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主人の同僚と私

作者: みまり

 また、あの男だ。


 私と主人が散歩していると必ず出くわすその男は、いつも嘗め回すような視線で私を見る。

 主人の同僚なので無視はできないが、正直近寄りたくない。

 親しげに談笑している間にも、こちらが気になるらしく不躾な視線をちらちらと私に向ける。

 私のことを何度も可愛いと褒めちぎるので、主人もまんざらでもない様子だが、私は言われるたびに虫酸が走る思いだ。


 あ、主人の携帯に着信が入った。

 会社からの緊急の連絡のようだ。


 通話に夢中なことをいいことに、男が無神経に私へ近づいてくる。

 そして、あろうことか私の身体に触れようとしてくるなんて。

 驚いて離れ、男を睨みつけてやったが、動じる気配も無い。


 なんて厚顔無恥な男なんだろう。

 しかも男は懲りずにまた手を伸ばしてくる。

 助けて! と叫びそうになった時、主人の通話が終わり、男に声をかけた。


「お待たせ。こんな時間にもクレーム対応の電話だよ……ん、どうした?」


「いや、どうも俺は嫌われてるみたいでさ」


「ああ、ごめん。うちのは人見知りする性質なんだよ」


 そうなんだと納得した男は私を見下ろした。






「それにしても、お前んちの犬って、ホント可愛いよな」


「そうだろ」


 自慢げに私の頭を撫でる主人に、私はぱたぱたと尻尾を振った。

短編集「つかの間の息抜きに」より抜粋。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おう、昼ドラかR-18みたいなやつか~と思ったら可愛い犬さんの話でした! [一言] 犬ってもふって見たいけど噛まれたらと思うと恐いなぁとも思っちゃう。
[良い点] 笑いましたw
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