とは、もっと未来の権利である。



 そうなると、リュカが子供にできることは限られる。

 政治関連については出来ることなど無いので、主に魔法使いとして仕事をする上で知っておいた方が良い事やを教え、将来の就職先で上手くやっていけるよう上司に根回しする事だ。


 つまり今のうちに多くの仕事を経験し、人の繋がりを作り、子供にそれを継承できる準備をする。

 それが親としてリュカのすべきことだ。

 子供に引き継がせる、無形の財産を作るのだ。


 幸い、金などといった有形の資産については過不足なく稼げるので、そちらは考えずとも良い。

 土地については難しい所であるが、家などを購入する分にはむしろ土地の所有者が用意しかねないほどなので問題ない。


 親として魔法使いとして、出来ることをするべきだ。元より魔法使いとして出世したので、それでいいはずだ。

 リュカは難しい問題(政治関連)から目を逸らし、そのようにあろうと決める。



 親として多少問題はあるかもしれないが、その問題は周囲に投げかけようとするリュカ。

 見ようによっては情けないが、一応、現実を見た場合、おおよそ間違った判断ではない。


 リュカの子育て方針は、おおよそこんなものである。


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― 新着の感想 ―
[一言] 結局はみんながある程度妥協を重ねていくしか無いわけですね。 無論リュカは帝国を滅ぼすという選択もできるわけですが、結局はそうしても面倒になるだけでしょうし。
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